(「FX友の会 in 東京 2012」レポート(1) 安定的に勝てる人は、安定的に負けてる?」からつづく)
次は、元ディーラーによるオプション講座!
さて、休憩というものが存在しない「FX友の会」。休憩は、個々のタイミングで自由にとります。
準備が完了し、次に登壇したのは、ゴールドマン・サックス証券やHSBCなどで為替部門の要職を歴任し、現在はグローバルインフォの取締役を務める荻野金男さんと元シティバンクのチーフディーラー・西原宏一さん。
西原さんは、ザイFX!の人気コラム「ヘッジファンドの思惑」でもおなじみ!
元ディーラー同士が話すとあって、言葉が難しいとマズイ! と、通訳(!?)兼進行役に、ラジオNIKKEIでおなじみのアナウンサー大橋ひろこさんも登壇しました。
オプション取引の情報を得て、どうやって普段のFXトレードに役立てれば良いのか、というテーマでの講演。
「オプション」といえば、たしかにマーケット情報などで、しばしば目にするワードですが、FXオンリーのトレーダーにとって、オプションはあまりなじみのない商品。ちなみに、記者もその1人。
「ヤバイ、難しそう…」と、苦笑いの参加者が少なからず会場内に散見される中、セミナーは進みます。
なんでも、オプションに関する情報を意識できるようになると、「このあたりで価格がもたつきそう」あるいは、「ここを超えると一気にマーケットが動きそう」など、オプションの影響による短期的なマーケット変動に、ウンと備えやすくなるんだそうです。
ちなみに、ここで言う「オプション」は、「5分後のレートが上か下か当てましょう!」といったようなシンプルな商品設計で、今流行っている「バイナリーオプション」のことではありません。
【参考記事】
●5分後のレートを予想するだけで収益に…FXトレード・フィナンシャルの「HIGH・LOW」
オプションの基本的な仕組み
「バニラがね、って言ってもバニラアイスじゃないよ!」
「いやいや、エキゾチックだよ」
と、荻野さんや西原さんからネイティブな発音で、不思議な単語が飛び交い、時折大橋さんからのツッコミが入りつつ話は進みますが…
少々話をまとめるのが難しいので、カンタンに説明してしまいます。
要するに、オプション取引というのは、ある期日になったら、あらかじめ決められた価格で「買う」あるいは「売る」という「権利」を売買する取引のこと。
買う権利のことを「コールオプション」、売る権利のことを「プットオプション」と言います。
ちなみに、“バニラ”や“エキゾチック”というのは、“バニラアイスクリーム”でも“エキゾチック美女”でもなく、複数パターン存在するオプション取引の名称の1つです。
通貨にもオプション取引が存在し、各国の投資銀行やヘッジファンドなどが、通常の為替取引のリスクヘッジとして、あるいは純粋に利益を追求する手段として、オプション市場に参加しています。
オプション市場では、天文学的な金額がやりとりされており、一般の個人投資家がこの取引に参加することは、ほとんどできません。
オプションの情報はどこで見ることができるの?
大切なのは、オプション取引が我々の参加する為替マーケットにどんな影響を与えているのか? また、その情報をどうやって得て、個々のトレードにどのように活かせば良いのか? という点ですね。
実は、このオプションの情報は、荻野さんが役員を務めるグローバルインフォの「GI24」というマーケットニュースの中などで公開されているんだそうです。
つまり、GI24を見ていれば個人トレーダーでもオプションの情報を手に入れることができるということ。
GI24のニュース配信が行われているFX会社は以下のとおりです。
【参考コンテンツ】
●FX会社おすすめ比較:ニュースで比べる「GI24」が見られるFX会社
興味のある方は、ご参考になさってください。
オプション取引が為替マーケットに与える影響は?
ここで、必ず押さえておきたい用語「オプションカット」について確認しておきましょう。
上述のとおり、オプション取引には期限があります。これを、「オプションカット」と呼びます。
オプションカットは、15時の東京カットと米国現地時間の午前10時、日本時間だと24時(夏時間:23時)のニューヨークカットの2回行われます。
それでは、用語を押さえたところで、話を元に戻して、オプションの情報をどんな風に普段のトレードに活かせば良いのか、荻野さんと西原さんからのアドバイスを紹介しましょう。
オプション取引は、ある一定の期日に一定の価格に到達したら「買う」あるいは「売る」という「権利」の売買ですから、権利保有者は、自分が権利行使して利益が出る価格まで到達するよう、為替マーケットで大量の売り注文や買い注文を出して、市場価格を誘導しようとします。
ですから、カットの前後は急激なマーケット変動や一見ナゾの停滞が起こりやすいのです。
たとえば、ニュースに「79円にオプションのストライク(権利行使価格)がある」と書かれていたとすると、79円を挟んで、権利行使時間の10分くらい前からは、おおむね±20銭くらいで価格がウロウロすることが多いそうです。
オプションカットが意識される時間帯にチャートを見ていて、あれれ? なんで動かないんだ? と首をひねった経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
このほかにも「79円にオプションのバリアがある」などと書かれている場合は、79円に到達させまいとするオプションの権利保有者が、79円手前、たとえば、78.90-95円あたりに大量の売り指値注文を入れていて、なかなか79円に到達しないような場合もある模様。
この場合、78.90円に価格が触れると、短期的にゴソっと30pipsくらい下落する、なんてこともあるそうです。
ただバリアが突破されると、今度は買い戻す動きが盛んになります。
西原さんいわく、こうした場合には79.05-10円あたりに、大量の買い注文が置かれていることが多いんだとか。
これがトリガー(引き金)となって、一気に価格が上昇する傾向があるみたいです。
この流れについていくことができれば… ウハウハです!
つまり、オプションのバリアは、トリガーになるので、常に情報を収集してポイントがどこにあるのかを把握できると、自分のトレードに活かすことができる! ということ。
詳しいしくみはともかくとして、マーケット情報でオプションに関するニュースが出たら、ターゲットとされている価格を意識しておくと良いかもしれません。
(「FX友の会 in 東京 2012」レポート(3)バンカメは占星術で相場を張っている!?」へつづく)
(取材・文/ザイFX!編集部・向井友代 撮影/和田佳久)
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