■トランポノミクス失速と北朝鮮問題で「米ドル安・円高」継続
みなさん、こんにちは。
前回のコラムでもご紹介させていただいたように、トランポノミクス(※)の失速による米ドル安は継続。
(※編集部注:「トランポノミクス」とは、ドナルド・トランプ氏とエコノミクス(経済学)を合わせた造語で、トランプ氏が掲げる経済政策のこと)
ヘルスケア法案の採決が中止されたことで、トランプ大統領の求心力が低下しています。
【参考記事】
●トランポノミクス失速でさらなる米ドル安も。新年度入りで本邦勢がどう動くかがカギに(3月30日、西原宏一)
●米中首脳会談はあの国がリスク要因に!? 悪材料出尽くしの英ポンドは上昇ターンへ!(4月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
トランポノミクスに対するリスクは、トランプ政権及び共和党の目指す経済政策の実行が遅れてしまうことといわれていましたが、それが現実のものとなります。
加えて、北朝鮮に絡むリスクが顕在化し、有事リスクが、日本株を押し下げます。
そして、本日(4月6日)からの米中首脳会談とマーケットには不安定材料が多く、円高要因には事欠きません。
米国債利回りの低下も相まって、米ドル/円の戻しは極めて重く、本稿執筆時点では110円台ミドルでの攻防を演じています。

(出所:Bloomberg)
ただ見方を変えてみれば、米ドル/円の上値が重いことも確かですが、110.00円がなかなか割れないことも確かです。
マーケットでは、本邦機関投資家からの米ドル買いが110.00円をサポートしているといわれています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■新年度入りも、本邦機関投資家からの外貨フローは入らず
今週(4月3日~)から本邦企業は新年度入り。
マーケット参加者は、本邦投資家からどの程度リスクアセットに資金が向かうかに注目していました。
【参考記事】
●トランポノミクス失速でさらなる米ドル安も。新年度入りで本邦勢がどう動くかがカギに(3月30日、西原宏一)
ところが、北朝鮮リスクもあり、日経平均は上がるどころか、1万9000円を割り込み軟調な展開となっています。

(出所:Bloomberg)
本邦機関投資家からの外貨フローもほとんど入らず、米ドル/円の上値は極めて限定的に。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
ただ、本稿執筆時点までは110円台前半の米ドル買い需要が引かず、下げ渋っています。
■公的年金からの米ドル買い意欲と「忖度」?
前述のように、多くの本邦機関投資家が動いていないのに、どこから米ドル買い需要がわいてくるのか?
マーケットでは、公的年金の外貨買いではないかとウワサされています。
そしてなぜここで彼らが米ドル買いを持ち込んでいるのか?という問題の答えとして挙げられるのが、海外勢も含めて話題になっている「忖度」というワード。
この言葉は日本でも日常会話では使われませんが、森友学園問題で使用されたことから海外メディアでも話題になっています。
森友学園問題で注目集める「忖度」 外国語に訳しにくい日本人らしい言葉
「忖度(そんたく)」という言葉が注目を集めている。森友学園を巡る一連の問題で、国有地払い下げや小学校の設置認可に対して官僚の忖度が働いたのではないかと疑われているのだ。テレビのニュースはどこも忖度を連呼し、すっかりお馴染みの言葉となった。2017年上半期の「流行語大賞」は、この忖度が最有力候補となりそうだ。
デジタル大辞泉によると、忖度とは「他人の心をおしはかること」の意である。政治家からの具体的な働きかけがなくても、様々な状況から官僚が政治家の意向を汲み、便宜を図ったのではないかというのが、森友学園の問題で指摘されている疑惑だ。
出所:DIAMOND online
■米ドル/円は110円近辺での攻防に注目
現在のマーケットは北朝鮮リスクが顕在化し、マーケットはリスクオフへと傾斜してきています。
本稿執筆時点の日経平均は300円安の1万8550円で推移。
仮に米ドル/円が110.00円を割り込むと、軟調な日本株が急落する恐れがあります。

(出所:Bloomberg)
それは森友学園問題で支持率を低下させた安倍政権にとっては、避けたいシナリオ。
ここで「忖度」という言葉がマーケットで浮上します。
つまり、当局からの指示はまったくありませんが、日本株の急落を回避するため、公的年金が「忖度」により大量に米ドル買い注文を置いているのではないかとの憶測がマーケットに流れているわけです。
現状のマーケットは円高要因に事欠きませんので、仮に110円台前半の米ドル買い注文がなければ、確実に米ドル/円も日本株も下落が加速していたはずですので、このウワサも完全には否定できません。
トランポノミクスの後退に加え、北朝鮮リスクもあり、米ドル/円と日経平均の下落トレンドは変わらず。
ただ、前述の米ドル買いが引かなければ、徐々に米ドルショートが増えている米ドル/円相場は、大きくショートスクイーズされる可能性も高まっています。
新年度入りしても、米ドル安・円高の流れは変わりませんが、前述の米ドル買い需要により110.00円を割り込まなければ、米ドル/円のリバウンドも大きくなりそうなので要注意です。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
米ドル/円の110.00円の攻防に注目です。
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