【アンワインド】(unwind)は、英語で、「ほどく、ほどける、巻きを戻す、巻き戻る」という意味。
「円キャリー・トレード」を解消する場合に良く使われる言葉だ。
「円キャリー・トレード」とは、「円資金を低金利で借り入れて、外貨資産に運用する」といった投資手法のこと。
2005年ごろから2007年夏ごろまでに、「円キャリー・トレード」は世界的にブームとなった。
その「円キャリー・トレード」で、「外貨買い円売り」の持ち高(ポジション)が膨らんだわけだが、その拡大したポジションは、時々、調整を起こしている。膨らみ過ぎたポジションを縮めようとする動きが、定期的に起こってきたのだ。
■「質への逃避」が円キャリー・トレードのアンワインドを起こす
「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」が起こるときは、一般に、「質への逃避」"Fly to quality"が起きているときだ。
「質への逃避」"Fly to quality"とは、金融市場が混乱して、先行きに対する不安が著しく高まった時、リスクを避けるために「より安全性(信用度)・流動性(換金性)の高い投資対象」を投資家が求めてとる行動のこと。
投資家の不安心理が高まると、相対的にリスクが低く流動性が高い投資対象へ資金をシフトする傾向がある。
具体的な「質への逃避」の例を挙げると、
【1】 新興諸国市場から先進国市場へ資金をシフトすること
【2】 為替変動リスクを回避するために、資金を自国の金融商品にシフトすること
【3】 株式投資から債券投資へ資金をシフトすること
【4】 債券の中でも社債や住宅ローン担保証券などから国債へ資金をシフトすること
「円キャリー・トレードのアンワインド(解消・巻き戻し)」は、「円キャリー・トレード」が拡大している時期にも、定期的に起こった。
それは、具体的事例では、2007年2月下旬から3月上旬に起きた「上海株ショック」が挙げられる。
この「上海株ショック」の際には、ドル/円レートは、121円から115円に、大きく落ちた。
また、2007年の7月下旬になって、「サブプライム・ローン問題」を材料に、ドル売りが広がった。「サブプライム・ローン問題」は、「米国へ投資されている資金の引き上げ」を促した。
このことは、「サブプライム・ローン問題」が、リスク回避を喚起した、つまり、ヘッジ(Hedge)の意識を高めて、「質への逃避」"Fly to Quality"を起こした、と言える。
つまり、それまでに、活発に、拡大していた「円キャリー・トレード」の「アンワインド(買戻し)」が起こって、「円買い」が加速した、と言い換えることができる。
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