リアル・マーケットでは、節目の90.00円がサポートされたが、その場合の対応策も、前回のコラムに盛り込んで書いていた。
すなわち、90.00円がサポートされた場合の「リスク&リターンを極大化するためのテクニック(セオリー)」であったが、その手法は今回、有効だったと言えるだろう。
■調整が終われば、米ドル安/円高トレンドに復帰する!
シルバー・ウィークに入る前、米ドル/円は、90.00円でいったんサポートされて、92円台半ばまでリバウンドした。しかし、米ドル安/円高トレンドには、基本的に何ら変化はない。
その値動きは、下値のチャート・ポイント(サポート・ポイント)である90.00円が、強く認識されただけに過ぎず、その下にある89.70-80円レベル、ならびに、オプション取引絡みの89.50円がチャート・ポイントであることも、何ら変化はない。
この90.00円近辺からのリバウンドは、98円近辺から90.00円近辺まで、約8円の急落に伴う調整であったと考える。
従って、調整が終われば、米ドル安/円高トレンドに再び戻ると考えている。
■円高は本来、もっと歓迎されるべきもの!?
東京市場がシルバー・ウィーク休暇明けとなる、本日、9月24日(木)のマーケットでは、90.00円割れを再びトライしそうな値動きになっている。個人的には、ついに90.00円を割り込んで、80円台を見るのではないかと期待しているのだ。
しかし、このように書くと、読者の中で勘違いをされる方もいらっしゃるだろう。世間では「円高は悪いこと」とされているようだが、そのような認識は誤りだ。少なくとも、私はそう考えている。
自国通貨が強くなって困る国民はいない。困っているのは、大手輸出企業や大企業、海外投資を行っている大手の機関投資家だ。
ほとんどの国民は、円高になると輸入品が安く買えるのだから、物価を押し下げて、むしろプラスとなる。輸入に頼っている石油などのエネルギー価格も安くなり、一般庶民はもっと円高を歓迎すればよいのにと考えている。
足元のガソリン価格は上昇傾向にあるが、円高になれば、それが軽減される可能性は高い。電気代やガス代が安くなれば、日本国民全体にとってよいことだ。
■自国通貨安を歓迎するのは、国民目線ではないため
円高の問題点は、円高差益を国民に還元しない、もしくは、還元できないような、現在の社会システムにある、と私は考えている。
現に、米国は従来から「強いドルを望んでいる」と明言してきた。
自国通貨が安くなるのを望んでいる国の代表は、日本や中国だ。国民の目線ではなく、大企業の儲けに主眼点を置いているため、こういった結論になってしまう。
日本や中国は、大企業が利益を上げないと、税収、すなわち、国益が落ちると考えているのだろう。そういった一部の利益を優遇する政策は、「本来、得べかりし国民の利益」を犠牲にしていると考える。
だから、90.00円を割り込み、80円台を見るのではないかと期待しているのだ。
■米ドル/円は、いよいよ90円割れか?
ここで、米ドル/円の日足チャートをご覧いただきたい。
米ドル/円は、4月上旬に101円台ミドルの戻り高値をつけてからは、徐々に上値を切り下げて、緩やかに下落している。チャートでは「レジスタンスライン」として、4月につけた101円台ミドルと、8月につけた戻り高値の97円台後半を結び、緑の破線(太線)で示した。
また、この「レジスタンスライン」に対し、平行線を2本引いた。これは緑の破線(細線)で示している。
この「パラレルライン(レジスタンスラインの平行線)」は、3月安値の93円台ミドルに合わせて引いたもの、ならびに、7月安値の91円台後半に合わせて引いたものとなっている。
2009年に入り、2~3月から現在に至るまで、米ドル/円は大きな上下動を繰り返している印象があるが、基本的な流れは「下落トレンド」と考えている。つまり、「米ドル安/円高トレンド」ということだ。
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