■不規則な指値オペに債券市場は大パニック!
先週(1月30日~)は遂にトランプさん本人から日本の為替政策を非難する発言が出ました。
ちょうど大橋さんとオンラインセミナーを終えた直後でしたね。
誰もがリスクとして警告していたことであり、予想どおりでしたが、米ドル/円は112円レベルまで円高が進行。さらには債券市場にも余波が及びました。
【参考記事】
●世界の為替市場参加者を震撼させる報道が出ても米ドル/円下落が限定的なワケは?(2月2日、西原宏一)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
トランプさん本人から為替政策への批判が飛び出たこと、2月10日(金)に日米首脳会談を控えていることから、しばらく日銀は動きづらいんじゃないかとの見方も高まっていたんですよね。
先月、1月25日(水)の国債買入れオペでは中期債が対象から外れていたことでテーパリング観測も出ましたし……。
ところが2月3日(金)の12時30分、日銀は指値オペ(日銀が指定した利回りで国債を無制限に買い入れること)を通知しました。
通常は10時10分と14時に通知されるのですが、異例の時刻に通知された緊急指値オペに債券市場はパニックに。米ドル/円も瞬間的に50銭の上昇となりました。
【参考記事】
●日銀の「指値オペ」、その真の意味とは? ユーロ/米ドルは超長期サポート割れ寸前(2016年11月22日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
アルゴ主導の相場でしょうね。あの動きを手動で狙っていくのは非常に難しい。
■112円割れを狙った売り仕掛けに注意!
2月3日(金)夜には米雇用統計も発表されました。NFP(非農業部門雇用者数)は堅調でしたが、平均時給の伸びが鈍化して米ドル/円は下落。
その後、サンフランシスコ連銀総裁から3月利上げを示唆する発言が出て踏みとどまる、という展開でした。
トランプさんの円安批判、米雇用統計とイベントがあったものの、米ドル/円は112円を死守したことで、基本的には上目線の継続でいいのでしょう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
でもチャートを見ると、徐々に形状が悪化しているように見えませんか?
そうですね。日足を見ると118円台ミドルでダブルトップを作ってから調整入り、短期の移動平均線を下抜けし、一目均衡表の雲の中に入り込んでしまっています。
雲の上限は116円台と遠いですから、すぐに上抜けできそうもない。雲の中での乱高下が続くのかなというイメージですね。
(出所:Bloomberg)
2月10日(金)の日米首脳会談を前に、米ドル/円は112円割れを狙った投機筋の売り仕掛けもありえますよね。
あるかもしれませんね。米ドル/円の112円はトランプラリーの38.2%戻しであると同時に112円台ミドルは75日移動平均線も位置する重要な節目。
112円を割ると、少し走るかもしれません。
米ドル/円は112円の下のサポートは50%戻しが110円近辺。110円台まで下がれば少し買ってみたいですね。
(出所:Bloomberg)
日足・一目均衡表の雲の下限も110円前後ですから、112円を割ることがあれば110円が意識されそうです。
■日米首脳会談はゲームチェンジャーとなるか
いずれにせよ今週(2月6日~)の注目は10日(金)の日米首脳会談。
相場の流れを変えるゲームチェンジャーとなる可能性を秘めたイベントです。
麻生財務相や事務方のトップである浅川財務官も訪米するということで、為替政策への批判が再び出るのかどうか、ちょっと心配ですよね。
先日来日したマティス米国防長官の発言は日本にとって百点満点ともいえるものでした。
アメリカでは首脳同士のゴルフも計画されているとも聞きます。日本からはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による米インフラ投資という「お土産」を持っていくとのウワサもある。
日米が友好ムードであるのは間違いないのでしょう。どちらかといえばポジティブな材料が出る可能性のほうが高そうですが、会談の結果は予測不可能。予想してポジションをとるものでもないでしょう。
株式市場を見ると、ドッド・フランク法(米金融規制改革法)を廃止して金融規制を緩和する大統領令に署名するとの話がポジティブに受け止められています。
株価が上昇して米ドル/円だけが落ちる、というのも考えにくいですよね。
(出所:Bloomberg)
日米首脳会談次第ですが、方向としては上。米ドル/円は112円、110円のサポートに注目しながら押したところは買っていく、というイメージでしょうね。
日米首脳会談を控え、方向感なく乱高下する動きに巻き込まれないようにしたいところです。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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