まずは、ユーロ/米ドルの週足チャートをご覧いただきたい。
これは180本足(180週分)のチャートだ。
週足チャートに示したとおり、ユーロ/米ドルは1.51ドル台から下落する際に現れたピンクの破線のレジスタンスラインを上抜けた。この時点で、目先の「買いシグナル」が点灯したと考えている。
その後、青の破線の新しいレジスタンスラインが出現したものの、これも上抜けており、再度「買いシグナル」を発している。
新たに出現した青の破線のレジスタンスラインを上抜けたのだから、売り方(ユーロ/米ドルのショート派)はこの時点で、いったん撤退するのが戦術だろう。
なお、週足チャートには、中長期のレジスタンスラインとして、赤の破線を描いている。
筆者は、1.18ドル台から1.42ドル台への上昇の過程において、欧州の財政問題(不良債権問題)が解決していないため、ユーロ/米ドルを「買い」でついて行くことには懐疑的だった。
その後、上値メドであった1.33ドル台を上抜けてからは、様子見に転じている(「欺まんに満ちた欧州のストレステスト。ユーロ/ドルは1.33ドルでピークアウトか」を参照)。
1.18ドル台から1.42ドル台への上昇の過程では、米国の金融緩和政策を材料にして、ユーロ/米ドルが買われてきた。
しかし、この期間は欧州の不良債権問題がほとんど無視されてきた。ユーロ/米ドルが上昇して行く過程で、欧州のいくつかの国が格下げされたが、その材料には反応しなかった。
個人的には、欧州の不良債権問題を無視して、ユーロ買いを進める気にはなれない。
結果的には1.18ドル台から1.42ドル台まで上昇したが、それでも、どこかで「ユーロ売り・米ドル買い」をすべきだと考えていた。
ただし、その場合でもポジションを小さくして、かつ、便宜的なストップ・ロス(損切り)を置いて、自らを守る必要がある。
だが、11月に入って、FOMC(米連邦公開市場委員会)で追加の金融緩和策が出た頃から、マーケットのテーマは「ユーロの問題点」になったと考えている(「欧州の不良債権問題に再び反応し始めた。ユーロ/ドルを少額でも売ってみたい局面に」を参照)。
引き続き、適宜ストップ・ロス(損切注文)を置いて、どこかで「ユーロ売り・米ドル買い」をすべきだろう。
■「ヘッド&ショルダー」の可能性を考える必要も出てきた
続いても、ユーロ/米ドルの週足チャートをご覧いただきたい。
今度は300本足(300週分)のチャートだ。
「ヘッド&ショルダー(※)」の可能性を考える必要も出てきた。
ただし、現時点では、その発想は時期尚早だとも考えている。
「ヘッド&ショルダー」は、それが完成した時点で粛々と対応すればよいのであって、ネック・ラインを明確に割り込んだ時点で対応するべきだ。「ヘッド&ショルダー」を作るかもしれないといった予見(予測)でポジションを取ると、失敗することがよくある。
週足チャートには、緑の破線で1.2300ドルと1.1850ドルを表示したが、現時点ではネック・ラインを1.2300ドル近辺と考えるのか、1.1850ドル近辺と考えるのか、はっきりせずわからない。
このようなケースでは、実際に1.2300ドルを割り込んだ時点で、どのような値動きになるのかをよく見て判断する必要がある。
1.2300ドルを割り込んで、その後、すぐに大きく急落するようならば、ネック・ラインが1.2300ドルだと判断すればよい。
その一方で、1.2300ドルを割り込んでも急落しないのならば、ネック・ラインが1.1850ドル近辺と考えるべきだろう。
繰り返しとなるが、ネック・ラインが1.2300ドル近辺なのか、1.1850ドル近辺なのか、現時点では判然としない。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)
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