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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

QE1、QE2、QE3を比較して計算。
米ドル安はむしろこれから来る!

2012年09月28日(金)17:48公開 (2012年09月28日(金)17:48更新)
陳満咲杜

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■スペインの早期支援受け入れを予想し、リスクオン相場へ

 為替マーケットはスペイン政府による救援要請の有無に注目し、一時リスク回避の値動きも強まったが、昨日(9月27日)にはこういった緊張感が緩和された模様だ。

 スペイン政府の予算案発表を受け、マーケットにはスペインの早期支援受け入れが織り込まれ始めたからだ。

 言うまでもないが、スペインとしては、ECB(欧州中央銀行)やEU(欧州連合)、IMF(国際通貨基金)といったいわゆる「トロイカ」にできるだけ救援要請をしないほうが良い。

 なぜなら、支援を受け入れる場合、トロイカから厳しい財政支出の削減を要求されるからだ。

 しかし、スペイン国債を買い入れた投機筋からみれば、救援要請なしではスペインの国債を買う意義がない。そのためスペイン国債は手仕舞いされ、また金利が高まってきた。

 今回400億ユーロの予算削減をもって、スペイン政府が事実上マーケットに降伏したと解釈すれば、ECBからの支援受け入れも近いのではないかと思われ、一段とリスクオンの相場につながるだろう。

■EUの量的緩和は当面ユーロに対するプラス要因に

 もっとも、投機筋はスペインの救援要請を見込んだ上でスペイン国債を買い入れ、スペインではなくECBの政策に便乗しようとしているので、スペイン政府がモタモタすればするほど、不確定要素の増大でリスクオフムードに逆戻りしてしまうリスクも大きかった。

 というのは、前回のコラムでも指摘していたように、ECBのOMT(国債買い入れプログラム)計画は救援要請なしではスタートされないからだ。

【参考記事】
日銀の追加緩和は円安効果をもたらさず。日米欧の「QE合戦」は日本に勝ち目なし!(9月21日、陳満咲杜)

 この意味では、今回のスペインの予算案で一区切りできたと思う。

 要するにスペイン政府は自ら支援を受け入れる準備を整えているので、あとは手続きと時間の問題であるということだ。

 注意していただきたいのは、EUも米国と同様、早晩事実上無制限の量的緩和に踏み切るが、問題が山積しているユーロにとって、量的緩和自体はしばらくの間プラス要因となる

 これは、量的緩和で売られる米ドルと対照的だ。

 こういった相違を理論的に説明するとかなり複雑になるが、シンプルにまとめて言えば、「リスクオン」が重要なキーワードとなるだろう。

 要するに基軸通貨の米ドルは、量的緩和を通じて流動性を増していくので、リスクオンをもたらす。

 一方EUの場合は、同じ量的緩和であってもリスクオフを引き起こす債券市場の暴落を防ぐためなので、その是正効果からすると同じくリスクオンにつながりやすい。

 為替マーケットでは、少なくとも中短期ではリスクオンになればなるほど米ドルが売られ、ユーロが買われる。よって、米ドル安が一段と進んでもおかしくないだろう。

■QE3効果でドルインデックスは73.50前後まで下落?

 実際、単純に米国QE(量的緩和)策がもたらした効果を時系列で見ていくと、9月に実施されたQE3による米ドル安効果はまだ初期段階で、むしろこれから効果が表れるのではないかと思う。

 参考程度に下の表を見ていただきたい。下表ではQE1とQE2の実施期間や金額のほか、同期間におけるドルインデックスの最大下落率も示している。

米国の3つのQEを比較
 

 今回のQE3が総額いくらかは定かではないが、現時点のウォール街のコンセンサスは、前回のQE2と同額か、それ以上の金額となっている。

 その上、FRB自体が表明しているように、MBS(住宅ローン担保証券)以外の資産買い入れも追加措置として考えられ、規模、期間ともに拡大していく可能性が大きい。

 そうなれば、単純に計算すれと、今回QE3の実施で、少なくともドルインデックスが前回と同様、10%下落する余地があると推測される。

 2012年9月高値から計算すると、ドルインデックスは73.50前後へ下落する可能性があるということだ。

 この安値は2011年8月安値と合致しているため、タイムラグが生じる形で、米ドル安はむしろこれからである、といった判断ができる。

■ユーロ/米ドルは200日線にサポートされている

 実際、ユーロ/米ドルなどのメイン通貨ペアからも、こういった感触を証左できる。

ユーロ/米ドル 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 前述のように、スペイン救援要請の有無でユーロは9月17日(月)高値から売られているように見えるが、テクニカルの視点では単に前の「買われ過ぎ」に対する修正であり、大げさに解釈すべきではない。

 また、9月27日(木)の切り返しをもって、200日移動平均線(200日線)のサポートを確認したように見えるから、一段高の余地を示唆していると見る。

 なぜなら、2011年7月12日安値と2011年10月27日高値が、ともに200日線前後に制限されたことから考えて、足元の同ラインによるサポートはブル(上昇)トレンドの継続を示唆するサインと読み取れるからだ。

 同じように、英ポンド/米ドルの日足からも…

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