続いては、ユーロ/米ドルの週足チャートをご覧いただきたい。
週足チャートを見ると、このところのユーロ/米ドルが大きく上下動していることに気がつく。
2009年12月につけた1.51ドル台ミドルから下落が始まっているが、4月28日(水)のシドニー市場でつけた1.31ドル台ミドルまでだと、5カ月間で約2000ポイント下落したことになる。
5カ月で約2000ポイントの下落というのは、大きな値動きと言える。だが、週足チャートで見ると、特別に目立つような値動きではない。
そう考えると、これからの相場も引き続き、大きな値動きになることを想定しなければならない。
ユーロ/米ドルの週足チャートを見る限りでは、ユーロの下落トレンドに変化がないと考えている。
つまり、まだ下落すると見ている。
■「売りシグナル」点灯でも売りが加速しないワケは?
最後に、ユーロ/米ドルの日足チャートをご覧いただきたい。
日足チャートを見ると、従来のレジスタンスラインが緑の破線(細線)だったと読み取れる。
その後、ギリシャへの救済策の発表やポジション調整などで反発・上昇し、レジスタンスラインは緑の破線(太線)にシフトしたのだろう。
また、4月23日(金)に、ユーロ/米ドルは1.3200ドル近辺まで下落し、それまでの安値を更新した。
それまでの安値は1.3260ドルレベルだったから、1.3250ドルを割り込み「売りシグナル」を発したのだ。
しかし、週末にG20(20カ国財務相・中央銀行総裁会議)が控えていたことや、ギリシャがEU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)に支援を要請したことで、目先、ギリシャはデフォルト(債務不履行)しないという観測が広まり、ユーロの買い戻しが出たと考える。
ただ、ギリシャが支援を要請したことが、ユーロの買い材料になるとは考えていない。そんなバカげた理屈はない。
しかし、ギリシャが支援を要請したことで、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などで、ギリシャのデフォルトにベッティングしていた向き(ギリシャが破綻すると考えていた向き)が、ヘッジ(リスク回避)のためにユーロ買いを行った可能性はある。
1.3250ドルを割り込んだのに売りが加速せず、むしろ買い戻されたのは、ユーロ売りのポジションが積み上がっていたので、そのポジション調整が出ただけだと考えている。
「ユーロ売り・米ドル買い」のトレンドに、何ら変化はない。
■「ユーロ売り・米ドル買い」以外に選択の余地なし
ギリシャ問題は、簡単には解決せず、重大な問題だ。
言い方を変えれば、この問題を解決できるような妙手があるのか、はなはだ疑問だ。
解決策は、ギリシャ国民が今の倍以上働いて、たくさんの税金を納めること以外にはなく、他の解決策はないし、解決できないならばデフォルト(破綻・債務不履行)となる。
ギリシャが救済支援を受け、新たに借金をすることは解決策ではなく、解決へ向かうために時間稼ぎをする便法に過ぎない。
現状のユーロ/米ドルに関しては、「ユーロ売り・米ドル買い」のポジションを持つ以外に選択の余地はない。
(2010年4月28日 東京時間10:30記述)
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