まずは、ユーロ/米ドルの日足チャートをご覧いただきたい。
これは、300本足(300営業日)の日足チャートだ。
昨年のユーロ/米ドルは上昇トレンドを続けていたが、チャートを見ても、緑の破線で示したサポートラインに沿って上昇していた様子が見て取れる。
ところが、昨年12月に、緑の破線で示したサポートラインを下に割り込み、「ユーロ売り・米ドル買い」のシグナルを発した。
その後はシグナルどおりに下落し、途中で「中段もみ」の場面もあったものの、典型的な「フラッグ」を形成して、ターゲットレベルであった1.3750~1.3650ドルのゾーンを達成した。
「ユーロ売り・米ドル買い」のシグナルに関しても、フラッグ形成に関しても、事前に、このコラムでもその可能性を明確に記述したが、結果的には、そのとおりに相場が動いた(「典型的な『フラッグ』を形成中のユーロ/ドルのターゲットは1.3650ドルか」を参照)。
また、1.42ドル台で推移していた際に明確に記述したターゲットレベルの1.3750ドルも、完璧にクリアした(「1.42ドル割れで『売りシグナル』が点灯したユーロ/ドルのターゲットは1.3750ドルか?」を参照)。
その点では、筆者も十分に満足しているし、自画自賛に値するとも考えている。
しかし、終わったことは、もうどうでもよいことだ。
重要なのは、常に「ここからどうなるのか?」を考えること!
■1月から下落スピードを速めており、目先は調整反発も
さて、ここからどうなるのか?
目先、休憩していたのだが、改めて、真摯に臨みたい。
現状を見ると、緑の破線で示したサポートラインを下に割り込んで「ユーロ売り・米ドル買い」のシグナルを発して以降、基本的には、チャート上にピンクの破線で示したレジスタンスラインに沿って下落している。
さらに、今年に入り、1月中旬以降は下落スピードを速めていて、青の破線で示したレジスタンスラインに沿って下落している。
なお、青の破線で示したレジスタンスラインの傾きが急なので、青の破線を上抜けると、調整の反発があるだろうと推測できる。
ただ、現時点では、そういった「調整の反発(=アヤ戻し)」を狙っての「ユーロ買い・米ドル売り」は、厳に慎むべきだ!
■ユーロはまだ、スパイラルな状況には至っていない
ギリシャ問題に端を発したユーロの不安は、ポルトガルやスペインに飛び火する可能性があるし、すでに、これらの国以外の名前も挙げられている。
そういった不安心理は、広がり始めるととどまることを知らないように、信じられないほどの状況になる場合がある。
不安心理が不安心理を呼び込む、スパイラルな状況のことだ。
ユーロにとって、足元の状況も極めて悲観的な状況にあるが、まだ、スパイラルな状況には至っていない。単に「悪いものが悪い」といったフラットな状況で、スパイラルではない。
また、「ドバイ・ショック」も何も改善されていないし、東ヨーロッパに投資された資産の不良化も、まだクローズアップされていない。
こういった問題点が再燃する可能性がある以上は、「値ごろ感」での「ユーロ買いドル売り」はやめたほうがよい。
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