そう思う理由は、主に2つです。
1つ目は、前述のように、ここ数カ月続いた米ドル安が一段落した可能性は高いと思うものの、そうかと言って、米ドル高へ転換したかと言えば、それには懐疑的だということです。
過去のユーロ/米ドルの値動きを見てみると、今回に近いと考えている相場の転換を振り返れば、ユーロ高・米ドル安が一段落した後、半年程度も横ばいが続いていました。
今回の場合も、当面、私は対ユーロですら米ドル高が大きく進んでいくといった展開を、想定しているわけではありません。ましてや、米ドル高・円安が大きく進むとは、今のところ考えていません。
もう1つの理由は、そもそも、この半年以上も続いてきた米ドル安の「裏返し」が、円高だったわけでは決してないということです。

2009年の年初来の対米ドル騰落状況を調べてみると、米ドルに対して上がった通貨は、ブラジル・レアル、豪ドル、南アフリカ・ランドの順で、資源国通貨や新興国通貨が上位に並びました。
これらに比べると、円の上昇率はわずかでした。
以上から、米ドル安の裏側で上がった資源国通貨や新興国通貨は、米ドル安が止まれば下がるリスクが大きいと想像できます。
それでは、米ドル安の「裏側」でさほど円高になっていないのに、米ドル安が一段落したからといって、円安になるということはあるのでしょうか?
■円高続行と考える2つのシナリオ
前述したように、米ドル安の一段落で大きな反応が出そうなのは、資源国通貨や新興国通貨でしょう。こういった通貨の下落は、クロス円を通じた円高圧力になると思います。
以上、米ドル安が一段落した一方で、それは円高一段落とは別の話であって、クロス円主導で円高が再開するシナリオ、または、全体的には米ドルが安値保ち合いとなっても、対円だけは米ドル安が続くといったシナリオも変わっていないと思っています。
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