■日経平均の上値余地はさらに拡大中?
みなさん、こんにちは。
年末に向けての日経平均は、誰もが想像しなかった16連騰を記録。

(出所:Bloomberg)
過去のコラムでご紹介させていただいたとおり、昨年(2016年)に続き、今年(2017年)も北朝鮮問題を筆頭にリスクオフに傾斜する報道が盛りだくさんでしたが、そのリスクオフポジションの反動が加速した展開。
【参考記事】
●米大型減税の行方がマーケットの関心事。米ドル/円118円上昇のカギを握るのは…!?(10月19日、西原宏一)
加えて、欧米投資家の動向を大きく変えさせたのが日本の総選挙でした。
当初、与党の劣勢が伝えられていたため、欧米短期筋は日経平均をショートにしていた模様。
それが徐々に与党の優勢が伝わり、選挙は与党の圧勝という結果に。
【参考記事】
●与党圧勝で海外勢の日本株買いが再開? 米ドル/円は目先114円台半ば突破がカギに(10月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
欧米勢は国内の機関投資家以上に「アベノミクス」の行方を気にしています。
今回の総選挙での与党の圧勝により、アベノミクスの継続を確認した欧米勢は投資スタンスを大きく変更。
つまり、日本株のショートからロングに方針を変更したため、10月は連日、欧米勢からの日本株の買いがマーケットに投入されます。
これが、驚愕の日経平均の連騰につながります。
加えて、今月(11月)に入り、新規マネーが入ったのか国内機関投資家の日本株買いも入り、日経平均はあっさり2万2000円台を回復します。
次の日経平均のターゲットは、2万2750円。
これは1996年6月、つまり今から21年前につけた高値となります。
現在、2万2750円のコール(買う権利)オプションの価値は急騰しており、日経平均の上値余地はさらに拡大中。

(出所:Bloomberg)
一方、米ドル/円は依然、114.50円のレジスタンスに阻まれ、上値を伸ばせないでいます。

(出所:Bloomberg)
■リスクオンにいち早く反応した米ドル/スイスフラン
株の急騰は、いわゆるリスクオン。つまり、「株高・債券安・商品高・円安・スイスフラン安」という流れになります。
これに、いち早く反応しているのが、米ドル/スイスフラン。
米ドル/スイスフランは、米ドル/円やユーロ/米ドル、米10年債利回り同様、9月8日(金)の変化日に0.9421フランという安値に到達しています。
【参考記事】
●北朝鮮建国記念日が相場の転換点だった! 日本株は約21年ぶり高値。米ドル/円は?(10月12日、西原宏一)
米ドル/円同様、「陰の極」を演じた後の米ドル/スイスフランは続伸を続け、本稿執筆時点では1.0000フラン絡みで推移しており、パリティ(1米ドル=1.0000フラン)回復間近の展開。

(出所:Bloomberg)
この米ドル/スイスフランの動向も世界的な株高、つまり、リスクオンに反応している要素が強いため、周回遅れで米ドル/円も、この米ドル/スイスフランの動きに追随するのではないか? と考えています。
■米ドル/円はレジスタンスライン突破で上昇に弾み
前述のように、日経平均の歴史的急騰や米ドル/スイスフランの反発と比較すると、米ドル/円の上昇はいかにも緩慢。
この理由には、過去のコラムでご紹介させていただいた、米10年債利回りが上昇してこないことや、114円台のオプションに阻まれていることも挙げられます。
【参考記事】
●北朝鮮建国記念日が相場の転換点だった!日本株は約21年ぶり高値。米ドル/円は?(10月12日、西原宏一)
●米大型減税の行方がマーケットの関心事。米ドル/円118円上昇のカギを握るのは…!?(10月19日、西原宏一)
加えて、米ドル/円の上値を抑えているのが、2015年6月からのレジスタンスライン。
このレジスタンスが、本稿執筆時点では114円台後半に位置しています。

(出所:Bloomberg)
このレジスタンスラインが、過去2年半、米ドル/円の上値を抑えていた展開。
仮に、このレジスタンスラインを上抜ければ米ドル/円の上昇が加速する公算大です。
先週のコラムでご紹介したように、米ドル/円が反落する局面では、本邦機関投資家のオープン外債(為替をヘッジせず、オープンで投資する外債)に絡む米ドル買い注文が待っていることも予想され、米ドル/円の下落余地は限定的。
【参考記事】
●ドル/円は118円への上昇過程! 注目は…!? NZドルを反落させたネガティブ材料とは?(10月26日、西原宏一)
結果、早晩、米ドル/円は114円台後半のレジスタンスを抜け、上昇に弾みがつくのではないかと考えています。

(出所:Bloomberg)
16連騰という記録的な急騰を見せた日経平均に、周回遅れで上昇を開始した米ドル/円。
重要なレジスタンスで、もみ合いを演じていますが、下落余地が徐々に限定的となり、11月は上値を大きく伸ばすことが期待される米ドル/円相場の行方に注目です。
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