まずは、ユーロ/米ドルの週足チャートをご覧いただきたい。
2009年12月に、青の破線で示したそれまでのサポートラインを下に割り込み、「売りシグナル」を発すると、赤の破線で示したレジスタンスラインに沿って、その後は急落している。
この急落は現状だと、1.51ドル台から1.34ドル台まで、1700ポイントの下落となっている。
通常ならば、短時間での1700ポイントの急落は、「暴落」と言っても過言ではないだろう。
ところが、2006年以降の大きなうねりのような上下動を振り返ると、今のところの1700ポイントの急落は、さほど大したことがないように映る。
相場の値動きは、相対的なものだ。
だから、大きな値動きの渦中にあっては、たとえ、それが通常だと大き過ぎるようなものであっても、今はそれが普通なのだと認識する必要がある。
昨年12月からの急落は、1.51ドル台から1.34ドル台まで、現状だと1700ポイントの下落となっている。3カ月程度で1700ポイントも急落しているのだから、通常ならば、大き過ぎる値動きと言える。
しかし、「今のところ、3カ月で1700ポイント急落している。だから、これからの3カ月で、さらに1700ポイント下落する可能性がある」と考えるべきだろう。
■大相場となった原因は「キャリートレード」の巻き戻し
この局面で、いちばん良くない、いちばん危険な考え方は、短期間でこれだけ急落したのだから、そろそろ反転急騰するのではないかと、安易に「値ごろ感」を持つこと!
短期間でこれだけ急落したのだから、さらに急落する可能性があると考えておけば、大相場の値動きが収まって、小動きになっても、大ケガをすることはない。
また、大相場になるには、大相場になるだけの原因と理由が、必ずある。
筆者は、今回のユーロ/米ドルの大相場の原因・理由の1つに「キャリートレード」(※)があると考えている。
つまり、米ドルが超低金利であることを背景に、米ドルから、相対的に金利の高いユーロへと資金が流れていた。
そのアンワインド((解消・巻き戻し)、すなわち、ユーロから米ドルへの資金回帰が、2009年12月から起こっているのだろう。
(※編集部注:「キャリートレード」とは、金利の低い通貨で資金を調達し、金利の高い通貨に交換して、金融商品を購入したり、運用したりすること)
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