■北朝鮮、トランプ発言、為替報告書で200日線割れ
北朝鮮での有事リスクが高まったことで円高が進行。
4月15日(土)のミサイル発射は失敗に終わったものの、米ドル/円は本日17日(月)に、108.12円まで円高が進んでいます。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
4月6日(木)のシリアへのミサイル発射時点では米ドル/円は110円を維持していましたが、焦点が東アジアへ移ると、円高圧力が高まり、110円が決壊。
【参考記事】
●地政学リスクはシリアから東アジアへ! 北朝鮮有事は円高要因か? 円安要因か?(4月13日、西原宏一)
さらにトランプ大統領が米ドル高を牽制するばかりでなく、「私は低金利政策を好む」と発言、加えて為替報告書では「円の実質実効レートは過去20年間の平均より20%安い」との記述が追加されました。
「有事リスク、トランプ発言、為替報告書」と3つの材料が揃ったことで円高となっています。

(出所:Bloomberg)
米ドル/円はBrexit(英国のEU離脱)安値からの上昇で引いたフィボナッチ・リトレースメントの半値押しが108.80円で、200日移動平均線が位置しているのもほぼ同じ位置。
この付近が強い節目になるかと思っていたのですが、あっさりと割り込みました。

(出所:Bloomberg)
前回、200日移動平均線を割ったのは昨年(2016年)1月末。日銀のマイナス金利発表のときでした。
ただ、これはもともと200日線の下で推移していたのが日銀発表とともに一瞬上抜けて、もとに戻っただけ。
その前、明確に下抜けしたのは2015年のチャイナショックでしたね。
■為替報告書は中国に甘く、日本に厳しい?
トランプラリーでは21日線、75日線、200日線と、移動平均線を順番に上抜いてきましたが、今回は正反対。
200日移動平均線割れがダマシにならないかぎり、米ドル/円は105円程度までは見ておく必要がありそうです。
その手前、106円50銭はフィボナッチの61.8%で、トランプラリー開始前のレンジ上限。このあたりも意識しておきたい水準ですね。

(出所:Bloomberg)
それにしても今回の為替報告書、日本に厳しいように読めませんか?
「20%も割安」と水準まで書かれているのは厳しい感じがしますね。
あまり気にする必要はないかもしれないですが、今後、何らかのプレッシャーがかかってくるのかもしれません。
一方でトランプさんの選挙公約だった中国の為替操作国認定は見送られました。
4月の米中首脳会談では貿易不均衡是正のための「100日計画」策定で合意、中国に対して猶予期間を与えたことになります。
【参考記事】
●ミサイル攻撃でも崩れなかった米ドル/円、マジノ線死守で市場の雰囲気変わるかも?(4月10日、西原宏一&大橋ひろこ)
この100日計画が出てくるまでは、北朝鮮との関係もあり、中国に対して融和的な姿勢をとり、相対的に日本への圧力が高まって見えるのかもしれませんね。
(次ページでは米ドル/円の見通しや、フランス大統領選の話題が…)
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