ところで、米ドルの「買われ過ぎ」が一巡したとして、その後の修正で起こる米ドルの反落は、どのようになるのでしょうか?
経験的には、5%前後の米ドル反落が起こりそうなのです。

今年の2月下旬にも、米ドルのネット・ロングが11万枚まで拡大し、そこで一巡したことがありましたが、その後の米ドルは4%強の反落となりました。
これを参考にすると、現在の米ドル高が95円前後でアタマを打ち、そこで米ドルの「買われ過ぎ」が修正に向かう場合、92円前後までの米ドル安・円高を覚悟しなければなりません。
そもそも、3月と4月の米ドル/円は、経験的に逆の動きになりやすいという特徴があります。過去10年間の米ドル/円を見ると、3~4月に9回、逆方向に動いていました(「『裏切りのシーズン』に突入したドル/円は『利上げ前のドル高』の最終関門に入った」を参照)。
その意味では、3月は米ドル高・円安となりましたが、4月は米ドル安・円高へと転換する可能性が、経験的にも高いと言えるでしょう。
■「利上げ前の米ドル高」で、5~7月には98円へ
とはいえ、そんなふうに4月に米ドル高が一服したとして、それで90円割れに向かって米ドル安が本格化する可能性というのは、考えにくくなったのではないでしょうか?
米ドルは、昨年11月に85円を割り込んでから、4月初めにかけて94円を大きく超える水準にまで上昇してきました。最大の米ドル上昇率は10%を超えてきたわけです。
これは、これまでに何度か紹介してきた「米利上げ前の米ドル高」のプライスアクションでしょう。
このコラムでも、米利上げ開始前後の米ドルには、「利上げ開始前の米ドル高」、「利上げ開始後の米ドル安」という2つのパターンがあることを何度か紹介してきました(「2010年の注目点は米利上げとインフレ。波乱シナリオなら60~70円への暴落も!」などを参照)。
そして、その「利上げ前の米ドル高」は、3~6カ月で10~15%展開するというのが基本でした。

このようにみると、昨年秋に始まった米ドル高は、今年の夏~秋頃、具体的には8~9月頃の米国の利上げを織り込むかたちでの「利上げ前の米ドル高」である可能性が高そうです。
そうであれば、先に述べたように、4月に米ドルが反落したとしても、それは本格的な米ドル安ではなく、むしろ5~7月に98円程度を目指した「利上げ前の米ドル高」の軽い調整に過ぎないでしょう。
もし、本格的な米ドル安が起こるとしたら、それは「米利上げ開始後」か、もしくは、米国が利上げできないことによる「失望売り」となるでしょう。
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