■トランプの心をつかんだ安倍首相のひと言
週末に開催された日米首脳会談、大成功だったようですね。
マーケットのセンチメントがひっくり返りましたよね。週明けの米ドル/円は上窓を開けて始まりましたし。
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トランプさんと2日間を過ごし、ともにゴルフをプレーするだけでなく、追加の9ホールを2人だけで回るほどの親密ぶり。
日米首脳会談を終えて記者会見をするトランプ米大統領と安倍首相。その後、2人はトランプ米大統領が所有するゴルフ場でプレーし、追加で9ホールを2人で回る親密ぶり
(C)Chip Somodevilla/Getty Images
2月12日(日)には北朝鮮のミサイル発射という想定外の事態もありましたが、2人が緊急会見し、日米同盟の強力さを改めて確認することに。
「北朝鮮からの『祝砲』だったようだ」と皮肉る人もいます。
安倍さんは昨年(2016年)末の段階でトランプさんといい関係を築いていたようですね。
「あなたはニューヨーク・タイムズに叩かれた。私もニューヨーク・タイムズと提携している朝日新聞に徹底的に叩かれたが、私は勝った」と、そんな話でトランプさんの心をつかんだそうです。
安倍首相の姿勢を「土下座外交」と揶揄する人もいますが、大成功といっていいでしょう。
オーストラリアのターンブル首相が1時間の予定の電話会談を25分で打ち切られるなど、トランプ大統領との関係づくりには各国とも苦戦しています。
そんな中、心をつかんだ安倍首相には各国のトップから会談の申込が殺到しているとも。
■リスクオン環境なのに出遅れていた米ドル/円
マーケットに話を戻すと、日米首脳会談を警戒して、米ドル/円が112円割れを試す場面もあったのが先週(2月6日~)前半。
ところが日米首脳会談の前日、トランプ大統領が法人税改革の「驚異的なプランが2~3週間以内に発表される」と述べたところから風向きが変わってきました。
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2万ドルに乗せたNYダウは強く、原油も底堅い。
リスクオンの雰囲気の中、取り残されていたのが米ドル/円と日本株でした。
【参考記事】
●日米首脳は友好ムードも会談は予測不能! 相場の乱高下に巻き込まれないよう要注意(2月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
それがやっと動き出したのが先週(2月6日~)後半。ただ、このまま米ドル/円が、120円、125円と上がっていくようにも思えません。
目先では114円に大きなオプションが設定されており、ここを抜けると115円にも大きなオプションがあります。
(出所:Bloomberg)
■14日深夜のイエレン議会証言が注目されるも……
もう一段の上昇には、もうひとつ材料がほしいですよね。
そうなると注目されるのが、2月14日(火)深夜に行われるFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長による議会証言。
最近のFRB関係者の講演では「3月利上げもあるぞ」という声が出ていますし…。
債券市場の織り込み度を見ると、今のところ3月利上げはないのでしょうが、何を言うかわかりませんからね。
昨年(2016年)、イエレンはもちろんフィッシャーFRB副議長やブレイナードFRB理事の発言で相場が大きく動く時期もありました。
【参考記事】
●FRB副議長の発言により米金利急騰でドル上昇! 9月利上げは経済指標次第!(2016年8月29日、西原宏一&大橋ひろこ)
しかし、今の主役はトランプ。FRB関係者の発言に昨年(2016年)ほどの影響力はありません。
今週(2月13日~)は米国債の償還・利払いもあるんですよね。
「米国債の金利を円に戻す需要が発生するため、米国債の償還があるニッパチ(2月・8月)は円高になりやすい」なんて意見もあります。
でも、最近は米ドルのまま再投資されることがほとんどだそうですね。
そうでしょうね。ただ、3月の期末を控えた投資信託の解約などもありますから、2月が円高になりやすい月であるのはたしかです。
日米首脳会談の成功で下値不安は薄れていますが、オプションの影響もあり、米ドル/円が一気に上昇するのも難しい。
(出所:Bloomberg)
米ドル/円は113円から115円程度をコアとしたレンジとなるのかもしれません。
レンジを抜けるとしたら上でしょうから押したところを買っていく、という戦略でよいのでしょう。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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