■米ドル/円は111円、日経平均は2万3000円が定着するか
米ドル/円が111円を超えてきましたね。
米10年債利回りが3%台に定着し、一時は3.1%に達したことが要因です。
このまま今週(5月21日~)も111円台を維持するようだと、今年(2018年)はセル・イン・メイがないままに、5月を通過することになりそうです。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
米ドル/円とともに3月26日(月)から反転を始めた日経平均も2万3000円に到達。
2月5日(月)に作った窓を埋めに行きそうな形となっています。
(出所:Bloomberg)
日経平均が窓埋めを完了するかどうか、米ドル/円が111円台に定着できるかどうか、株も為替も見極めの1週間になりますね。
■米金利上昇、消費への影響は
先週(5月14日~)は、米中の通商協議もありました。中国がアメリカ製品の購入を「大幅に増やすこと」で合意し、貿易戦争は回避されたようですが、何をいくら買うのか、具体的な金額などは声明に盛り込まれず、玉虫色の決着という印象です。
貿易戦争が回避されたと話しているのも中国の副首相だけですし、どこかのタイミングで蒸し返されるかもしれないですね。
今週(5月21日~)のポイントは、やはり米10年債利回りですか?
そうですね。中長期的にも、金利上昇がアメリカの消費を悪化させる懸念が出てきています。
アメリカでは、30年ものの住宅ローン金利が7年ぶりとなる4.6%、新車向けの自動車ローンも5.6%と2009年以来の水準まで上昇しています。
米10年債利回りが、このまま3.2%、3.3%と上がっていくようだと消費が冷え込んで、株価に悪影響を及ぼすかもしれませんね。
NYダウの構成銘柄を見ても、年初来プラスとなっている銘柄は、シスコ・システムズやインテル、アップルなどのハイテク系が中心。
P&GやGEなどオールドエコノミー銘柄は、年初来20%ものマイナスです。このあたりの銘柄が上がってこないと、NYダウの最高値更新は難しそうです。
(出所:Bloomberg)
■日経平均上昇への疑心暗鬼
NYダウも日経平均も、月足で見ると上昇の5波動を終えてトップアウトしたように見えます。
年初の上昇で2万3000円台をつけたときは、個人投資家も盛り上がりましたが、今回は、いまいち盛り上がりを感じない。売買代金も細っており、株高に対して疑心暗鬼になっている様子がうかがえます。
現状では、米10年債利回りの上昇が米ドル高に結びついていますが、マーケットが金利高による株価への悪影響を意識し始めると、崩れてくるかもしれないですね。
その意味では、5月24日(木)に発表される中古住宅販売件数などの指標は、見ておきたいと思います。
【参考記事】
●イタリア政局の不透明感でユーロ急落! リスクオフ要因多数!? 地政学的リスク警戒(5月17日、西原宏一)
今週(5月21日~)のイベントでいえば、注目は22日(火)の米韓首脳会談でしょうか。
ただ、来月(6月)12日には、米朝首脳会談が控えているため、反応しづらいかもしれません。
リスクオフ要因として気にしているのが新興国通貨ですが、今のところはトルコやアルゼンチンなど一部の国に限定され、2013年のバーナンキショックのよう新興国通貨総崩れとはなっていません。
【参考記事】
●新興国から資金流出! その行き先は…!? 大型M&Aがドル/円押上げるも攻めきれず(5月10日、西原宏一)
当時とは違い、新興国も外貨準備を積み増しているし、介入余力もあるからだと説明されていますね。
以前ほどフラジャイル(脆弱)ではないのは、たしかですね。
■ユーロ安継続の可能性は?
リスクオフ要因としては、朝鮮半島のほか、イランやエルサレムなどの地政学リスクもありますが、市場はあまり反応しないですね。
イタリアではポピュリズム政党同士の連立協議がまとまりましたが、ユーロについてはいかがですか?
【参考記事】
●イタリア政局の不透明感でユーロ急落! リスクオフ要因多数!? 地政学的リスク警戒(5月17日、西原宏一)
ユーロ圏の当局者は、1.20ドル台でユーロ高牽制発言を行なっていましたから、ここまでの下落は予想どおりです。
イタリアの新政権が過激な政策を打ち出してくるようなら、ユーロの足を引っ張る可能性もあるので要注意ですね。
(出所:Bloomberg)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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