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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

何であれ最後はドル買い材料と化す運命。
ただ、目先のドル/円は95.8円割れも覚悟

2013年08月30日(金)17:00公開 (2013年08月30日(金)17:00更新)
陳満咲杜

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■ドルインデックスは底打ちを果たしたとみる

 ドルインデックスは底堅く推移し、昨日(8月29日)も大きく切り返した。

 これは米指標の好調で、9月からFRB(米連邦準備制度理事会)によるQE(量的緩和策)削減の可能性が増大しているといった見方が支配的だが、筆者に言わせると、むしろ先週(8月19日~)、底打ちを確認したことによるところが大きい。

ドルインデックス 8時間足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 換言すれば、テクニカル上におけるドルインデックスの上昇が必然性を持つなら、それを証左するような材料は後からついてくる。したがって、昨日(8月29日)の米指標の改善は納得できる。

■シリア情勢が為替に与える影響は?

 当然のように、ドルインデックスの底打ちや反発に一番効いてくるのはユーロ/米ドルだ。

 繰り返し指摘してきたように、ユーロのプチバブルは膨張していたが、最終段階に位置していたため、いつ弾けてもおかしくなかった。

 ゆえに、筆者に言わせると、ユーロ/円から始まり、ユーロ/米ドルの急落が表すユーロ下落の動きは遅すぎた感さえあり、また、本格的なユーロ安はむしろこれからで、まだ始まったばかりである。

 材料が値動きの後についてくるというロジックに照らせば、足元ファンダメンタルズ上における最大のリスクであるシリア情勢は、それなりの可能性を持つこともうなずける。

 地政学上、シリアはかなり特別な存在だと聞くし、欧米軍事介入で新たな中東混迷を引き起こすリスクが大きいと言われるが、相場に対する影響は、一言でいうと「リスクオフ」に尽きるだろう。

 リスクオフと言えば、安全資産とされる通貨が買われ、そうでない通貨が売られる、ということは経験則でわかる。

 したがって、シリア攻撃ありと米国が表明すれば、円とスイスフランが買われること自体、ごく自然な成り行きである。

■米ドル/円はトライアングル内での変動に留まっている

 一方、米ドル/円、ユーロ/円の値動きを検証すれば、こういった材料が、出るべきところで出たと言える。

前回のコラムでも提示していたように、米ドル/円は、大型シンメトリカル・トライアングルというフォーメーションを形成中だ。

【参考記事】
アジア通貨危機再来なら円安か? 円高か? 中国崩壊論より、ユーロ暴落に注意!(2013年8月23日、陳満咲杜)

 米ドル/円は8月23日(金)までの切り返しで、そのまま上値トライしてフォーメーションを打破しそうに動くかと思えば、週明け(8月26日)からはシリア情勢の緊迫で下げに転じ、かと思うと8月28日(水)には反発して、結局トライアングル内の変動に留まった

米ドル/円 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

■ユーロ/円もトライアングル型の値動き

 ユーロ/円もしかり。8月23日(金)には7月高値に迫ったものの、やはり8月26日(月)から同材料で下げに転じ、翌日27日(火)にて急落、ベア(下落)トレンドへの復帰を示唆していた。

 日足におけるフォーメーションでは、米ドル/円と同様、ユーロ/円もトライアングル型の値動きを強化しているように見える。 

ユーロ/円 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 要するに、一見ランダムに発生しているように見えるファンダメンタルズ上の材料が、テクニカル上ではこういった可能性を持つため、より重視され、また利用されたわけだ。

 昨日(8月29日)米指標の好調もしかり、こういった側面を持つものではないかとみる。

■ユーロ/米ドルはすでにトップアウトを果たした公算が高い

前回のコラムにて提示した見方と同様、ユーロ/米ドルは6月高値を更新したものの、テクニカルの視点では上値余地は限定的であり、4月安値から調整波(切り返し)を継続していたから、いったん反落波に転じると、値幅が大きくなるはずだった。

【参考記事】
アジア通貨危機再来なら円安か? 円高か? 中国崩壊論より、ユーロ暴落に注意!(2013年8月23日、陳満咲杜) 

 昨日(8月29日)の材料をもってユーロは急落したが、これはまさにこのような特徴を表す値動きであるから、ユーロ/米ドルはすでにトップアウトを果たし、これからベアトレンドを継続する公算が大きいとみる。

ユーロ/米ドル 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

 最近のフォーメーションにおいては、上のチャートで示しているように、昨日(8月29日)の下げは7月安値から形成していた「上昇フラッグ」の下放れに当たるから、ベア基調は一層強化されたと思う。

■事態が深刻化すれば真の流動性を持つドルに資金はシフト

 こういった分析をまとめると、これからの市況の推測に役に立つ。

 まず肝心のシリア情勢がこれからどう展開するかはわからないが、ドルインデックスの切り返しが続くなら、シリア情勢の一段の悪化は、中東混迷の拡大を暗示するサインとして読み取れる。なぜなら、米ドルも資金の逃避先としての役割を果たしているからだ。

 しかし、米国のシリア攻撃表明後の値動きでわかるように、先に買われたのが円とスイスフランで、米ドルの優位性はむしろ低下したように見える。このあたりに、実はもう1つの要素が隠されていると思う。

 つまり、同じ材料でも、その時効性や継続性によって、マーケットに与える影響が違ってくるということだ。

 簡単に説明すれば、米主導のシリア攻撃は、表明した時点では米財政圧迫といった懸念で米ドルを選好できないが、いったんシリア攻撃が始まると、材料の出尽くし感で米ドルが買われる可能性が大きい

 さらに、こういった予測はなお表面的にすぎない。仮にこれから米ドルの暴騰があれば、これはおそらくシリア情勢の鎮火ではなく、中東全域に混乱が広がっていくことを意味するだろう。

 中東不安が高まり、オイルマネーのみでなく、世界範囲で安全な逃避先を求める流れが起これば、資金は真の流動性を持つ米ドルにシフトするほかあるまい。要するに「有事のドル買い」である。事態が深刻化すればするほど、米ドルは買われる運命にある。

■何であれ、最後は米ドル買いの材料と化す運命

 もっとも、米ドルが買われる運命にあるということは、地政学的な要素があったとしてもそれはあくまで誘因にすぎず、本質的にはドルインデックス自体の内部構造に起因している。

 このあたりの話はやや複雑になるが、シンプルにまとめると、以下のチャートで示すように、米ドル全体は2011~2012年から上昇トレンドに入り、これが2021~2022年まで続く可能性が大きい

ドルインデックス 月足(クリックで拡大)

 だから、ファンダメンタルズ上の材料は、FRBの政策転換であれ、中東混迷であれ、最後は米ドル買いの材料と化す運命にあり、材料自体は巷で言われるほど重要ではない。

 この意味では、仮にオバマ大統領がシリア攻撃を取りやめた場合、また米ドル買いが起こるだろう。米財政圧迫の懸念が消えたから米ドルが買われる、といった理屈である。

 その時、マスコミの記事には、きっとこのようなタイトルがつくだろう。「米ドル上昇、シリア攻撃中止に好感」といった具合だ。

 しかし、物事の本質がわかれば、いわゆる「記者の目」に振りまわれずにすむ。マーケットはシンプルでありながら奥深い。ゆえに、俗論に流されないことが肝心だ。

■米ドル/円は95.80円割れも覚悟を

 では、米ドル/円はどう動くか。大きなポイントは、やはり日足におけるトライアングルの突破にある。

 どちらに突破するかによって流れが変わっていくが、ユーロ/円などクロス円の動向から考えて、目先なお下放れの可能性が大きいのではないだろうか。この場合、一時的にせよ、8月安値95.80円割れも覚悟しておきたい

 お詫び:体調不良のため、今回短文で失礼します。

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