■米ドル/円は111円台で生保が「本気買い」
先週(11月20日~)の米ドル/円は111円を割れずに反発しました。
9月8日(金)からの上昇のちょうど半値押し水準が111円。これが意識されていることに加え、111円台には本邦機関投資家の「本気買い」があるという話ですね。
生保のオーダーが並んでいます。以前に伝わったオープン外債(為替をヘッジせず、オープンで投資する外債)の話のとおりの展開ですね。
そのため111円は割れませんでしたが、反発というほどの戻りもありません。「下がったら買い、戻ったら売り」と回転させようかと思っていましたが、動意が乏しくやりづらいですね。
(出所:Bloomberg)
■先週上昇したユーロ/米ドルはさらに上昇するか?
先週(11月20日~)動いたのはユーロ。対米ドルでは1.19ドル台に乗せています。
9月のドイツ総選挙以降、連立政権交渉の行方が不安視されていましたが、メドがついてきたことが好材料に。
かといって、このまま1.20ドル台へ乗せるかというと、そこまでの勢いも感じない。もう少しレンジが続くのかもしれません。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドルはきれいなヘッド&ショルダー(※)を作っていたので、ショート勢のストップが出ているのかもしれませんね。
ユーロ/米ドルの上昇もあって、ドルインデックスは上昇トレンドラインを下抜け。米ドル安が進みそうな気配も感じます。
(※編集部注:「ヘッド&ショルダー」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼び、仏像が3体並んでいるように見えるため「三尊」と呼ぶこともある)
(出所:Bloomberg)
■豪ドル安を見込む銀行が増えている背景に中国リスクあり
12月に向けて大手銀行の2018年予想が出てくるのですが、今のところは米ドルよりもユーロや豪ドルについての言及が目立つ印象。
ユーロ/豪ドルやユーロ/NZドルのロングなどです。まだ出揃っていないので断定するのは性急すぎますが、豪ドル安を見込む銀行が増えていることの背景には中国リスクへの警戒があるのかなと。
(出所:Bloomberg)
中国当局は金融規制の強化に踏み切るようです。金利を高めに誘導していることで、先週(11月20日~)は長期金利が一時4%を超えました。
その余波で11月23日(木)の上海総合指数は2.3%安。今年(2017年)最大の下げ幅を記録しています。
(出所:Bloomberg)
中国がらみのリスクはたびたび指摘されてきたことではありますが、気に留めておきたいですね。
■次の日銀総裁をめぐる憶測が高まる
今週(11月27日~)のイベントでは次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長のパウエルさんの公聴会が28日(火)、イエレン議長の議会証言が30日(木)に開催されます。
市場が注目するのはパウエルさんでしょうが、イエレン路線の踏襲が市場の認識。驚くような発言が出てくる可能性はさほど高くなさそうです。
パウエルさんに対しては「イエスマン」との評もありますよね。
2012年にFRB理事に就任してから、FOMC(米連邦公開市場委員会)では一度も反対票を投じたことがないのだとか…。
日本でも来年(2018年)、中央銀行の総裁が任期切れです。次期総裁との声もある本田悦朗スイス大使と安倍首相との会談が先週(11月20日~)はニュースになりました。
お互いの別荘が近くにあり、個人的な親交も深いそうですね。ただ、それと人事とは別。
基本的には黒田総裁の続投なのでしょうが、もし、本田さんが日銀総裁に就任すれば「お友だち人事」との批判が高まりそうです。
強力な金融緩和を推進した黒田さんが辞めることになれば、後任が誰であれ、海外勢は円買い材料と捉えるでしょうね。
今週(11月27日~)は30日(木)にOPEC(石油輸出国機構)総会も開催されます。協調減産の合意がコンセンサス。
原油先物のポジションを見ると買い越しが過去最高にまで積み上がって、WTI原油は60ドル手前まで上昇してきました。
(出所:Bloomberg)
OPECでの合意発表前後、セル・ザ・ファクトで下落する可能性もありそうですね。
■111円を抜ければ108円も。米ドル/円の戻り売りを継続
また、週末にはビットコインが急騰。対円では100万円を超えました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/円 日足)
12月にCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)への先物上場が控えていることが材料視されているようです。また、先週末(11月24日)にはビットコインから分裂した「ビットコインダイヤモンド」が誕生。
12月以降も5つ以上のフォーク(分裂)が予定されているため、フォークコインをもらいたい人がビットコインをロングしているのかもしれません。
【参考記事】
●ビットコインがついに100万円を突破!! CME上場とハードフォーク期待が背景に!?
今週(11月27日~)の戦略はどう考えますか?
米ドル/円の戻り売りでいいのかなと思います。
【参考記事】
●米ドル/円は111円割れなら108円へ下落も! 不気味な米ドルの売り手の正体とは!?(11月24日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
111円割れは簡単ではないでしょうから、111円台では一部買い戻すなどのポジション管理は必要ですが、抜ければ108円が見えてきます。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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