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【仮想通貨激論!】広瀬隆雄vs大石哲之(2)
本当にトラストレスの意味を理解してます?

2017年12月04日(月)12:57公開 (2017年12月04日(月)12:57更新)
ザイFX!編集部

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「【仮想通貨激論!】広瀬隆雄vs大石哲之(1)トラストレスを巡る筋書きのない議論開始!」からつづく)

「トラストレス」をめぐる広瀬隆雄さん(@hirosetakao)と大石哲之さん(@bigstonebtc)の論戦。日ごろ聞き慣れない単語かもしれませんが、トラストレスはビットコイナーの定番ワードであり、重要なキーワードです。だからこそ、2人ともトラストレスにこだわるというわけ。

前回、広瀬隆雄さんが発表してくれた論考では「ビットコインがトラストレスな状況でも機能することは認めるし、美点だ」と、トラストレス性自体に対しては肯定的な態度を示していました。

 しかし、「社会的に受け容れられるかは別問題」とも広瀬さん。今の社会に「トラスト」が欠如しているわけではないし、トラストレス性に魅力を感じるのは反社会的勢力だけだろう、と。

【参考記事】
【仮想通貨激論!】広瀬隆雄vs大石哲之(1)トラストレスを巡る筋書きのない議論開始!

 さて、これに対する大石さんの反論は?(ザイFX!編集部)

大石哲之氏プロフィール

■「トラストレス」を理解しているのだろうか…

広瀬さんの原稿を読んで思ったのは、「これで何を反論すればよいのか」ということ。反論のしようがありません。

 まず、今回テーマとなっている「トラストレス」という言葉について、一般的には「信頼がない、あてにならない」と翻訳されます。

 しかし、それは辞書的な意味であって、ビットコインや暗号通貨の世界では「第三者の仲介が不要である」こととされます。信頼できる第三者(トラステッド・サードパーティ)が不要で取引ができることがトラストレスなのです。テクニカルターム、技術的な用語だと思ってください。

 一般的な意味での「トラスト=信頼」と、テクニカルタームとしてのトラストレスをごっちゃにして論じられても話が通じません。広瀬さんは、わざとごっちゃにして曖昧にしているのでしょうか。

■ビットコインは「人々による人々のためのお金」

 「ビットコインが社会に受け容れられるか?」、そんなことは知りません。それは社会が追いついてくるものです。

 少し前まで「ビットコインは詐欺」だと社会は捉えていました。ところが今、ビットコインのしくみ自体は何も変わっていないのに、社会は「ビットコインは便利で革新的だ」と捉えるようになり、価値が高まっています。人々が直接支えているというのが、ビットコインの本質なんです。

 私は私で持論を展開しようと思います。

 今までの金融システムは、銀行や証券会社がオーソライズして成り立っていました。あるいは、日本円であれば国家が債務を裏付けしています。

 一方で、ビットコインには、債務を裏付けする機関やオーソライズする会社は何もありません。人々が保有し、利用し、欲することによって価値を生んでいるわけです。

ビットコインは、世界で初めての「人々による人々のためのお金」です。これが、もっとも大事な点だと思います。

■トラストレスでなければ電子ゴミくず

 「人々による人々のためのお金」を成り立たせるために何が必要かというと、既存のシステムから独立していることです。既存の送金システムでは、取引にあたって信頼できる第三者を経由するか、あるいは銀行や証券会社によるオーソライズが必要でした。

 しかし、ビットコインは違います。信頼できる第三者も銀行も不要で取引できる、それによってビットコインは価値を生んでいるのだと思います。

 つまり、「トラストレスであること」、それ自体がビットコイン最大の価値であり、そこに価値を認めるからこそ、人々はビットコインを求めるのです。

 トラストレス性がなければビットコインは単なる「電子ゴミくず」。ビットコインの価値の本質は、トラストレスであるということなんです。

ビットコインのイメージ

もしも、ビットコインにトラストレス性がなかったら……価値は損なわれ、単なる電子ゴミくずになってしまう──このように大石哲之さんは主張する (C)akkarapol / PIXTA(ピクスタ)

■インターネットは情報の「トラストレス装置」

 ここであえて広瀬さんの議論に沿って一般的な意味でのトラスト、つまり「信頼」の話を持ち出せば、トラストレスというのは「信頼のない一見さんとも取引できる」ということになります。

 インターネットが世の中を大きく変えたのはみなさん、ご存知のとおりです。インターネットの登場以前、遠くに住む面識のない人と直接つながることは困難で、コミュニケーションは分断されていました。

 それが、インターネットの登場によって人々は距離を超えて直接つながれるようになり、安心してコミュニケーションを行ない、さまざまな情報が流通するようになりました。

インターネットは、ひとつの「トラストレス装置」です。これがあることによって信頼できる第三者や仲介者がいなくとも情報を伝達し、人々が情報をやり取りできるようになったわけです。

 これはインターネットによる「情報のトラストレス化」であり、私たちは情報面で大きな自由を獲得しました。人々は、より多くの人とトラストレスにコミュニケーションを図れるようになったわけです。

トラストレスなコミュニケーションが、なぜいいのか。便利で効率的だからです。だからこそ、多くの人がインターネットを利用するし、インターネット以前の世界よりも、人々は密接にコミュニケーションできるようになっているわけです。

■ビットコインの価値の本質はトラストレス性にある

 ビットコインでも同じです。ビットコインのトラストレス性によって、今までは取引できなかった人同士が、今までは取引できなかった形態で、取引できるようになりました。

 これから続々と新たなフロンティアが生まれてくるはずです。

 広瀬さんがご存知かはわかりませんが、「レイヤー2(※1)」、「ペイメントチャネル(※2)」、「サイドチェーン(※3)」、それにイーサリアムの発展――。

(※編集部注1:ブロックチェーンをインフラとし、その上に構築されるネットワーク)

(※編集部注2:特定の二者間の取引を低コスト、短時間で行なえる機能)

(※編集部注3:異なるブロックチェーン間でコインやトークンの交換が可能な技術)

 これらによって、今までは国境の制約で分断されていた価値の交換や経済交流が行われるようになり、人々の結びつきを強め、フロンティアが開拓されていくでしょう。

 そのために、もっとも欠かせないのが、特定の機関や国家に依存するのではなく、人々の力によって支えられるトラストレス性です。これを理解することが、いかにビットコインに大きな価値があるかを理解することになります。

「【仮想通貨激論!】広瀬隆雄vs大石哲之(3)マイニングという重労働を忘れてはならない」へつづく)

(談話を元に構成 構成/ミドルマン・高城泰 編集担当/ザイFX!編集部・井口稔&向井友代)

【参考コンテンツ】
ビットコイン・仮想通貨の取引所/販売所を比較。取引コストが安いのはどこ?

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