ＥＵ首脳会議で、“鉄の女”が折れた！？
市場は安定してきたがまだユーロは売り！

2012年07月05日(木)18:20公開 (2012年07月05日(木)18:20更新)

今井雅人

■ＥＵ首脳会議のポイントは３点！

６月28日（木）、29日（金）に欧州でＥＵ（欧州連合）首脳会議が行われました。

先週のコラムを掲載した直後のことです。

【参考記事】
●ギリシャ再選挙を終えて市場は材料難か。“鉄の女”メルケルと米雇用統計に注目！（今井雅人、６月28日)

この首脳会議では、スペイン、イタリアなどについての対応策が協議され、予想されていたよりも踏み込んだ合意がなされることとなりました。

ユーロ/米ドル４時間足

合意のポイントですが、大きくわけて３点あります。

（１）ＥＵの域内総所得（ＧＮＩ）の約１％に相当する約1200億ユーロ（約12兆円）を即効力のある成長対策に投じる

（２）厳しい財政状況にあるイタリアやスペインへの支援を念頭に、ユーロ圏の基金を使って各国の政府を通さずに直接、銀行の資本を増強するためのしくみを整える

（３）財政再建に着実に取り組んでいる国に対しては、厳しい条件を課すことなく、ユーロ圏の基金を活用して国債を買い支え、金融市場の安定化を図る

（１）は、簡単に言えば、ＥＵ域内での経済対策の実施を「みんなでやりましょう」ということです。

12兆円という規模はどうなのかと言えば、経済の規模に対して１％程度ということで、それほど大きな金額ではありません。

しかし、他の対策と同時に発表されたことで、一定の評価を受けているということではないでしょうか。

（２）は、イタリアやスペインの民間の金融機関に対する公的資金の注入をそれぞれの政府からではなく、ＥＵから直接行えるようにするものです。

これまで、イタリアやスペイン政府にＥＵから資金支援を行い、その資金を活用して、各国政府がそれぞれの国の民間銀行に公的資金を注入する案が考えられていました。

しかし、それでは、イタリアやスペインの財政赤字を拡大させることになり、各国の国債の金利が上昇するという悪影響を招く…

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