今週に入り、グローバルマーケットを覆っていたリスク回避シナリオが少しずつ後退していたのですが、昨日になって状況が急変し、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は急騰しています。
■欧州各国が金融機関の資本増強・公的資金注入を決めた
今回のリスク回避シナリオは、前回のコラムで申し上げたとおり、欧州当局者の意見が統一されていないことが大きな要因でした(「トリシェ総裁最後の会合でECBの利下げはあるのか? 会見後の動きに注目!」を参照)。
ところが、今週に入ると、政策当局の姿勢が明白になってきました。
まず、懸念材料だった欧州大手金融グループのデクシアですが、フランス、ベルギー両国政府の管理下に置かれ、不良資産の切り離しと銀行部門の一時国有化が行われると報道されています。
次に、サルコジ仏大統領とメルケル独首相が、欧州銀行の資本増強の必要性について「認識は一致している」と表明しました。
そして、10月12日(水)に行われた欧州委員会では、バローゾ委員長が「域内銀行の資本増強では、協調したアプローチが必要だ」とコメントしました。
これら一連のニュースは、欧州当局者が一致団結して、ユーロ圏の債務危機に対応していると宣言したことになります。
このことを受けて、市場に覆っていたリスク回避シナリオは大きく後退しました。
10月12日(水)のマーケットでは、欧州の金融株が反発し、米国の金融株も連れて大幅に上昇。S&P500種株価指数は前日比で一時2.1%も上昇しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
為替市場もrisk onとなり、ユーロ/円は107.07円まで、リスクアセットである豪ドル/円の反発も激しく79円近くまで、一時は急騰しました。
■リスク回避シナリオの後退で、ヘッジファンドの動きは?
前述のように、欧州各国が金融機関に対する資本増強や公的資金注入を決定したことで、欧州債務問題は解決に向けて一歩前進したと言えるでしょう。
ただ、足元のマーケットの動きはリスクを積み増しているのではなく、リスクシナリオを修正している段階です。
つまり、ポジションをクローズする動きが進められていて、そのため、クロス円の上昇スピードが急激なものとなっています。
それは…
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)