■イースター休暇明けの焦点は再びユーロに
みなさん、こんにちは。
先週(3月30日~)末は、欧州や米国勢がイースター休暇でした。
特に英国勢にとっては、昨年(2014年)のクリスマス以降、初めての長い休暇がやってきたということで、2015年最初の休暇を謳歌したといったところ。
今年(2015年)、もっとも注目を集めていたユーロ/米ドルも、イースター休暇を控えてポジション調整が進み、1.10ドル台まで反発しました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
他の通貨ペアも調整モードに入り、方向感なく推移していました。
そして、イースターマンデーが明けて、欧州勢や米国勢がマーケットに帰還。
そこで、再び注目されたのがユーロ。ユーロが下落を再開した要因は、ギリシャ問題の深刻化でした。
【参考記事】
●ギリシャが5月中旬以降、ヤバい理由とは? 鉄鉱石価格暴落で豪ドルはまだまだ下がる(4月7日、西原宏一&松崎美子)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 1時間足)
■ギリシャのユーロ圏離脱、「Grexit」の可能性高まる
まず、イースター休暇前に、米大手ゴールドマン・サックスが「Grexit」(ギリシャのユーロ圏離脱)のリスクが高まっているという記事を、ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿。
そして、今週(4月6日~)に入って、ギリシャの動きが加速しました。
4月7日(火)には、まとまらないギリシャ問題に、米国政府は、ギリシャ政府と債権者との協議が合意に至るよう、仲介役になることを示唆。
そして、4月8日(水)には、ギリシャとロシアによる首脳会談が行われました。この会談では、ギリシャはロシアに支援要請はしなかった模様。
ギリシャ、ロシアに支援要請せず 提携強化は確約
ギリシャのチプラス首相は8日、訪問先のモスクワでロシアのプーチン大統領と会談し、ロシアによる提携強化に向けた確約を取り付けた。
ただ、両首脳ともにギリシャはロシアに金融支援を要請していないと言明。プーチン大統領は欧州連合(EU)の対ロシア制裁への対抗措置の一環として導入している農産品の禁輸措置について、ギリシャのみを例外として解除しない方針を示した。
出所:ロイター
ギリシャがロシアに接近することで、欧州諸国は神経質な展開。
■ギリシャがドイツに賠償金を要求し、事態は泥沼化…
そして、ギリシャの財務次官は、ドイツ政府に対し、ナチス時代の賠償金を払えとコメントし、事態は泥沼化の様相に。
ナチス賠償金を要求するギリシャの破れかぶれ
これ程、都合の良いタイミングはないだろう。
ギリシャのユーロ圏離脱がますます現実味を帯びる中、金融支援交渉でドイツと対立するギリシャが、形勢逆転を狙って反撃に出た。第二次大戦中のナチス・ドイツのギリシャ占領に関して、数千億ドルの賠償金支払いをドイツに求めている。
ロイターの報道によると、ドイツのジグマル・ガブリエル副首相兼経済エネルギー相は、この要求を「馬鹿げている」と切り捨てた。要するにギリシャが債務危機を乗り越えるための資金をユーロ圏諸国から絞り出すための策略だ、と断じた。
国際通貨基金(IMF)に対する約4億8700万ドルの債務の返済期限が9日に迫った今週、ギリシャ財務省は初めて公式にドイツの賠償金が3020億ドルに上ると算出した。
これは大変な額だ。2010年にギリシャが欧州連合(EU)とIMFから財政破綻を回避するために受けた2600億ドルの救済策を上回っている。ギリシャが抱える3500億ドルの債務の返済の大きな助けになるだろう。
当然のことながらドイツは、戦時賠償はとっくの昔に解決した問題で、今になってそれを持ち出すのは、ギリシャの債務危機から注意を逸らそうとする「非常識」な試みだと主張している。
出所:News Week
本日、4月9日(木)は、ギリシャのIMF(国際通貨基金)に対する、4億5000万ユーロの返済期限となります。
前述のように、ギリシャから、ナチス時代の賠償金を払えというコメントまで飛び出し、事態は深刻化しています。
■ユーロ/米ドルは再びパリティを目指して下落再開
先週(3月30日~)末、スイスの大手金融機関のUBS銀行も、「Grexit」の可能性を50~60%へ引き上げました。
イースター明けから、いきなり「Grexit」の可能性が高まり、ユーロ/米ドルは下落を再開。
ユーロ/米ドルは、1.0800ドルを割り込み、本稿執筆時点では、1.0751ドルまで下落しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 1時間足)
ユーロ/円、ユーロ/英ポンド、ユーロ/豪ドル、ユーロ/スイスフランといったユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)も軟調に。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 1時間足)
ユーロ/米ドルは、1.04ドル台まで急落した後の調整局面では、6回に渡って、1.10ドル台まで踏み上げるも、1.10ドル台ミドルを抜け切れず、今週(4月6日~)に入って反落しています。
ギリシャ問題が泥沼化し、「Grexit」の可能性が高まる中、ユーロ/米ドルは再びパリティ(1ユーロ=1米ドル)を目指して下落再開。

(出所:米国FXCM)
「Grexit」の可能性が高まる中、ユーロ/米ドルの行方に注目です。
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