■ドラギマジック炸裂! ECBがオープンエンドQEを決定
みなさん、こんにちは。
世界中から注目されたECB(欧州中央銀行)理事会が1月22日(木)に開催されました。結果は、周到にQE(量的緩和策)への計画を進めてきたドラギECB総裁の大勝利。
【参考記事】
●ECBのQEとギリシャ総選挙が終了。ユーロは一旦買戻し後に1.08ドルへ下落か(1月27日、西原宏一&松崎美子)
ドラギ総裁は市場予想を大きく超えるQEを発表。まず、月額600億ユーロの国債購入を決定。期間は2015年3月より2016年9月までの19カ月間。これにより、19カ月間で1兆1400億ユーロの国債購入が決定されたわけです。
1月22日(木)に開催されたECB理事会で、期限を定めないオープンエンドのQEを決定。これがマーケットにサプライズを与え、ユーロは急落した。
ドラギ総裁自身が認めていますが、懸念はQE発表と同時にバイ・ザ・ファクト(Buy The Fact)でユーロが反発すること。
今回、ECBによるQEが発表されましたが、その1週間前、1月15日(木)にSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])がユーロ/スイスフランの下限を撤廃したことで、マーケットはQEの開始を織りこみはじめ、ユーロ/米ドルはすでに1.15ドルレベルまで急落していました。
QEはある意味、通貨安政策ですので、発表後、ユーロが反発するのを食い止める必要があります。そこで、ECBは月額500億ユーロでの量的緩和という情報を事前にリークさせます。その上で、実際は月額600億ユーロと発表。
これはマーケットにサプライズを起こしてユーロの下落を継続させようという工夫が随所に見られるやり方であり、ドラギ総裁のこの政策に懸ける意気込みを感じます。
そして、マーケットに一番のサプライズを与えたのが、このQEが、期限の定めのない、オープンエンドだったという点です。
つまり、インフレ目標達成のために、必要であれば、無期限に実施するということ。これを、マーケットは驚きをもって迎えました。
■ECBのQE発表を受け、ユーロ/米ドルは1.11ドル割れ
この発表を受け、ユーロ/米ドルは節目であった、1.1400~1.1500ドルを割り込み、1.1100ドル割れまで急落しました。安値は1.1098ドル。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
また、ユーロ/円は、130.00円割れ目前の130.15円まで急落しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)
ユーロ/米ドルは、2015年年初の1.21ドルから1.11ドルまで、約1000pips、ユーロ/円にいたっては、146円から130円まで約16円の大暴落となります。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
今回のECBの発表により、SNBが3年半に渡って執拗に守ってきた、ユーロ/スイスフランのマジノ線(※)(=1.2000フラン)を断念したのもうなずけます。
(※編集部注:「マジノ線」とは第二次世界大戦前にフランスがドイツとの国境に築いた難攻不落と言われた要塞のこと)
【参考記事】
●ユーロ/スイスフランが約3800pips大暴落! スイス中銀が防衛ラインの撤廃を発表!
●ECBのQE実施の可能性はほぼ100%に! 注目すべきは規模とドラギ総裁の本気度!(1月27日、西原宏一&松崎美子)
ECBがこれだけの大規模QEを導入すれば、SNBがどれだけ介入しても、結局はマジノ線が決壊してしまうからです。
この、ECBの大規模QEの影響は…
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