■世界的に株価不安定で為替も方向感のない展開
みなさん、こんにちは。
8月24日(月)のグローバルな株の急落以降、金融市場は不安定な展開が続いています。グローバルに株が不安定であるため、為替も方向感なく不安定な展開。
【参考記事】
●中国人民銀行総裁が株バブルを認めた! なぜ中国の外貨準備高は大幅減になった?(9月8日、西原宏一&松崎美子)
特にSQ(※)を控えた今週(9月7日~)の日経平均は乱高下。9月8日(火)の日経平均は433円安。
(※編集部注:「SQ」とは日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと。株価指数先物は3月、6月、9月、12月の第2金曜日、オプション取引は毎月第2金曜日がSQ算出日となっている)
それが9月9日(水)の日経平均は一転して急騰。なんと1343円高の1万8770円でクローズ。空売り比率も大幅に低下。

(出所:株マップ.com)
この21年7カ月ぶりの上昇幅となる日経平均急騰の背景には、英ポンド/円の急騰が影響しています。
■巨大M&Aが影響!? 英ポンド/円は3日で6円急騰!
9月8日(火)のロンドン市場から突然、英ポンド/円が暴騰。前日、7日(月)の英ポンド/円の安値は180.23円ですので、そこからわずか2日で約5円急騰。
9月9日(水)はさらに円安が進行しており、英ポンド/円は、一時、186円台ミドルまで到達しています。実に、3日で6円の暴騰。

(出所:米国FXCM)
この英ポンド/円急騰の背景には、巨大M&Aが影響しています。
三井住友海上が5000億円超で英損保買収。
三井住友海上火災保険は英損害保険大手のアムリンを買収する方向で最終調整に入った。買収額は5000億円超とみられる。保険会社の保険金支払いリスクを引き受ける再保険を中心に、海上保険、航空保険などを幅広く扱う同社の買収で、海外展開を加速する。
出所:日経新聞
人口減による国内の保険需要の縮小に対し、海外で活路を見出す戦略が続きます。
9月8日(火)には、このM&Aが正式発表となり、ロンドン市場ではM&Aに絡む英ポンド/円の買い(ユーロ/円の買い、ユーロ/英ポンドの売り)が大規模に持ち込まれた模様。
これを受けて、英ポンド/円は急騰しました。

(出所:米国FXCM)
連れて、118.00円台後半で軟調に推移していた米ドル/円も、一気に120円台を回復。

(出所:米国FXCM)
この円安に呼応して、9月9日(水)の日経平均は前営業日比で1343円の暴騰。これは、史上6番目の上げ幅となるものでした。

(出所:株マップ.com)
公的年金に加え、巨大M&Aの円売りが、米ドル/円と日経平均をサポートした展開。
ただ、前回のコラムでご紹介したように、NYダウが安定しない限り、グローバルに株はまだ不安定。
【参考記事】
●日本株安・円高でアベノミクスが苦境に。待望される日銀の追加緩和はあるのか?(9月3日、西原宏一)
■上海株ショックはリーマンショックほどの激震ではない
公的資金に加え、巨大M&Aの円売りにより、米ドル/円と日経平均はようやく下げ渋り。
一方、多くのエコノミストの間では、今回の上海株ショックは、リーマンショックほど大きく取り上げられていません。
【参考記事】
●中国発のリスク回避強まり世界同時株安!南アランド/円は乱高下、一時10%超暴落!
邦銀のエコノミトの友人に話を聞いてみると、今回の上海株ショックは、リーマンショックほどの激震は走っていないとのこと…。
リーマンショックは、欧米先進国のバランスシート調整によるもので、その影響は多岐に渡ったわけですが、今回は銀行が資金調達に苦しみ、クレジットクランチが起きているわけではないとのこと。
ただ個人的には、リーマンショックも「日本への影響は大きくない」と言われていたわりには、日本株に激震が走ったことは記憶に新しいところ。
特に、本丸のNYダウが1万7000ドルを回復しない限り、マーケットはまだ神経質な展開が続きます。
【参考記事】
●NYダウはさらに暴落するリスクあり!? 株高のカギを握る本邦当局の一手とは?(8月27日、西原宏一)
■日本株低迷なら日銀の追加緩和期待はさらに高まる
そこで期待が高まってきたのが、前回コラムでご紹介させていただいた日銀の追加緩和です。
【参考記事】
●日本株安・円高でアベノミクスが苦境に。待望される日銀の追加緩和はあるのか?
「伸びない設備投資、4-6月期実質GDPのマイナス、日本株の急落」など、アベノミクスは徐々に追い込まれる展開に。こうした中、日銀の追加緩和への期待が先週(8月31日~)よりさらに高まっています。
来週、9月14日(月)~15日(火)に開催される日銀会合に関しては、9月16日(水)~17日(木)にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えているため、追加緩和の可能性は低いのですが、現在の日本株の低迷が続けば、わずかであった日銀の追加緩和の可能性がじわじわと高まってきます。
米ドル/円と日本株がメイントレンドに回帰できるかどうかを探るため、引き続き、日銀の動向に注目です。
■NZ中銀は利下げを決定! NZドルの下落トレンドは継続へ
一方、オセアニア通貨は軟調。特にNZドルに関しては、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])が政策金利を断続的に引き下げているため、上値は限定的。

(出所:米国FXCM)
本日(9月10日)のRBNZでは、追加利下げが決定。これで、政策金利は2.75%に。今年(2015年)の12月には、もう一段の利下げが見込まれています。

(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移)
加えて、RBNZのウィーラー総裁が、「輸出品価格の急落を考慮すると、さらなるNZドルの下落が妥当」とコメント。
このところ、ウィーラー総裁の通貨安誘導コメントは影を潜めていたため、マーケットは即座にNZドル売りで反応しました。

(出所:米国FXCM)
RBNZによる追加利下げが断続的に行われている、NZドルの上値は重いまま…。
NZドル/米ドルは、節目の0.6500ドルをブレイクし、じり安の展開が続いており、中期では0.5500ドル方向に続落する可能性が濃厚。

(出所:米国FXCM)
米ドル/円がメイントレンドに戻れるかどうかのカギを握る日銀の動向と、下落を続けるNZドルの行方に注目です。
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