もちろん、相場ですので、どうなるかはわかりませんが、今後どうなっていくかについて、過去の例などを参考にしながら少し考えてみたいと思います。
まずはじめに為替レートについて考えてみましょう。為替レートは2つの国の通貨の交換レートです。そのため、たとえ1つの国の景気が悪くても、他の国のほうがもっと悪ければその通貨は逆に強くなってしまうことがあります。
いくら日本の景気が悪くても、アメリカの景気のほうがもっと悪ければ、むしろ円高になってしまうといった状態です。
現在アメリカの景気は非常に悪くなっているのはもはや誰も否定しません。ですからドルには下落圧力がかかるのも当然ですし、ドル崩壊と言いたくなるのもわかります。
しかし、日本は輸出主導型の経済なので、円高になると景気が落ち込む傾向があります。実際1980年代にプラザ合意によって大幅なドル安円高が進んだ時は「円高不況」に陥りました。
今回も大幅にドル安円高が進行してしまうと、その影響で日本の景気は大きく落ち込む可能性があります。
ましてや、自分の国の中央銀行総裁すらまともに決められないほど政治は停滞してしまっています。こんな状態で急激な円高がやってきたら、それこそ景気が大きく落ち込み、日本丸は沈没の危機に陥るかもしれません。
■日本の景気が本当に悪くなると最終的には円安になる
二度目は2002年で一時135円までドル高円安が進みました。
二度とも、日本の景気が大きく落ち込んだことで日本売りが起きたことによる円安でした。つまり過去の例を見ると、日本の景気が本当に悪くなると最終的には円安になってしまうということです。
もちろん、この2回とも米国経済が比較的好調だったという点は今回と異なります。しかし、日本丸もアメリカと一緒に沈没してしまえば、ドル/円ではドルは下がり続けるどころか、円高になった反動でいつか反対(円安)に動き始めることだって考えられるわけです。
相場も一方方向に向かうとその副作用が出てきて、流れを変えることもあるという「逆転の発想」もぜひ持っておきたいものです。

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