■対円ではドル安だったのに、対ユーロではドル高だった
2010年を振り返ってみると、米ドル/円は、一貫して「米ドル安・円高トレンド」が持続(継続)した。
今回の「米ドル安・円高トレンド」は、2007年6月の高値124円台から始まっており、米ドル/円は【今のところ】期間が3年半にわたり、【今のところ】値幅が44円の下落を見たことになる。
2010年の年末時点で、米ドル/円の相場を見る限りは「米ドル安・円高トレンド」には変化の兆しがない。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
だから、2011年の前半には、もう一段の「米ドル安・円高」が進み、80.00円を割り込むことになるだろうと考えている。
一方、ユーロ/米ドルは、ヨーロッパの各国政府の財政問題や金融機関の保有する不良債権の問題で、2010年は「ユーロ安・米ドル高」傾向に推移したと判断している。
2010年の6月頃から11月初旬までは、米国の金融緩和策(QE2)を材料に「ユーロ高・米ドル安」傾向に動いたが、2010年を総じて見るならば、「ユーロ安・米ドル高」傾向だったと言ってよいだろう。

(リアルタイムチャートはこちら→FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
通常の(従来の)外国為替市場では、米ドル/円が「米ドル安・円高トレンド」の場合は、同じ期間を見ると、ユーロ/米ドルは「ユーロ高・米ドル安」に動くことが多い。
しかし、2010年は、米ドル/円が「米ドル安・円高トレンド」だったのに、ユーロ/米ドルは「ユーロ安・米ドル高」傾向だったと言い換えることができる。
■新しい外国為替市場が始まっているのかもしれない
こういった値動きの変化は一時的なものなのか、それとも、外国為替市場そのものが変化して、恒常的なものになるのか、現時点では判断できない。検証の時間が短すぎて、判断を下せないためだ。
ただし、一時的か、恒常的かは判断できないものの、その対応方法だけははっきりしている。
米ドル/円とユーロ/米ドルを比較しないで、別々に判断すればよいということだ。
従来の外国為替市場ならば、「ユーロ/米ドルが大きく下落したならば、いずれ、米ドル/円は上昇するだろう」といった推測ができた。
あるいは、従来の外国為替市場ならば、「ユーロ/米ドルが大きく上昇したならば、いずれ、米ドル/円は下落するだろう」といった推測ができた。
しかし、現在は、米ドル/円の値動きを予想する際に、前述したようなユーロ/米ドルの値動きを材料にせずに、米ドル/円単体で判断するしかない。
そういった意味では、過去の経験則が通用しない、新しい外国為替市場が始まっているのかもしれないといった畏怖の念を抱いている。
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