まずは、ユーロ/円の月足チャートをご覧いただきたい。
これは180本足(180カ月分)のチャートだ。
ユーロ/円は、2000年10月の安値88円台から2008年の高値170円レベル(正確には169.95円)まで、約8年間にわたって大きく上昇した。
チャートには、その上昇の際のサポートラインを緑の破線で表示している。
その後、2008年に大暴落(クラッシュ)を起こした。
ユーロ/円は、高値の170円レベル(正確には169.95円)から112円台まで、大きく急落したのだ。
2008年半ばから今年4月までは、下値が112円レベル、上値が140円レベルの「ボックス相場」を形成していたと考えられる。
そして、今年5月には下値の112.00円を割り込み、「売りシグナル」を発したと考えているが、米国の金融緩和策(量的緩和策)を材料にしてユーロ/米ドルが上昇したことから、ユーロ/円は急落せず、112円を中心とした「保ち合い相場」に移行している。
9月15日に、日本の当局(財務省・日銀)が「米ドル買い・円売り介入」を実施したことも、ユーロ/円が下落せずに、112.00円を中心とした「保ち合い相場」に移行した理由だと考えている。
■さらなる急落があっても不思議ではない状態が続く
続いては、ユーロ/円の週足チャートをご覧いただきたい。
これは300本足(300週分)のチャートだ。
ユーロ/円は、2006年半ばから2008年半ばにかけて、下限が149円レベル、上限が170円レベルの「ボックス相場」を形成した。
この「ボックス相場」は結果的に「ヘッド&ショルダー(※)」を完成させ、その後の大暴落(クラッシュ)の原因となった。
チャートには、この「ボックス相場」を緑の水平線で表示している。
2008年の大暴落、すなわち「ヘッド&ショルダー」完成に伴うクラッシュ後、2008年後半から2010年4月までのユーロ/円は、上限が140円レベル、下限が112円レベルの「ボックス相場」を形成していた。
チャートには、その上限と下限をピンクの水平線で表示している。
その後、2010年5月に112.00円を下に割り込んだことで、再度「売りシグナル」を発したと考えている。
週足チャートで見ると、直近のユーロ/円は112円を中心とした「保ち合い(=もみ合い)」が続いている。
しかし、上限が140円レベル、下限が112円レベルの「ボックス相場」を下抜けたのだから、今後、さらなる急落があっても不思議ではない状態が続いていると考えられる。
なお、青の破線は現在のレジスタンスラインで、大局で見れば、ユーロ/円は青の破線のレジスタンスラインに従って下落していると言える。
直近の値動きでは、青の破線のレジスタンスラインを上抜けたようにも見えるが、まだ、明確にはなっておらず、判断できない状態だ。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)
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