まずは、米ドル/円の日足チャートをご覧いただきたい。
日足チャートを見ると、今年の2月頃から現在に至るまで、緑の破線(太線)で示したレジスタンスラインに従って、上値を徐々に切り下げている様子がわかる。
また、緑の破線(太線)の平行線をチャートに加筆し、緑の破線(細線)で示した。
そうすると、今年の2月頃から現在に至るまで、この2本のラインのインサイド(内側)に、スッポリと収まる。つまり、レジスタンスラインの傾きのスピードで、米ドル/円は下落しているのだ。
日足チャートを見る限りは、大きな流れとしては、米ドル安・円高のトレンドが示されている。
■米ドル/円は、目先の調整局面入りか?
ここで、直近の値動きを詳しく見るために、レジスタンスラインをピンクの破線(太線)で示し、さらに、その平行線も加筆してみた。
筆者は、ピンクの破線(太線)で示したレジスタンスラインの傾きが急であるため、いずれ、レジスタンスラインを上にブレイクして、調整局面を迎えるだろうと考えていた(「米ドル/円の下落トレンドに変化なし。90円台までならば『売り』で戦うべき!」参照)。
東京市場、ニューヨーク市場が休場となった10月12日(月)あたりから、ピンクの破線(太線)で示したレジスタンスラインを上抜けそうな様相となっていたが、10月15日(木)に、ピンクの破線(太線)をついに上にブレイクした。
この時点で、ごく目先の上下動を狙う投資家ならば、米ドルのショート・ポジションを、いったん手仕舞うべきだと考える。
今回の下落トレンドが98円近辺(97円台後半)から始まったことを考慮すれば、米ドルのショート派は、ここで利食いの買い戻しを行い、しばし様子見とすることが1つの手法だと考える。
■今回の目先の上昇は、相場の「アヤ」
それでは、今後の展開について、どのように考えるべきだろうか?
今のところ、基本的には、米ドル/円の下落トレンドに変化がなく、今回の目先の上昇は、相場の「アヤ」だと考えている。
トレンドが下向きである以上は、米ドル/円は「売り」で戦うべき。しかし、調整局面に入った可能性があるので、一時撤退と考えているだけのことだ。
目先は、調整局面を迎えたと考えている。リバウンドの状況を見て、改めて、米ドル/円の売り参入をうかがうべきだろう。
何らかの変化によって相場が急落し、米ドルが対円で直近安値を更新する場合には、もちろん、米ドル売り・円買いでついて行く必要がある。
しかし、ごく目先で、米ドル/円が直近安値を更新し、87円台、86円台へと突入するようなことはないと考えているが…。
■アヤ狙いのトレードは、絶対にやらないほうがよい!
足元の米ドル/円は、91円台まで反発してきている。だが、上値は重く、追随の米ドル買い・円売りはあまり出ていないようだ。
91円台に乗せたあたりにストップ・ロス、つまり、損切りの米ドル買いがあったが、一方で、国内輸出企業の米ドル売り・オーダーも並んでいた模様だ。
このところの急落で、売りそびれていた市場参加者の米ドル売りが出た印象がある。
このまま上値が重くなり、92円台を見ることがなければ、米ドル高・円安の動きが一巡して、米ドルの下落トレンドに復帰する可能性が高くなる。そうなれば、91円台前半が、今回の戻り高値になるだろう。
もし、91円台前半が戻り高値となる公算が高まれば、前述したように、ここで改めて、米ドル/円の売り参入をうかがうべきだ。
アヤ戻しを狙った米ドル買い・円売りは、絶対にやらないほうがよい。
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