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田向宏行
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FX情報局

【全文書き起こし3/4】 店頭FX業者の
決済リスクへの対応に関する有識者検討会
(第2回)

2018年05月25日(金)14:26公開 (2018年05月25日(金)14:26更新)
FX情報局

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■金先協会:中小の業者はポジションを持っていないところが多く、未カバーポジションリスクの心配はない

山﨑オブザーバー 弥永先生、ありがとうございました。まずストレステストの実施状況ということで、よろしいでしょうか。

弥永メンバー はい。

山﨑オブザーバー ストレステストの実施状況を協会はどうやって確認しているのか、というところですが、私ども、実地監査を定期的に行っています。

 FX関連では、最近として4年に一度程度ということになってくるのですが、そういう実地監査。そして昨年10月1日に施行以降の実地監査では、ストレステストの状況をチェックしています。いわゆる私どもの協会の規則に沿っているかどうか、ということをチェックしています。

 一方でモニタリングというところでも、ストレステストが行われているかということはモニタリングをしています。

 ただし、先ほどもちょっと申し上げましたように、まだ10月からで少ないので、中小の、特に小さいところではまだ自社で行うというものはなく、共通ストレステストをそれに代えているという業者が、中小では多いという状況です。

 あと、先生のご質問にありました36ページ、下の18社以外はどういうことなのかとお話しいただきました。

ストレステスト⑦(再掲載・クリックで拡大)
ストレステスト⑦

※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、36ページの「ストレステスト⑦」を掲載

山﨑オブザーバー こういった中小業者はいわゆるSTP(※)といいますか、どこからか配信元から出てきたレートをそのまま配信をしていく。ホワイトラベルという言い方がありますが、そういうような業者が中小のほうに多いということです。

(※編集部注:「STP」とは「Straight Through Processing」の略。顧客から受けた注文をそのままインターバンク市場に流すような取引システム)

 そもそもポジション自身を持っていないというのが中小のところです。今回の18社を選ばせていただきましたのは、いわゆる決済のリスクというような今回の検討会のテーマでしたので、決済に影響があるような大手を集めて、ポジションを持っているところを集めて、このような結果を報告させていただいたという次第です。以上です。

池尾座長 どうもありがとうございました。それでは坂メンバー、お願いします。

■坂弁護士:業者が顧客取引の約定判断をする場合としない場合があるというが、その意味をもう少し教えてほしい

坂勇一郎メンバー(東京合同法律事務所 弁護士。以下、「坂メンバー」と記載) ありがとうございました。私のほうからはご報告の中身を、趣旨を理解する観点から、いくつかご質問させていただければと思います。

 まずは協会さんのほうのご報告です。1つ目は10ページ、ここでは業者側の業態の区分でご説明いただいていたと思います。

業者(協会員)④(クリックで拡大)
業者(協会員)④

※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、10ページの「業界(協会員)④」を掲載

坂メンバー これは、1つは約定判断という欄の意味について、ここでは業者さんの顧客取引の約定判断をするというものと、それから業者ではこういう取引では約定判断しないという、2つの区分けがされているのですが、この意味を、もう少し教えていただければということが1つ。

 それから先ほどご報告の中でお話はあったかと思いますけれども、全部で6業態の中で比較的規模の大きな業者さんというのは、要するに1番目のモデルが比較的多いということで、中小の業者が下の2つのモデルが比較的多いというご報告だったかと思います。そういう理解でよろしかったかどうかというのが一つ。

■坂弁護士:ストレステストの枠組みで「顧客不利方向」と「自社不利方向」と書いてあることの意味を確認したい

坂メンバー それから次に、ご報告の中のストレステストについてのところ、30ページです。ストレステストの枠組みについては、ここの理解は非常に重要だと思っておりますので、少し中身を確認させていただければと思います。

ストレステスト①(クリックで拡大)
ストレステスト①

※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、30ページの「ストレステスト①」を掲載

坂メンバー 30ページの中で顧客不利方向という記述と、自社不利方向という記述があります。この言葉の意味ですけれども、顧客不利方向というのが、顧客不利に価格が動いた建玉について発生するリスク。自社不利方向というのが、自社に不利に価格が動いた建玉について発生するリスク。そういう理解でいいのかどうなのかを、確認させていただければと思います。

 そういたしますと、ここに書かれているリスクの中身というのは価格の変動の方向性によって比較的大きく現実化するものと、それから比較的小さくしか現実化しないものが、価格動向によって、たぶん違ってくるのではないかという気がしていて。具体的な、例えば具体例をもしできれば、今日でなくて結構ですけれども、示して、どういった形でそのリスクが現実化していくかを、どこかの機会に教えていただけるとありがたいかなと思っています。

■坂弁護士:「Net建玉」という言葉の意味を少し教えてほしい

坂メンバー それからもう1点、細かくて申し訳ないのですが、32ページ。ヒストリカルシナリオによる試算が書いてあります。

ストレステスト③(クリックで拡大)
ストレステスト③

※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、32ページの「ストレステスト③」を掲載

坂メンバー この中でⅣの「ストレステストの対象リスク」という項目の中、(2)「ヒストリカルシナリオによる試算」の①です。

 ここに「ストレスをかけるポジション」として「クローズ時のNet顧客建玉」とあります。「Net建玉」という言葉の意味を少し教えていただきたい。要するに売りと買いの建玉を相殺したあとの差額についてのことを意味しているのか、どうかということを確認したいと思います。

■坂弁護士:未カバーポジションについては、クローズ時点と比べて、日中最大その倍くらいのリスクが存在すると考えていいのか?

坂メンバー 最後にもう1点、36ページ。1.のところで「未カバーポジションの状況」ということで、日中最大、クローズ時点の2つの数字が出ているのですけれども、この数字を拝見しますと、クローズ時点と比べて、日中最大その倍くらいのリスクが存在することになるという理解でいいのかどうかを確認させていただければと思います。以上です。

ストレステスト⑦(再掲載・クリックで拡大)
ストレステスト⑦

※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、36ページの「ストレステスト⑦」を掲載

池尾座長 それではよろしいですか。手短に。概念の確認ですから。

■金先協会:「業者が顧客の約定を判断する」というのは自らがディーラーとしてポジションを持っていて約定を判断できるということ。

山﨑オブザーバー それではご説明させていただきます。まず、はじめの私どもの資料10ページのところです。先生のご指摘になった、ご確認いただいた、約定判断というところです。これはいわゆるエージェントモデルとプリンシパルモデルという、一般的な言い方をご理解いただいてよろしいかと思っています。

業者(協会員)④(再掲載・クリックで拡大)
業者(協会員)④

※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、10ページの「業界(協会員)④」を掲載

山﨑オブザーバー 本当は約定判断のところでポジションを持っているのがプリンシパルモデル、持たないのがエージェントモデルという言い方をするのですが。

 今回ここで私どもが約定判断で使いましたのは、そういうような意味ではなくて、上のところの業者が顧客の約定を判断するというのは、結局、最終的にはプリンシパルモデルの入り口であるというところです。

 ですので、業者さんが約定を判断できるということは、どこからか店頭に持ってきて、そういったものを流していることではないんだよと。自らがディーラーとしてポジションを持っていて約定を判断できるんだよ、というような認識です。

 逆に下のほうはそうではない業者ですので、レートを持ってきた配信元のほうに結局、返していかなければ、自らは、判断はできないというところの意味合いで使っています。

■金先協会:ストレステストにおける「顧客不利方向」とは、顧客が損する方向へストレスをかけてテストするという意味

山﨑オブザーバー 次は30ページのところに顧客不利、自社不利のところです。これはストレステストですので、最大損失額を算定しなければいけないので、損失を減らす方向の説明です。

ストレステスト①(再掲載・クリックで拡大)
ストレステスト①

※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、30ページの「ストレステスト①」を掲載

山﨑オブザーバー 未収金発生の場合は、お客さまに損をさせると未収金が発生しますので、これなんかはお客さまの損の方向で適宜かけていく。

 カバー取引先破綻リスクというのは、やはり自社が最大の損をする。要するに再構築コストがいちばん高くなるような方向にかけているというようなことで、最大損失を出す方向の、という意味です。

 続いてのご確認ですが、32ページ、ストレステストの対象リスクのところです。「Net顧客建玉」という言葉を使っています。これは先生がおっしゃいましたように、買い建てと売り建てをネットした数字という意味でございます。

■金先協会:クローズ時点での未カバーポジションの数字が大きいのか、小さいのか、金先協会では判断しかねる

山﨑オブザーバー 次の36ページ、この金額が倍となっているところです。

ストレステスト⑦(再掲載・クリックで拡大)
ストレステスト⑦

※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、36ページの「ストレステスト⑦」を掲載

山﨑オブザーバー これは業者さんの中においては、いろいろとリスク管理をされているところが出てきたりします。私どもの理解としては、日中のポジションは持っていてもクローズ時にポジションをクローズされる業者の方が多いのではないかというふうに理解しております。

 ただ、多くはないですが、クローズ時点でも、いわゆるオーバーナイトのリスクをキャリーされているという業者もいらっしゃいます。

 この数字がどういうことなのか。大きいのか、小さいのか、もしくは半分になるのが妥当なのかという判断は、私どもではしかねるという部分でございます。

 ただ、先ほど言いましたように、1%の変動で最大でも22億円。これが仮にドル/円で全部ポジションを持っているとすれば、1%変動でだいたい1円ですから、1円で22億円の損益が変動するというところなので、資本金と比較して、そんなに大きくはないような気がしています。

 ストレステストの実際の数字を動かしてという部分ですが、よろしければ次回の検討会で回答をさせていただきたいと思います。以上でございます。

「【全文書き起こし4/4】 店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(第2回)」へつづく)

(編集担当:ザイFX!編集部・庄司正高&井口稔)

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