■ロシアから資金が流出? ユーロ上昇の要因との声も…
みなさん、こんにちは。
グローバルマーケットでは、西側諸国とロシアの報復合戦が繰り広げられる中、ロシアはG8から除外される展開へ。
混乱の中、世界銀行はロシア経済の見通しを大幅に下方修正し、2014年はマイナス成長との報道がありました。
世銀は26日、ロシア経済が今年マイナス成長に陥る可能性があるとの見方を示した。ウクライナとの対立が激化する場合、ロシア政府が必要な改革ではなく、短期的な危機管理を迫られるためだと指摘した。
世銀の報告書によると、対立が一段と深刻化すれば西側諸国の制裁とロシアの報復措置をめぐる不透明感が高まり、消費者と企業の景況感がさらに悪化しかねない。その結果、国内総生産(GDP)が前年比1.8%減少する見通しだ。
(出所:Wall Street Journal)
通常、グローバルマーケットにこうした強い負荷がかかる局面ではリスクオフとなり、「株安・クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)下落」という展開になりやすいのですが、今回はそうした展開にはなっていません。

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そして、西側諸国との対立激化で、ロシアから大量の資金が流出。
高いリスクを想定したシナリオでは、ロシア市場からの今年の資本流出額が1500億ドルに達する可能性がある。低いリスクに基づいたシナリオでは、850億ドル流出する。来年の資本流出額は前者の場合で800億ドル、後者の場合で450億ドルになる見通しだ。
(出所:Wall Street Journal)
マーケットではロシアからの資金流出が、ユーロやポンドに向かっていると言われています。
今週(3月24日~)前半、日本時間未明にNY市場で突然ユーロ/米ドルが急騰する場面が何度かあり、マーケットを震撼させましたが、こうしたユーロ買いは、ロシアからの資金流出によるものではないかとマーケット関係者は推測しています。

(出所:米国FXCM)
どちらにせよ、上記のようなユーロ買い需要があり、地政学リスクを抱えながらも、ユーロは米ドルに対して底堅く推移しています。
■豪ドル急騰、RBA総裁の通貨高牽制コメントが沈静化
ただ、ユーロはある通貨に対して今週暴落しています。
それは、豪ドル。

(出所:米国FXCM)
ロシアを筆頭にマーケットが不透明な展開になった時、通常は最初に値を崩すのが豪ドルなのですが、その豪ドルもこれまでとはまったく違う展開に。
つい先日まで「通貨高は不快である」とまで発言していたRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])のスティーブンス総裁ですが、このところ、通貨高を抑制するコメントは沈静化しています。
そして、3月26日(水)にスティーブンス総裁が「豪ドル相場の方向性はファンダメンタルズの見方次第」とし、明確に通貨高牽制コメントをしなかったことにより、豪ドルの買い戻しが加速。
さらに、対米ドルよりも豪ドルクロス(米ドル以外の通貨と豪ドルとの通貨ペア)で豪ドル高が急激に進行しました。
■豪ドル/米ドルは200日移動平均線をあっさりブレイク
ユーロ/豪ドルは2014年1月24日(月)に1.5833ドルの高値をつけてからじり安の展開。

(出所:米国FXCM)
そして、先週の1.55ドル台から今週一気に節目の1.5000ドルをブレイクし、1.49ドル台前半まで急落しています。
ユーロ/豪ドル、豪ドル/NZドル、豪ドル/加ドル、豪ドル/円といった豪ドルクロスでも軒並み豪ドル高が急激に進行。
連れて、豪ドル/米ドルは長らくレジスタンスであった200日移動平均線をあっさりブレイクし、0.92ドル台ミドルまで反発。

(出所:米国FXCM)
■RBNZの連続利上げ予測も豪ドル上昇をサポート
グローバルマーケットが不透明な中、豪ドル高が急激に進行しているのは、インフレに留意して、お隣のRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])が連続利上げするだろうと予測されていることが影響していると言われています。

先週のイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長もややタカ派でしたが、RBNZ同様、RBAも将来的にインフレを懸念せざるを得ない状況に陥っているのではないかというのがマーケットのコンセンサス。
加えて、この豪ドルの反発には、RBAのスタンス変化の他に、ロシアからの資金流出の一部も、南半球でトリプルAの格付けを持つオーストラリアに向かっていることが要因ではないかという推測もあります。
■混乱から遠い通貨へ資金流入、豪ドルの優位性は継続か
どちらにせよ、ロシア発の混乱により、各国のファンダメンタルズよりも、流動性が高く、混乱から一歩離れた通貨へと資金が流れるという傾向が出てきています。この意味においては、これまでのリスクオン・リスクオフといった教科書的な相場の見方では対処しにくくなっているので要注意です。
なので、豪ドルの優位性はしばらく続くのかもしれません。
ただ、このところのマーケットは地政学リスクを抱えており、不安定であることと、昨日はスティーブンス総裁が「交易条件の悪化とともに、豪ドルが下落しないならば驚きだ」、そして「交易条件は悪化するだろう」とコメントしており、RBAが大幅な通貨高を容認するという展開ではなさそうです。
この豪ドルの反発が続くのかどうかを占う意味で、4月1日(火)のRBAの金融政策決定会合に注目。
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