■21年ぶり高値の日経平均でも円安進まず
日経平均が強いですね。先週末(10月13日)の終値は2万1155円。21年ぶりの高値だそうです。
(出所:Bloomberg)
日経平均は2万1000円にデリバティブ系の「ついたら困る」玉が多くあったようです。それがついたために勢いが強まった。
ところが、米ドル/円がついてきません。先週(10月9日~)は何度も「なぜ日経平均が上がるのに米ドル/円は上がらないのか」と聞かれました。
今はリンクが切れており、ダブルデッカー(2階建てバス)のようには上がらないかもしれませんが、為替と株価のどちらが正しいかといえば日経平均。
米ドル/円もいずれ追随して上昇が再開すると見ています。
【参考記事】
●北朝鮮建国記念日が相場の転換点だった! 日本株は約21年ぶり高値。米ドル/円は?(10月12日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
足もとの米ドル/円は米金利に相関しているようですね。
米金利がダレてきているために米ドル/円の頭が重くなっている。米国サイドの材料を見ているのが、今の米ドルですね。
(出所:Bloomberg)
米金利はなかなか上がらないですが、かといって昨年(2016年)の想定からすれば今の金利水準は低すぎるため、2%を割って崩れるようなイメージもありません。
■税制改革、次期FRB議長、トランプのツイッターバトル
12月のFOMC(米公開市場委員会)での利上げは織り込まれつつありますが、市場は来年(2018年)の利上げがあるのかどうかを意識し始めているのでしょうか。
先週、10月13日(金)に発表された米CPI(消費者物価指数)は予想を下回りましたし、インフレ指標に力強さが感じられないことが、米金利の上昇を阻んでいるのかもしれません。
(出所:Bloomberg)
次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長をめぐる報道も増えてきましたね。
過去の例からすると今週(10月16日~)あたりに指名されてもおかしくない。
タカ派のウォルシュと、ハト派のパウエル、それにイエレンの再任――3つのシナリオがあるようです。米ドル買いの材料となりそうなのは、ウォルシュの指名でしょうね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
トランプ政権の目玉のひとつである税制改革もいよいよ佳境です。今週(10月16日~)にも上院での可決をめざすとされています。
ところがトランプ米大統領が上院の重鎮議員とツイッターでバトルを繰り広げたことから、可決が難しいのではとの観測が出ているんですよね。
米金利の低下はこれが嫌気されことも一因のようです。もし今週(10月16日~)、税制改革法案が可決されれば米ドル買い、否決なら米ドル売りの材料と考えていいのでしょう。
■1.16ドル台ミドルの節目に注目のユーロ
こうしたヘッドラインはいろいろあるのですが、大きな相場観としては米ドル/円、ユーロ/米ドル、それに金(ゴールド)がそろって反転した9月8日(金)以降の流れは変わらないと考えています。
【参考記事】
●北朝鮮建国記念日が相場の転換点だった! 日本株は約21年ぶり高値。米ドル/円は?(10月12日、西原宏一)
米ドル高ということですね。ユーロについてはどうですか?
ドイツでは盤石だったメルケル政権にほころびが見えていますし、10月15日(日)のオーストリア総選挙でも極右政党が第2党に躍進、政治的な不安定感が高まっています。
景気についても「思ったほどの強さはないのではないか?」との声が増えてきた。先週(10月9日~)のユーロ/米ドルの動きを見ても、9月8日(金)高値と10月6日(金)安値の50%である1.1880ドルできれいに頭を抑えられています。
1.16ドル台ミドルを割り込むと深めの調整がありそうですし、割れなければレンジでしょうか。
(出所:Bloomberg)
欧州では10月17日(火)発表の英CPIも注目ですね。予想はプラス3%。これを上回れれば利上げ期待が高まって英ポンド買いとなりそうです。
(出所:Bloomberg)
このところの英ポンドは投機通貨としての色合いが強まっている印象。
ヘッドラインによる乱高下が目立ちます。下手にさわるのは怖いですね。
■共産党大会を狙った北朝鮮の挑発行動も
10月18日(水)からは中国で共産党大会が始まります。これに合わせて気をつけたいのが北朝鮮。
過去にも中国での国際会議などに合わせて挑発行動を起こしたことがあります。最近の北朝鮮は中国への不満を高めているようでもあり、大会期間中に何らかの挑発行動を起こす可能性がありそう。共産党大会は10月18日(水)から24日(火)までです。
北朝鮮リスクで米ドル/円が下げたところは、これまでどおり買い場と考えていいと思います。
(出所:Bloomberg)
今週末、10月22日(日)には日本の総選挙も控えていますね。
希望の党の登場で「自民党、危うし」の報道が流れると海外投資家も気にしていましたが、「与党の過半数は固いようだ」と伝わり出すと興味を失っているようですね。
今週(10月16日~)の戦略としては、ユーロ/米ドルの戻り売りを中心に見ていきたいと思います。
(出所:Bloomberg)
米ドル/円の押し目買いもいいのですが、日経平均の過熱感が気がかり。ユーロ/米ドルの戻り売りがいいのではないでしょうか。
(構成/ミドルマン・高城泰)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は登録後10日間無料解約可能なので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)