本日のNY市場におけるドル円は、引き続き中東情勢と米株の動向に左右される展開となりそうだ。ただ、明日に米消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることもあり、一方向に大きく動く展開にはなりにくいだろう。
米政治に目を向けると、中間選挙を控える中、共和党内からもトランプ大統領に対して、離反する議員が徐々に増えてきている。支持率も低水準で推移しており、政権としては外交面で一定の成果を示したい局面にあるようだ。週末に放映されたCNBCのインタビューでは、司会者とのやり取りの中で途中退席する場面も見られ、市場では政権運営への焦りを指摘する声も出ている。特にイラン攻撃に関しては、直近のロイター/イプソスの世論調査で支持率が27%にとどまっており、政権としては何としても和平が進んでいるような見せかけだけでも作ろうと、外交的成果をアピールする必要性が高まっているとも考えられる。ネタニヤフ首相も米国からの軍事支援を受けていることから、昨日は表向きには攻撃停止を受け入れる姿勢を示した。
もっとも、市場では停戦合意の持続性に対する懐疑的な見方も根強い。昨日の攻撃停止発表後にもネタニヤフ首相は「イランとヒズボラとの戦争は終わっていない」と述べており、トランプ大統領の「非常に力強い合意にかなり近い」との発言についても、市場参加者や中東諸国の指導者の間で左程気に留めてはいないようだ。本日もイスラエル、イラン、レバノンを巡る新たな軍事行動が報じられる可能性は否定できず、その場合は原油先物価格や米長期金利の上昇を通じてドル買い圧力が強まる展開も想定される。
一方で、ドル売り要因として警戒したいのが株式市場の不安定な値動きだ。昨日米半導体株に買い戻しが入ったことで、本日の日経平均株価は大幅に反発した。しかし、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)を振り返ると、先週は米半導体大手ブロードコムの決算内容をきっかけに大幅安(4日に約2.2%、5日に約10.3%下落)になった。昨日は5%超の反発となったものの、下落幅を完全に取り戻したわけではない。多くの市場関係者は半導体株の売りは、短期的な調整との見方を示しているが、一部では過去のITバブル崩壊時のような大幅調整の前兆ではないかとの声も聞かれる。引き続き株式市場の動向には注意を払う必要がありそうだ。
本日は4月米貿易収支や同月米卸売売上高、5月米中古住宅販売件数などが発表される予定だが、市場の関心は明日の5月消費者物価指数(CPI)に集中している。市場予想では、総合指数(3.8%から4.2%)・コア指数(2.8%から2.9%)ともに前月から伸び率が加速する見込みとなっている。先週発表された米雇用統計が底堅い内容だっただけに、インフレ率が市場予想を上回れば、FRBによる追加利上げ観測が高まり、米長期金利の上昇とともにドル買いが強まる可能性がある。一方、予想を下回る結果となれば、足元で進んだドル買いの巻き戻しが進む展開にも警戒したい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、8日高値160.39円。その上は介入初日の4月30日高値160.72円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、5日安値で日足一目均衡表・転換線もある159.75円。その下は21日移動平均線159.24円。
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