■12月FOMCの値動きが再現されるか?
米ドル/円は、先週、3月10日(金)の米雇用統計で115.50円まで上昇しましたが、直後にロス商務長官の発言で下落。
結局、1月19日(木)の高値を超えられず、レンジに戻ってしまったように見えますね。
(出所:Bloomberg)
今週は、15日(水)の深夜にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。
利上げはほぼ確実ですが、織り込みも進んでいるため、利上げの発表前後にセル・ザ・ファクトで米ドル/円は売られるのかなというイメージ。
【参考記事】
●イベント重なる3月15日に注目! FOMCで米利上げ決定、セル・ザ・ファクトとなるか(3月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
●FOMC後のセル・ザ・ファクトを警戒! 米ドル/円が115円を突破するカギは…!?(3月9日、西原宏一)
118.66円の高値をつけてから反落した、昨年(2016年)12月15日(木)のFOMCと同じイメージですね。3月15日(水)まで急落がなければ、という前提ですが。
(出所:Bloomberg)
セル・ザ・ファクトから、長期的に米ドル安が進むという見通しですか?
今年(2017年)1年を通してみれば米ドル高だろうとは思いますが、15日(水)を境に短期的な調整が入るのではないかというイメージですね。
今持っている米ドル/円のロングも、15日(水)までにいったん手仕舞うつもりです。個人的には、プライスアクション次第で短期的にショートにするかもしれません。
■東芝決算の再延期がネガティブ材料となる可能性
米ドル/円がセル・ザ・ファクトで売られるのだとしたら、押し目のメドとしては最初のターゲットとなりそうなのが、レンジの下限である112円近辺でしょうか。
(出所:Bloomberg)
そうですね。ただ、昨年(2016年)12月の利上げ後には、米ドル/円は118円台から111円台まで落ちました。
今回も同じだけ落ちるとは思いませんが、「112円で止まるはず」と、思い込まないほうがいいでしょうね。
15日(水)前後はリスクイベントが多いですよね。気になるのは先月(2月)に延期された、東芝の決算発表です。
14日(火)までに発表するはずですが、再延期するのではとの記事が出ています。本当に再延期されれば、上場廃止なんて声も出てくるかもしれない。
【参考記事】
●東芝1兆円損失の可能性がドル/円に波及。115円付近が当面の高値となるかも…(2月20日、西原宏一&大橋ひろこ)
そんなことになれば、日本株にはネガティブな材料ですよね。
先週(3月6日~)は原油も急落しています。積み上がっていたロングポジションが調整されたためだと思いますが、このまま40ドルへ向かっていくようだと、これも、株式市場にネガティブな材料となってしまいます。
(出所:Bloomberg)
■ユーロ急騰はオプションの影響も
15日(水)には米債務上限問題が期限切れとなりますが、ムニューシン財務長官が期限延長の臨時措置を表明しているのでおそらく大丈夫なのでしょう。同日、オランダでは選挙があり、極右政党が第一党になる可能性が高まっています。でも、連立政権には否定的なので野党第一党にとどまる見通し。
ユーロは先週、3月9日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会以降、急騰していますよね。テーパリング(※)の年内開始が視野に入ってきた、ということなのでしょうか?
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
それもありますが、オプションの影響も大きいはずです。
5月のフランス大統領選挙での極右大統領誕生による「Brexit(英国のEU離脱)の再来」を懸念して、ユーロプット(※)のオプションが買われていました。ただ、買われ過ぎとなっていましたし、中道系候補の支持率が上昇していることもあり、買い戻しが進んでいるのでしょう。
(編集部注:「プット」は売る権利のことで、「コール」が買う権利のこと)
ユーロ/円のチャートは、上がりそうなかたちになってきましたよね。
チャートだけで決め打ちすれば買えるかたちですよね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
米ドル高が調整局面に入り、米ドル/円が急落しないようならクロス円は上がりそうなのですが、ユーロがらみは選挙にまつわるヘッドラインで振り回されがちです。
ファンダメンタルズとヘッドラインがごちゃ混ぜになっていることが、ユーロを取引しづらくさせていますね。
【参考記事】
●行方がわからなかったユーロ/円のトレンドがついに判明!? 120円前後の値動きに注目(3月8日、松田哲)
■セル・ザ・ファクトによる米ドル安に警戒を
イベントでは今週(3月13日~)、日本銀行の金融政策決定会合も開催されますが無風となる見通し。そして週末にはG20(20カ国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議)が控えています。
ムニューシン米財務長官のデビュー戦となりますね。自国通貨安を誘導しようとする国を、米国は容認しないとのメッセージを打ち出す計画だとの報道が出ています。
3月17~18日に、G20(20カ国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議)が開催される。ムニューシン財務長官は、自国通貨安に誘導しようとする国を容認しないメッセージを打ち出すと報じられているが… (C)Bloomberg/Getty Images
来週(3月20日~)は月曜早朝の窓開けに注意ですね。
まとめると、今週(3月13日~)のポイントは15日(水)。FOMCでのセル・ザ・ファクトを警戒し、それまでに米ドル/円のロングを手仕舞い、短期ではいったん売ってもいいかな、というイメージです。
【参考記事】
●月曜日の窓埋めトレードを狙ってひと儲け! 午前3時からトレードすればニ度オイシイ…!?
(構成/ミドルマン・高城泰)
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