■ドルインデックスは底打ちを果たしたとみる
ドルインデックスは底堅く推移し、昨日(8月29日)も大きく切り返した。
これは米指標の好調で、9月からFRB(米連邦準備制度理事会)によるQE(量的緩和策)削減の可能性が増大しているといった見方が支配的だが、筆者に言わせると、むしろ先週(8月19日~)、底打ちを確認したことによるところが大きい。
(出所:米国FXCM)
換言すれば、テクニカル上におけるドルインデックスの上昇が必然性を持つなら、それを証左するような材料は後からついてくる。したがって、昨日(8月29日)の米指標の改善は納得できる。
■シリア情勢が為替に与える影響は?
当然のように、ドルインデックスの底打ちや反発に一番効いてくるのはユーロ/米ドルだ。
繰り返し指摘してきたように、ユーロのプチバブルは膨張していたが、最終段階に位置していたため、いつ弾けてもおかしくなかった。
ゆえに、筆者に言わせると、ユーロ/円から始まり、ユーロ/米ドルの急落が表すユーロ下落の動きは遅すぎた感さえあり、また、本格的なユーロ安はむしろこれからで、まだ始まったばかりである。
材料が値動きの後についてくるというロジックに照らせば、足元ファンダメンタルズ上における最大のリスクであるシリア情勢は、それなりの可能性を持つこともうなずける。
地政学上、シリアはかなり特別な存在だと聞くし、欧米軍事介入で新たな中東混迷を引き起こすリスクが大きいと言われるが、相場に対する影響は、一言でいうと「リスクオフ」に尽きるだろう。
リスクオフと言えば、安全資産とされる通貨が買われ、そうでない通貨が売られる、ということは経験則でわかる。
したがって、シリア攻撃ありと米国が表明すれば、円とスイスフランが買われること自体、ごく自然な成り行きである。
■米ドル/円はトライアングル内での変動に留まっている
一方、米ドル/円、ユーロ/円の値動きを検証すれば、こういった材料が、出るべきところで出たと言える。
前回のコラムでも提示していたように、米ドル/円は、大型シンメトリカル・トライアングルというフォーメーションを形成中だ。
【参考記事】
●アジア通貨危機再来なら円安か? 円高か? 中国崩壊論より、ユーロ暴落に注意!(2013年8月23日、陳満咲杜)
米ドル/円は8月23日(金)までの切り返しで、そのまま上値トライしてフォーメーションを打破しそうに動くかと思えば、週明け(8月26日)からはシリア情勢の緊迫で下げに転じ、かと思うと8月28日(水)には反発して、結局トライアングル内の変動に留まった。
(出所:米国FXCM)
■ユーロ/円もトライアングル型の値動き
ユーロ/円もしかり。8月23日(金)には7月高値に迫ったものの、やはり8月26日(月)から同材料で下げに転じ、翌日27日(火)にて急落、ベア(下落)トレンドへの復帰を示唆していた。
日足におけるフォーメーションでは、米ドル/円と同様、ユーロ/円もトライアングル型の値動きを強化しているように見える。
(出所:米国FXCM)
要するに、一見ランダムに発生しているように見えるファンダメンタルズ上の材料が、テクニカル上ではこういった可能性を持つため、より重視され、また利用されたわけだ。
昨日(8月29日)米指標の好調もしかり、こういった側面を持つものではないかとみる。
前回のコラムにて提示した見方と同様…
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