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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

日銀の追加緩和期待が高まるワケとは?
ドル/円は底固め後に124円へ上昇濃厚!

2015年09月17日(木)15:51公開 (2015年09月17日(木)15:51更新)
西原宏一

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■G20以降は上海株下げ止まり、豪ドル/円は反発

 みなさん、こんにちは。

 8月24日(月)の「チャイナブラックマンデー」以降、不安定な状況が続いていた上海株ですが、9月4日(金)~5日(土)に開催されたG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)で、中国が「バブル崩壊を認めた」ことをきっかけに、下げ止まりを見せています。

【参考記事】
中国人民銀行総裁が株バブルを認めた! なぜ中国の外貨準備高は大幅減になった?(9月8日、西原宏一&松崎美子)

上海総合指数 日足
中国が「バブル崩壊を認めた」ことをきっかけに、シャンは株は下げ止まりを見せている

(出所:CQG)

 バブル崩壊を認めたということは、中国が株の暴落に対して、さらなる対策を打つということになるため、市場に安心感が広がってきているわけです。

 これに連れて、上海株のプロキシー(代替)である、豪ドル/円も下げ一服で反発傾向。

豪ドル/円 日足
豪ドル/円は下げ一服で反発

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足

 もっとも、前回のコラムでご紹介させていただいた英ポンド/円が187円台まで反発していることが、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を牽引している要素も大きいわけですが…。

【参考記事】
日経平均1343円暴騰はなぜ起きたのか? さらに利下げ見込むNZドルは0.55ドルへ(9月10日、西原宏一)

英ポンド/円 日足
英ポンド/円は187円台まで反発

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足

 英ポンド/円が牽引するクロス円の反発により、米ドル/円も120円台を回復しています。

米ドル/円 日足
クロス円の反発により、米ドル/円は120円台を回復

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

■FOMCでは利上げなくても影響は限定的か

 急落は収束したとはいえ、日経平均は1万8000円台、米ドル/円は120円台と、「チャイナブラックマンデー」以前のレベルにはまだ戻っていません

日経平均 日足
日経平均は1万8000円台とチャイナブラックマンデー以前のレベルに戻っていない

(出所:株マップ.com

 この後の相場展開は、日本時間9月18日(金)午前3時に予定されている、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果待ちとも言えるのですが、大方の予想は「10月もしくは12月の利上げ」

 結果、今回は利上げがなくても、マーケットに与える影響は限定的ではないかと想定しています。

【参考記事】
9月FOMCで利上げはあるのか、ないのか? その後の為替はどう動く? 大穴はスイス!(9月15日、西原宏一&松崎美子)

 マーケットの予測をまとめると、少なくとも2015年年内中(つまりあと3カ月強)に、一度利上げがあるということを言っているわけですので…。

■日銀の追加緩和期待高まる中、ドル/円は124円回復へ

 一方、ほとんどゼロと言われていた日銀の追加緩和ですが、今週(9月14日~)もじわじわと期待が高まっています。

【参考記事】
日本株安・円高でアベノミクスが苦境に。待望される日銀の追加緩和はあるのか?(9月3日、西原宏一)

 日銀の追加緩和期待は、前回のコラム同様、「伸びない設備投資、4-6月期実質GDPのマイナス、日本株の急落」により高まっているわけですが、日銀の物価シナリオを信じるマーケット参加者が激減していることも要因のひとつです。

【参考記事】
日経平均1343円暴騰はなぜ起きたのか? さらに利下げ見込むNZドルは0.55ドルへ(9月10日、西原宏一)

支持1人の物価シナリオ

日銀の2%目標、エコノミスト調査 修正なら緩和の有無焦点

「原油価格次第では2%物価目標の達成時期が(従来シナリオと比べて)前後にずれる」15日に黒田東彦日銀総裁の口からそんな言葉が出た。背景には日銀の物価シナリオを信じるエコノミストが一段と減っている点もありそうだ。

 9月のESPフォーキャスト調査(41人対象)ではたった1人となった。10月末公表の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で修正を迫られる可能性もあり、追加緩和の有無が焦点だ。

 日銀が2013年4月に始めた量的・質的金融緩和(異次元緩和)は、2%物価目標を「2年程度を念頭に置き、できるだけ早期に実現する」政策だ。具体的な達成時期の表現は変化してきており、開始から2年が経過した15年4月公表の前回の展望リポートでは「15年度を中心とする期間」から「16年度前半頃」に先送りされた。

 それでも強気過ぎるというのが多くの民間エコノミストの見方だが、4月のESP調査では「16年度前半」の達成を予測する人が5人いた(それ以前の達成を予測した人はゼロ)。原油安などを背景にこの人数がその後減っていったわけだ。

出所:日経新聞

原油価格次第では2%物価目標の達成時期が従来のシナリオから前後にずれると述べる黒田総裁

原油価格次第では2%物価目標の達成時期が従来のシナリオから前後にずれると述べる黒田総裁。日銀による10月の追加緩和は果たしてあるのだろうか? (C)Bloomberg

 確かに、インフレ目標の達成時期は徐々に先送りされています。

 注目は、来月(10月)末に公表する日銀展望リポート。予測が下方修正されることは不可避。インフレ目標達成時期が先送りされるにもかかわらず、政策発動を見送り続けるということにはかなり疑問が残ることになります。

 この文脈においては、10月の日銀による追加緩和への期待感が自然と高まることになります。

 日銀の追加緩和期待の高まる中、米ドル/円と日経平均のダウンサイドリスクは徐々に限定的に…。米ドル/円は119~120円で底固めした後、再び124円台に向けて回復する可能性が濃厚

米ドル/円 日足
米ドル/円は119~120円で底固め後、再び124円台に向けて回復する可能性が濃厚

(出所:米国FXCM

 日銀の追加緩和期待の高まりと、日本株と米ドル/円の反発に注目です。


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