米国の金利が上がりそうとの見通しを示しましたが、日本の金利のほうはすでに、ものすごいことになっています。
先に見てきた米国の10年債利回りと同様に、日本の10年債利回りも、90日移動平均線からのカイ離率がマイナス20%前後まで拡大していました。ところが、こちらは8月下旬からほんの1週間程度で90日移動平均線を回復したのです。

こういった日本の金利急騰は、日本固有の現象なのでしょうか?
一般的には、そのような説明が少なくないようです。すなわち、民主党の代表選が激化する中で財政赤字拡大懸念が浮上し、需給悪化を懸念した、いわゆる「オザワ・ショック」で日本の債券相場が特に急落しているとの見方です。
ただ私は、この間の世界的な債券相場上昇(長期金利低下)の一因は、日本の投資家、とりわけ邦銀の「買い」にあったと考えています。そして、それが9月中間決算期末を目前にして止まり、「売り」に転じたことが、今回の日本の債券急落(長期金利急騰)の基本だと思っています(「なぜ、円高になっているのか?円高の『主犯』は日本の銀行だ!」を参照)。
そうであれば、日本にとどまらず、債券急落は海外にも波及すると思います。
大げさな言い方をすれば、「日本発・債券バブル破裂」ということです。
■10月に対米ドルで88円、年末に75~80円のシナリオ
私は「円高・米ドル安」はまだ終わっていないと見ていますが、目先的には行き過ぎの限界に達していると思っています。
行き過ぎの限界とは、米国の金利「下がり過ぎ」、円の「買われ過ぎ」などのことであり、その修正によって、いったん88円前後まで戻すのではないかと思うのです。

ただ、この「円高・米ドル安」の「根本」は、米国の未曾有の財政赤字、空前の金融緩和、史上初のゼロ金利といった「異常な政策」が主因で、それは簡単には変わりません。
だから、「行き過ぎ」を修正するまでが「円安・米ドル高」の精いっぱいだと思っています。そして、4月につけた95円手前が今年の米ドル高値であった可能性が濃厚になってきたと見ています。
そうであれば、米ドル/円は1年間で15~20円の値幅で動くのが基本であるため、年末までに再び75~80円へと「円高・米ドル安」に一段と向かうのではないかと考えているのです。
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