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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

山本幸三議員発言があっても4月緩和の
可能性は低い。ドル/円の調整に要注意!

2015年04月02日(木)18:37公開 (2015年04月02日(木)18:37更新)
西原宏一

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■イースターホリデーや米雇用統計控え、為替はレンジ推移

 みなさん、こんにちは。

 今週(3月30日~)は月末、期末、四半期末を迎える週です。

 加えて、欧米勢にとっては、イースターホリデーを迎えることになり、4月3日(金)には米雇用統計を控えています。

米3月雇用統計は4月3日(金)21時30分の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移

 以上のことから、為替マーケットも方向感なく、レンジでの推移に終始しています。

世界の通貨VS円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足

■山本議員の発言で日銀の追加緩和期待が台頭

 その中で、一時、マーケットの注目を集めたのが、下記の自民党・山本幸三議員のコメント。4月1日(火)に発表されたロイターの下記報道で、一時、マーケットが乱高下しました。

追加緩和は必要、4月末の日銀会合が好機=自民・山本氏

アベノミクスの仕掛け人である自民党の山本幸三衆議院議員は1日、ロイターのインタビューに応じ、日銀短観など最近の経済指標を踏まえた景気情勢には足踏み感があり、注意が必要と語った。物価がマイナスに陥る可能性も指摘し、追加緩和が必要だと述べた。追加緩和でも円安が加速するとは思わないとして、国際的に批判されることはないと述べた。

追加緩和のタイミングについて山本氏は、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が公表になる4月30日会合が「良いタイミングだ」と指摘。「景気が足踏み状況にある。物価もマイナスになる可能性がある」とし、「日銀として、2%目標に向かって断固対応する姿勢を示さないわけにはいかない」と緩和の強化を促した。

緩和手段については、国債以外にも、社債・REIT(不動産投資信託)などの買い入れ、付利をなくすなど、いろいろあると語った。

出所:ロイター

 これまで山本幸三議員は、昨年(2014年)10月の日銀の追加緩和、加えて消費税引き上げの見送りを主張しており、実際に彼の主張どおりになったことは、マーケットでは知られていること。

 個人的にも、2015年年内に何らかの追加緩和が行われるのではないかと考えているのですが、とはいえ、4月の緩和の可能性はさすがにかなり低いのではないでしょうか?

 安倍首相にも近い山本幸三議員のコメントですが、さすがにマーケットは冷静で、米ドル/円の高値も120.30円止まり。

米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

 本稿執筆時点で、米ドル/円は119.50円近辺で推移しており、山本幸三議員のコメントが出されたレベルまで戻しています。

■中長期の米ドル高トレンドは変わらずもスピード調整は必要

 今週(3月30日~)はイースターホリデーを控えて、米ドル/円、ユーロ/米ドルとも、ポジション調整が主体のマーケットであり、レンジ圏での推移。

 ただ、米国の経済指標はまだら模様であり、4月1日(水)に発表されたADP全米雇用報告も芳しくない結果に。

 発表によれば、今回の数字に影響を及ぼしたのが、原油価格の下落と米ドル高

NY原油先物 日足

(出所:米国FXCM

米ドルVS世界の通貨 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足

 米国経済が好調であることは明白ですが、第1四半期のユーロに対する米ドル高のスピードが速すぎたため、米国企業の対応が遅れがちになっていることもあるのでしょう。

 ただ、ルー米財務長官は「強い米ドル(strong dollar)政策」をまったく変更していません

強いドル、堅調な米経済の反映であれば好ましい=ルー財務長官

ルー米財務長官は31日、堅調な米経済を反映してドルが上昇している場合には特に、強いドルが米国にとって好ましいとの認識を示した。米中関係に関する講演の後、聴衆に対して述べた。

長官は「強いドルは米国にとって好ましい。他国と比較して堅調な米経済を反映している場合には、特に好ましいと言える」と強調。一方、「不公平な介入の結果、ドルが上昇しているのであれば全く別の話だ」と述べた。

出所:ロイター

 米ドル高のスピードが米国経済に重大な悪影響を与えるようであれば、話は変わるのでしょうが、現状のレベルであれば、問題ないということなのでしょう。

 実際、米ドル高が困るのであれば、米国は利上げをしなければいいわけですから。

 結論としては、中長期の米ドル高トレンドは変わらないのでしょうが、ある程度のスピード調整は必要ということになります。

■日銀追加緩和期待による反動の円高に注意

 ここで注目されるのが、昨年(2014年)後半に急速に米ドル高となった米ドル/円

米ドル/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足

前回のコラムでご紹介させていただいたように3月10日(火)でトップアウトしたと思われる米ドル/円は、本稿執筆時点で119.50円で推移。

【参考記事】
米当局から米ドル高牽制コメント相次ぐ! 米ドル/円は115円に向けて下落開始か(3月26日、西原宏一)

 マーケットでは、前述の山本幸三議員のコメントの影響で、にわかに日銀の追加緩和期待が高まっていることもあり、その反動での円高余地も拡大しています。

 このところの米国の経済指標は、米ドル高の影響もあって少し減速気味であるため、4月3日(金)の米雇用統計の数字には要注意

【参考記事】
なぜ、4月3日の米雇用統計時の相場はいつも以上に荒れる可能性があるのか?(3月31日、西原宏一&松崎美子)

米雇用統計の数字が好ましくなければ、米ドル高の調整スピードが加速する公算が高まっています

米ドルVS世界の通貨 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足

 引き続き、日銀の追加緩和期待の高まりでも上値を伸ばせず、調整モードが深くなってきている米ドル/円の行方に注目です。


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