■南北首脳会談へ融和ムード高まる
4月21日(土)早朝に流れたのは、「北朝鮮、核実験とICBM発射中止を発表」とのヘッドラインでした。
核実験場の廃止も併せて発表されましたが、「すでに核兵器が完成したから廃止するのでは」と、うがった見方をすることもできます。
北朝鮮に対する経済制裁も継続されており、大きく状況が変わったわけではありません。
そんな中、4月27日(金)には南北首脳会談が開催されます。南北統一の方向へ向かっている感じですね。
これまでの北朝鮮は、うまく融和ムードを演出していますが、それだけ経済制裁が効いていることの裏返しでもあるのでしょう。
4月27日(金)の会談がどんな内容になるのか、注目ですね。
■米金利急騰の中、FANG系の決算発表へ
マーケットで注目されたのは、米金利。米10年債利回りは、2014年1月以来の水準となる2.965%まで上昇してきました。
米金利上昇を受けて、為替市場では全般、米ドル高となっています。
(出所:Bloomberg)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
米金利上昇は、短期的には米ドル高につながるのでしょうが、一方で米国株にはマイナスです。
ハイテク株が重たくなっていることもあり、米国株の調整が米ドル/円の下落を誘うのでは? と思います。
【参考記事】
●米通商政策に加えて、シリア情勢悪化が懸念材料に…。 米ドル/円は戻り鈍く反落か(4月12日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
原油が70ドル目前まで上昇し、インフレが意識されたことが金利上昇の一因となっているようですね。原油高の背景にあるのは、5月に決断の期日が迫るイラン核合意の見直しや制裁の再開、在イスラエル米大使館のエルサレム移転などへのリスク懸念。
ただ、トランプは、「原油は(OPECのせいで)人為的に上昇している。良くないことだし、容認できない!」とツイッターで批判しています。
【参考記事】
●シリア空爆へのマーケットの反応は限定的。M&Aと原油高で英ポンドに買い妙味アリ!?(4月16日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:Bloomberg)
今年(2018年)は、インフレの年との見方がありますね。年初、米長期金利が2.5%を超えてきたとき、債券王と呼ばれたビル・グロス氏(※)は「債券トレーダーはシートベルトを装着しろ」と、債券の弱気相場(金利上昇)入りを宣言しました。
(※編集部注:「ビル・グロス氏」は、米国の債券運用会社「パシフィック・インベストメント・マネジメント・ カンパニー(PIMCO)の共同創業者で、世界的に有名なファンドマネージャー)
【参考記事】
●米ドル/円、株や米長期金利の上昇に追随できず…。111円割れなら107円台も視野!(1月11日、西原宏一)
今日(4月23日)はグーグル(Google)、25日(水)にはフェイスブック(Facebook)とツイッター(Twitter)、26日(木)にはマイクロソフトとインテル――今週(4月23日~)は、FANG系(※)やハイテク企業の決算発表が続きます。
先週(4月16日~)は、ネットフリックスが予想を上回るサプライズ的な好決算で急騰しました。決算発表で米国株がどう動くのか、注目ですね。
ネットフリックスは好調でしたが、全般的に見るとFANG系は好材料を織り込み過ぎている感があります。よほどのサプライズ決算にならないかぎり、上値は重たいのではないでしょうか。
■日銀、ECBの中銀会合も無難に通過か
今週は26日(木)にECB(欧州中央銀行)理事会、27日(金)には日本銀行の政策発表も控えています。
北朝鮮情勢が動き出している中で、日銀が動けるかといえば難しい。大きなイベントになるとは思えません。
ECB理事会では9月末で期限を迎える資産買い入れについて、早めに議論を始めるのか、それとも無難に通過するのか。
テーパリング(※)に向かっているため、ユーロ/米ドルは大局的には買われるのだろうと思いますが、「1.23ドルから1.24ドルの水準は欧州当局が高すぎると考えるだろう」と見る銀行も多いようです。もう少しレンジが続くのかもしれませんね。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
(出所:Bloomberg)
■IMFは「世界金融危機前夜」と警告
IMM(国際通貨先物市場)のポジションを見ても、ユーロのロングがパンパンです。これだけ偏っていると、上放れするには、大きな材料が必要なのかもしれませんね。
もう1つ気になるのは、上海株の下落。チャート的にも弱い形になっています。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
(出所:Bloomberg)
米中貿易摩擦もありますし、ちょっと怖いな、という印象ですね。モルガン・スタンレーは、「相場のうたげは『終わりに近い』」とのレポートを出しました。
【参考記事】
●調整相場終了。セル・イン・メイに向けてドル/円は再び100円への下落基調入りか?(4月19日、西原宏一)
IMF(国際通貨基金)も、「リスクの高い資産価格が急上昇しており、過去の世界金融危機前夜を連想させる」と警告しています。
4月も、間もなく終わり、来週(4月30日~)からはセル・イン・メイの5月に入ります。米国株の調整による米ドル/円の下落を想定して、戻りを売っていきたいと思います。
(構成/ミドルマン・高城泰)
【お知らせ】来週4月30日の「今週の作戦会議」は休載させていただきます。何卒ご了承ください。
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