■祝日の月曜早朝は要注意! スイスフランが乱高下
今日(2月11日)は3連休最終日。西原さんが警告されていた早朝の乱高下がスイスフランで発生しましたね。
7時すぎ、スイスフランが100pips弱ほど急落し、すぐにいって来いで戻ってきました。何が原因だったのでしょうか?
(出所:Bloomberg)
米ドル/スイスフランの1.0030フランにたまっていたストップが狙われたようです。
米ドル/スイスフランは、昨年(2018年)からパリティ(=1.0000フラン)を越えても叩かれて下げる動きが続き、「パリティ越えでショートして買い戻す」といった戦略がずっとワークしていました。そうしたショートがたまっていたと思われます。
円やユーロなど、その他の通貨には波及しなかったので今回影響を受けた人は少ないと思いますが、祝日の月曜早朝は要注意ですね。
先週(2月4日~)の動きでは、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン前議長が「(FOMCの)次の行動は利下げになるかもしれない」と発言しました。
ところが、先週(2月4日~)のドルインデックスは週足ベースで、昨年(2018年)8月以来の強さ。この動きはどう見ますか?
(出所:Bloomberg)
■米ドル、ユーロ、オセアニア、主要通貨の「最弱競争」
「ユーロやオセアニア通貨が米ドル以上に弱かった」ということでしょう。
イタリアに続き、ドイツもリセッション(景気後退)への懸念が強まっていますね。
先週(2月4日~)発表されたドイツの製造業受注は市場予想が前月比0.3%増だったのに結果は1.6%減。2カ月連続のマイナスです。今週(2月11日~)、14日(木)に発表されるドイツGDPは注目を集めそうですね。
中国経済の失速による影響が大きいのでしょう。先週(2月4日~)、メルケル独首相が来日しましたが、伊勢志摩サミット以来、3年ぶり。
中国が危うくなってきたため、日本へ来たのかなとの印象を受けてしまいます。
メルケル首相は中国へ10回以上も訪問する一方、日本はまだ5度目。中国と密接でしたからね。
ドイツ銀行の経営不安という火種も抱えていますし、それだけドイツ経済は深刻なのかもしれません。
同じく、中国の影響を受けて失速しているのがオーストラリア。12月まではRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の副総裁が「次の動きは利上げの公算が大きい」と発言していましたが、先週(2月4日~)のロウ総裁のハト派コメントで、豪ドルは急落。NZドルも連れ安しています。
【参考記事】
●利上げ予測が霧散した豪ドルは反落開始! 呼応して、米ドル/円もじわじわと下落か(2月7日、西原宏一)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/米ドル 日足)
こうしたユーロ圏やオセアニアの下落の結果、米ドルが買われたのでしょう。主要通貨は「最弱競争」のようになっていますね。ただし、「円を除く」ということですが。
■注目は米暫定予算の期限やエヌビディア決算
今週(2月11日~)は15日(金)に米暫定予算の期限が切れます。政府機関が再び閉鎖される可能性も……。
米中協議では今日(2月11日)から通商代表部のライトハイザー代表やムニューシン財務長官が北京入りして交渉を行ないますが、今のところ、交渉期限である3月1日(金)までに米中首脳会談が予定されていない、というのも気になりますね。
現状では着地点が見いだせず首脳同士が話しても意味がない、ということなのでしょう。ただ、まだ期限まで猶予があります。決定打にはかけますね。
米国株市場では、半導体大手エヌビディアの決算発表が2月14日(木)。前回は米国株急落のトリガーのひとつとなっただけに注目ですね。
(出所:Bloomberg)
米国株は昨年(2018年)末にボトムをつけてから反発が続いていますが、まだダウントレンドは継続していると思います。再び安値を探りにいく可能性のほうが高いのでしょう。
(出所:Bloomberg)
日経平均は戻りが弱いですね。
2万1000円が壁となり抜けませんね。NYダウが崩れてくると、再び日経平均も下げていくのでしょう。
(出所:Bloomberg)
米ドル/円の壁は110円。何度か越えたものの叩かれています。下がれば年金などの買いが入ってきますが、上値は重いのでしょう。
米ドルや豪ドルは利下げの声が出てきて、ユーロ圏もリセッション懸念となると相対的に強いのは円、ということになります。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/米ドル 日足)
■日銀にフォワードガイダンス強化の憶測も
そんな中、週末の報道では日銀の追加緩和への憶測も出ていましたね。
日銀内で「フォワードガイダンスの強化を」との声があるのでしょうが、あくまでもごく一部の声であって、実際には難しいでしょう。
コモディティ(商品)市場では金(ゴールド)が堅調。昨年(2018年)、世界の中央銀行は金準備を前年比78%も増加させ、1971年以来の高水準となったそうです。
米ドルから金へと移す動きが強まっているのでしょうか。
(出所:Bloomberg)
それを考えると米ドルはもっと売られていいはずなのですが、他通貨がそれ以上に弱い、ということなのでしょう。
米ドル/円も下目線ではありますが、よりわかりやすいのはクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)。ユーロ/円は昨年(2018年)10月に週足の雲を下抜けてから一度も雲へ戻っておらず、下落トレンド継続のように見えます。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/円や豪ドル/円などクロス円の売りがいいのではないでしょうか。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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