まずは、米ドル/円の日足チャートを見てほしい。
これを見ると、2009年2月頃から現在に至るまで、緑の破線(太線)で示したレジスタンスラインに従って、徐々に、上値を切り下げている様子が読み取れる。
また、日足チャートには、緑の破線(太線)の平行線として、緑の破線(細線)を加筆した。
そうすると、2本の線のインサイド(内側)にスッポリと収まり、2月頃から、レジスタンスラインの傾きのスピードで、米ドル/円が下落していることがわかる。
日足チャートで見た限りでは、大きな流れは、米ドル安・円高のトレンドが示されている。
■米ドル/円は、目先の調整局面に入ったようだが…
ここで、直近の値動きを詳しく見るために、ピンクの破線(太線)でレジスタンスラインとその平行線も加筆してみた。
ピンクの破線(太線)で示したレジスタンスラインの傾きは急だ。だから、いずれ、これを上にブレイクして、調整局面を迎えることになるだろうと考えていた(「米ドル/円の下落トレンドに変化なし。90円台までならば『売り』で戦うべき!」参照)。
東京市場、ニューヨーク市場が休場となった10月12日(月)あたりから、ピンクの破線(太線)で示したレジスタンスラインを上抜けそうな様相となっていたが、10月15日(木)に、ピンクの破線(太線)をついに上にブレイクした。
この時点で、ごく目先の上下動を狙う投資家ならば、米ドルのショート・ポジションを、いったん手仕舞うべきだと考える。
今回の下落トレンドが98円近辺(97円台後半)から始まったことを考慮すれば、米ドルのショート派は、ここで利食いの買い戻しを行い、しばし様子見とすることが1つの手法だと考える。
■92円台まで戻しているが、まだ「調整」の範囲内か?
それでは、今後の展開について、どのように考えるべきだろうか?
今のところ、基本的には、米ドル/円の下落トレンドに変化がなく、今回の目先の上昇は、相場の「アヤ」だと考えている。
トレンドが下向きである以上は、米ドル/円は「売り」で戦うべきだ。しかし、調整局面に入った可能性があるので、一時撤退と考えているだけのこと。
つまり、目先は、調整局面を迎えたと考えているが、そのリバウンドの状況を見て、改めて、米ドル/円の売り参入をうかがうべきということだ。
何らかの変化によって相場が急落し、米ドルが対円で直近安値を更新する場合には、もちろん、米ドル売り・円買いでついて行く必要がある。
しかし、ごく目先で、米ドル/円が直近安値を更新し、87円台、86円台へと突入するようなことはないと考えていたが…。実際のところ、そういった特別なニュースや特殊な値動きはなかった(「やってはいけないアヤ狙いの買い。ドル/円は90円台で少しでも売るべき!」参照)。
ただ、92円台までリバウンドしているので、その後、何らかの変化で急落しても、「相場の急変」とは言えない。
そういった値動きになっても、それは、調整局面の終了を示すだけであって、元々のトレンド、つまり、米ドル安・円高トレンドに戻ったに過ぎない。
■米ドルが、対円と対ユーロで逆の値動きなのはなぜか?
リバウンドが続き、米ドル/円は92円台に乗せてきた。ジリ高に見えるが、その一方で、上値が重たい印象もある。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルなど、今年3月以降の米ドル・ストレート通貨ペアは、米ドル安の傾向が鮮明となっていた。
しかし、英ポンド/米ドルは、10月23日(金)に大きく急落し、さらに、ユーロ/米ドルは、10月26日(月)に急変して、大きく急落を始めている。
先週末あたりから、不穏な値動きとなっていて、ユーロ安・米ドル高、英ポンド安・米ドル高となっているのだ。
通常のマーケットだと、対ユーロ、対ポンドで米ドル高となっているのだから、米ドル/円でも、米ドル高・円安に向かっても不思議ではない。
しかし、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の影響から、米ドルは、対円だけ、米ドル安・円高に向かってもおかしくない状況でもある。
直近の値動きを見ていても、クロス円が上昇した際には、その影響から、米ドルは、対ユーロや対ポンドでは米ドル安となっていた。しかし、対円だけが、逆方向の米ドル高に動いていたのだ。
そうなると、その逆の動きも考えられる。
ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルでは米ドル高となっているのに、クロス円の下落の影響から、米ドル/円だけが、逆方向の米ドル安に動いても不思議ではない。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)