■今週は米感謝祭。実質的な動きは22日までか
ユーロ/米ドルは、1.1680ドルのレジスタンスに上値を抑えられて推移していましたが、11月14日(火)にそのレジスタンスを越えたことで、ショートカバー出て1.1860ドルまで上昇しました。
しかし、11月20日(月)はドイツの連立協議が不調となったことで、政局不安からユーロ/米ドルは1.1721ドルまで下がりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
ここまで、為替市場は主要通貨に方向性がなく、小動きが続いていましたが、先週(11月13日~)から、ボラティリティが上がってきたように思います。
ただ、今週(11月20日~)は23日(木)が米国の感謝祭で、日本も勤労感謝の日となり、翌24日(金)も大きな動きが期待できず、今週の動きは実質的に20日(月)~22日(水)までとなりそうです。
■米ドル/円下落の主因はポジションの手仕舞い
米ドル/円は、ロシアゲート疑惑やサウジアラビア問題などを材料に、111.88円まで下がりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
また、東芝の6000億円の増資が11月19日(日)に決まったことから、円買い材料の思惑も入り、米ドル/円の下げにつながった可能性があります。
ただ、これらの材料よりも、円売りポジションの手仕舞いが出たことが、米ドル/円の下げにつながったのではないかと考えています。
CFTC(全米先物取引委員会)の発表によると、11月14日(火)時点のIMM(国際通貨先物市場)のポジション動向は、投機筋の米ドルに対する円売り越しが、約13.6万枚に偏っています。
【参考記事】
●IMMの円ショートが2013年以来の高水準! 上昇できないドル/円は、戻り売りを継続へ(11月21日、西原宏一&大橋ひろこ)
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
このポジションは、為替市場の一部分でしかないものの、為替市場全体の縮図と見ることもできるので、参考資料の1つになるのではないかと考えています。
■ここからの円積み上がり余地は限定的!?
IMMポジションの過去の推移を見ると、2013年12月24日(火)時点で、投機筋の米ドルに対する円売り越しが、約14.4万枚まで膨らんでいるときがありました。
(Bloombergのデータを元にザイFX!が作成)
この水準と比較すると、現在はまだ、0.8万枚ほどの円売りが積み上がる余地がありますが、ただ、この時期はアベノミクス相場のときで、円売りが積み上がりやすいときでした。
その当時と比べると、現在は、さらに円売りを積み上げるには材料不足だと思われます。
■米ドル/円は上値の重い展開へ
また、11月13日(月)に、黒田総裁が金融緩和の限界に関して発言をしていることもあり、さらなる日銀の金融緩和は期待できず、積み上がった円売りが手仕舞いされやすいように思います。
ちなみに、米ドル/円がリーマンショック以降の高値である125円台をつけた2015年5~6月のIMMポジションの量は約11.6万枚の円売りでした。
過去の推移を見ていると、円売り越しが10万枚を越えてくると、米ドル/円が調整しやすい水準だといえます。
(Bloombergのデータを元にザイFX!が作成)
(出所:Bloomberg)
今回も13万枚台と、かなりの円売り越しに偏っているため、新たな材料が出ない限り、このポジションが手仕舞いされるのではないかと思います。
したがって、米ドル/円は上値の重い展開が予想されます。
■トレードは感謝祭前の戻り売りを継続
米ドル/円の111.40~60円にはサポートもありますが、感謝祭前でもあり、ポジションの手仕舞いが出やすい時期でもあり、113円台はレジスタンスもあるので、戻り売り継続で考えています。
【参考記事】
●ドル/円はポジション調整狙った戻り売り。でも、感謝祭後はドル高と考える理由は?(11月14日、バカラ村)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
米ドル/円が上昇する材料としては、米税制改革がありますが、11月26日(日)まで米議会は休会のため、上昇するような大きな材料は出てこないのではないかと考えています。
【参考記事】
●米ドル/円、下落なら断続的に買い下がり! 112円半ば~112円割れは絶好の買い場に(11月16日、今井雅人)
今週(11月20日~)は感謝祭があるので、大きな動きは期待できないですが、ポジション調整が出やすい時期のため、米ドル/円は戻り売り継続で考えています。
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