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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

3つの円高要因が揃い、下落した米ドル/円。
ドル安鮮明にした「110/2 . 3/1270」とは?

2017年04月17日(月)17:55公開 (2017年04月17日(月)17:55更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■北朝鮮、トランプ発言、為替報告書で200日線割れ

北朝鮮での有事リスクが高まったことで円高が進行。


4月15日(土)のミサイル発射は失敗に終わったものの、米ドル/円は本日17日(月)に、108.12円まで円高が進んでいます。

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足

4月6日(木)のシリアへのミサイル発射時点では米ドル/円は110円を維持していましたが、焦点が東アジアへ移ると、円高圧力が高まり、110円が決壊

【参考記事】
地政学リスクはシリアから東アジアへ! 北朝鮮有事は円高要因か? 円安要因か?(4月13日、西原宏一)

さらにトランプ大統領が米ドル高を牽制するばかりでなく、「私は低金利政策を好む」と発言、加えて為替報告書では「円の実質実効レートは過去20年間の平均より20%安い」との記述が追加されました。


「有事リスク、トランプ発言、為替報告書」と3つの材料が揃ったことで円高となっています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

米ドル/円はBrexit(英国のEU離脱)安値からの上昇で引いたフィボナッチ・リトレースメントの半値押しが108.80円で、200日移動平均線が位置しているのもほぼ同じ位置。


この付近が強い節目になるかと思っていたのですが、あっさりと割り込みました

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

前回、200日移動平均線を割ったのは昨年(2016年)1月末。日銀のマイナス金利発表のときでした。


ただ、これはもともと200日線の下で推移していたのが日銀発表とともに一瞬上抜けて、もとに戻っただけ。


その前、明確に下抜けしたのは2015年のチャイナショックでしたね。

■為替報告書は中国に甘く、日本に厳しい?

トランプラリーでは21日線、75日線、200日線と、移動平均線を順番に上抜いてきましたが、今回は正反対。


200日移動平均線割れがダマシにならないかぎり、米ドル/円は105円程度までは見ておく必要がありそうです。

その手前、106円50銭はフィボナッチの61.8%で、トランプラリー開始前のレンジ上限。このあたりも意識しておきたい水準ですね。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

それにしても今回の為替報告書、日本に厳しいように読めませんか?

「20%も割安」と水準まで書かれているのは厳しい感じがしますね。


あまり気にする必要はないかもしれないですが、今後、何らかのプレッシャーがかかってくるのかもしれません

一方でトランプさんの選挙公約だった中国の為替操作国認定は見送られました。


4月の米中首脳会談では貿易不均衡是正のための「100日計画」策定で合意、中国に対して猶予期間を与えたことになります。

【参考記事】
ミサイル攻撃でも崩れなかった米ドル/円、マジノ線死守で市場の雰囲気変わるかも?(4月10日、西原宏一&大橋ひろこ)

この100日計画が出てくるまでは、北朝鮮との関係もあり、中国に対して融和的な姿勢をとり、相対的に日本への圧力が高まって見えるのかもしれませんね。

■「110円/2.3%/1270ドル」の3つの節目を抜ける

今週末、4月23日(日)は、フランス大統領選挙の第1回投票。トランプ現象の再来を予期する声もありますよね。


米大統領選では世論調査に反映されない隠れトランプ支持者が多かったため、サプライズを引き起こしました。隠れルペン支持者が多いため、同じことがフランスでも起こりうる、と。

選挙結果は読みづらいですから、さすがに今週(4月17日~)は週越えのポジションを取りたくないですね。

北朝鮮のリスクも収まっていませんし、来週、4月25日(火)は朝鮮人民軍の創設85周年パレード。再びミサイル発射などの動きがあるかもしれない


VIX指数も上がってきています。

VIX指数 日足
VIX指数 日足

(出所:Bloomberg)

そんな折、ペンス米副大統領はアジアを歴訪中。18日(火)、19日(水)には、麻生さんと日米経済対話を行います。


20日(木)、21日(金)にはG20(20カ国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議)も開かれますので、米ドル高牽制発言が飛び出す機会には事欠かないですね。

ただ、米ドル/円は110円を割って、年初からもう10円も落ちているのに日本政府・日銀からは何のコメントも出てきません。「100円割れはない」と自信を持っているのかもしれません。


いずれにせよ、「為替の110円、米金利の2.3%、ゴールドの1270ドル」と、3市場でいずれも節目を抜けてきたことで米ドル安が鮮明となってきました。

米長期金利(米10年債利回り) 日足
米長期金利(米10年債利回り) 日足

(出所:Bloomberg)

NY金 日足
NY金 日足

(出所:Bloomberg)

■週末リスクに警戒しながら、米ドル/円を戻り売り

「新債券王」とも呼ばれる著名投資家のジェフリー・ガントラックは「10年債利回りが年内に3%になるとは思わない」、「2.25%未満まで、あるいは2%弱まで下がり、その後、上昇するだろう」と話していたそうですね。

本当に2%を割るようなら、米ドル/円は105円も割ってくるでしょうね。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

メルマガ「FXトレード戦略指令!」でも配信したとおり、先週(4月10日~)は米ドル/円の売りポジションを週越えしましたが、今週の戦略も引き続き米ドル/円の戻り売りです。

(構成/ミドルマン・高城泰)

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