9月7日(火)、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に、「欧州金融機関への最近のストレステスト(健全性審査)で、一部の銀行において、保有するリスクのあるソブリン債が控えめに計算されていた」といった観測記事が掲載された。
同日の外国為替市場では、この材料が嫌気され、ユーロ/米ドルがアジア時間から下落した。

この日のアジア市場におけるユーロ/円も、ユーロ/米ドルの下落を受けて、下落気味となっていた。
そして、9月7日(火)の東京市場夕方になって欧州の市場参加者が参入してくると、米ドル/円でも売りが強まり、84円台を割り込んで83円台へと下落した。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 1時間足)
ユーロ/米ドルと米ドル/円が下落しているのだから、この2つのレートを「掛け算」して裁定されるユーロ/円も、当然のことながら大きく急落している。
その結果、9月7日(火)東京市場のユーロ/円は、朝方の108円台ミドルからクローズの107円台前半まで、1円50銭程度下落したことになる。
■欧州のストレステストは信用できず、しっぺ返しが起こる
今年の7月、「夏休み相場」の真っただ中に実施された欧州金融機関に対するストレステストは、それぞれの金融機関が保有している国債の評価をしないなど、欺まんに満ちたものであった(「欺まんに満ちた欧州のストレステスト。ユーロ/ドルは1.33ドルでピークアウトか」を参照)。
よって、欧州各国の金融機関が保有している不良債権(不良資産)の本当の状態が表されていないと考えている。
さらに言えば、投資家をだますような欺まんに満ちたストレステストの「しっぺ返し」が、今後、ユーロ相場に関連して起こるだろうと考えているのだ。
不良債権(不良資産)は、欧州の金融機関の行動を制約する。
わかりやすい「しっぺ返し」は、欧州の金融機関の破綻だが、破綻しなくとも、不良債権(不良資産)を多く保有する金融機関は、資金が調達できないといった形で、欧州経済の足を引っ張ることになる。
お金が必要なところに回らずにその国の経済活動が制約され、欧州経済の回復が阻害されることになる。
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