■FOMC、「バイ・ザ・ファクト」で米ドル売り巻き戻しの可能性も
先週(1月21日~)の市場が閉まる直前、ウォールストリート・ジャーナルが「FRBのバランスシート縮小、想定より早期終了か」と報じて米ドル安となりました。
同紙によると、今週1月30日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)でいったん中止する可能性もあるようです。
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パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長としては、あまりに急だった昨年(2018年)来の株価下落を抑制したいのは確かでしょうね。
FOMCへの注目度が高まりましたね。これまで年4回だった会合後の記者会見も、今回からは毎回行われるようになります。
ハト派的な発言があるのでしょうが、それはすでに想定されています。ハト派発言が出たところで米ドル売りポジションが巻き戻される「バイ・ザ・ファクト」的な動きとなる可能性にも留意しておきたいですね。
■米政府期間閉鎖は解除へ。ユーロ/米ドルは小動きが続く?
昨年(2018年)12月22日(土)から続いていた米政府機関の一部閉鎖ですが、2月15日(金)までのつなぎ予算が可決され、やっと解除される見通しです。
2月15日(金)までの3週間で、なんとか合意を取り付けるのでしょう。このニュースが出たのは、1月26日(土)早朝。まだマーケットが開いている時間でしたが、さほど反応はありませんでした。
米政府機関が閉鎖されてから米株は、ずっと上昇していました。マーケットはあまり気にしていないようですね。
FRBのバランスシート縮小打ち止め報道の方が、よっぽど大きなインパクトがありました。為替市場では、直後から米ドル独歩安となりましたね。
(出所:Bloomberg)
ただ、ユーロ/米ドルは1.13ドルから1.15ドル、米ドル/円も109円台でのレンジを抜け出せないまま。
特にユーロ/米ドルは、昨年(2018年)の米ドル/円のように値動きの小さな相場が続く可能性もありそうです。
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■世界的に金融緩和が続きそう。注目はカナダドル!
先週(1月21日~)のECB(欧州中央銀行)理事会では、景気への弱気な見方が示され、利上げ観測が大きく後退しています。
FRBがバランスシート縮小の停止を検討し、ECBも利上げが怪しくなり、中国も大規模な財政出動で景気刺激策を強化、日銀はインフレ見通しを引き下げ――。
世界的に金融緩和が続きそうな気配も漂ってきました。そうなると株式市場にはポジティブですね。
金融政策面では強い材料も出てきているものの、NYダウがここから高値を更新していくようなイメージは、まだありません。昨年(2018年)末の下落が極端だったため、その修正での上昇ではないでしょうか。
コモディティ市場では、ゴールドに注目。1月25日(金)に強烈な陽線が立っています。株も上げてゴールドも上げたということは、緩和バイアスへの期待の裏返しかもしれないですね。
米ドル安の進行で逆相関にあるコモディティが買われるなら、原油と相関しやすいカナダドルが買われやすくなるかもしれません。カナダは金融政策面でも利上げ方向です。
(出所:Bloomberg)
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カナダの利上げの織り込みを見ると、5月までは12%ですが、7月が60%。少し先ですが、利上げに傾いている国はカナダくらいですから、おもしろいかもしれませんね。
米ドル売りの相手通貨としてカナダドル、注目ですね。
■英ポンド/米ドルは6週連続の陽線。1.40ドル程度まで戻す!?
米ドル安の流れがある一方で、注目したいのが英ポンド。週足は6週連続の陽線です。
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アナリストやディーラーは強気な見通しが増えていますが、FX会社のポジションを見ると、個人投資家はまだショートのようです。
(出所:外為どっとコム「外為情報ナビ」ポジション比率情報)
ノーディール・ブレグジット(合意なき離脱※)の可能性は10%程度まで低下してきた印象です。ノーディールを避けられれば英ポンド/米ドルは1.40ドル程度まで戻すとの見通しもありますし、自分もその可能性を見ています。
ただ、ノーディールの可能性が急速に高まった場合、フラッシュクラッシュ的な動きが起きてポジションを切りたくても切れないことも想定されます。慎重にトレードしたいですね。
(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)
【参考記事】
●米中融和で戻り余地大きいのは日経平均!? 英国は、EU離脱延期の可能性が高まる?(1月21日、西原宏一&大橋ひろこ)
●フラッシュ・クラッシュで米ドル/円が暴落! 株の下落を伴えば、100円割れの可能性も!?(1月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
●フラッシュ・クラッシュの真犯人はトルコリラ!? クラッシュ時もスプレッドが優秀なFX会社は?
1月29日(火)には多数提出されているブレグジット修正案の採決、1月30日(水)にはFOMCと大きなイベントが続き、2月1日(金)には米雇用統計も発表されます。
■米雇用統計はあまり動かない? 英ポンド/米ドルの買い方針
米政府機関閉鎖の影響で、今回の米雇用統計予想は会社によってブレが大きい。コンセンサスが一致していればこそ、結果との乖離が発生して動くのですが、事前予想にブレがあると結果が出ても反応しづらい。
今回はあまり動かないかもしれません。
米政府機関の閉鎖が解除されれば、昨年(2018年)末から止まっていたIMM(国際通貨先物市場)のポジションが2月2日(土)早朝に発表されるはずです。
英ポンド急騰やフラッシュクラッシュなどがあっただけに大きな変動がありそう。来週2月4日(月)早朝の反応にも注目したいですね。
今週の戦略としては米ドル安、それにノーディール・ブレグジット後退による英ポンド買い戻しを考慮して、英ポンド/米ドルの買いでしょうか。
ヘッドラインに注意しながら、押し目を拾っていきたいですね。
(出所:Bloomberg)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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