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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

中国の自業自得で米中全面対決の冷戦へ!
リスクオフムードはクロス円で顕著

2018年03月23日(金)17:39公開 (2018年03月23日(金)17:39更新)
陳満咲杜

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■米中貿易戦争などを理由に、リスクオフムード高まる

米国株の急落や円高でリスクオフのムードが高まっている。投資家心理を悪化させた背景には米中貿易戦争のほか、米保護主義や今後の米利上げペース加速に対する懸念が広がりつつあることは、見逃せない。

 昨日(2018年3月22日)、トランプ米大統領は中国製品に高関税を課す制裁案に署名し、600億ドル相当の大規模関税引き上げ措置を正式に発動した。

トランプ米大統領は、中国製品に高関税を課す制裁案に署名した (C) Chip Somodevilla

 中国がWTO(世界貿易機関)に加盟して以来、ずっと享受してきた最恵国待遇が事実上なくなるわけなので、中国からの猛反発、また厳しい対抗策(一部はすでに発表)の発動も十分想定される。さらに同じく対米貿易黒字を確保している日本も、米国から厳しい視線が向けられるといった思惑が広がり、米通商政策における保護主義がこれから世界景気を押し下げる恐れも十分考えられるだろう。

■中国に対する強硬姿勢自体は、中国の自業自得だが…

 トランプ政権の対中強硬姿勢自体は非難されるべきではないと思う。

 中国がWTOに加盟した当時に約束された国内開放策の大半はいまだに実現されていない。そして、中国は国有企業をはじめ、国内企業を手厚く保護する一方、欧米日の知的財産権に対して、大規模かつ継続的な侵害を繰り返しながら、対米を中心に自国製品のダンピングを計画的に実施してきた。

 経済成長率では中国は優等生だが、WTOの規則を守れたかどうかの視点ではかなりの「悪ガキ」なので、ついに米国の堪忍袋の緒が切れ、「商人体質」のトランプ政権から罰されるのも自業自得としか言いようがない。

 その上、対朝談判から対台湾関係(台湾旅行法の立案)まで、トランプ政権の対中強硬策は、経済、貿易面に留まらず、「冷戦」を彷彿とさせるような対中全面対決の様相を呈している

 もう1人の「悪ガキ」のロシアは、今では中国広東省の経済規模(GDP比)より小さい「二流国家」に衰退しているから、少なくとも経済面で米国の脅威になれない。しかし、早ければ2040年前後に米経済規模を抜くとされる中国の脅威は、米国にとって確実かつ、かなり緊迫した問題なので、対中全面対決や衝突はこれから「常態化」しつつ、また軋轢が大きくなることも容易に想定される。

 けれど、すでに経済規模世界2位の座を仕留めた中国との全面対決は、主要国全部を巻き込むリスクが大きい上、今回トランプ政権が発動させた制裁案に対日の免除がないように、いわゆる“同盟国”の利益が損なわれるリスクも多い。

 実際、ドイツや英国、日本などの主要国は対中関係に温度差があり、足並みの乱れも今に始まったことではないから、米自国第一主義が鮮明になりつつある現在は、一段と関係がねじれ、世界経済成長にとって大きなマイナス要素になってこよう。

■「意外」に底堅い米ドル/円が、逆サプライズ

 さらに、米国務長官解任など人事のゴタゴタが続くトランプ政権は、安全保障の面でも不信感を持たれている。

 トランプ政権の政策や人事が頻繁に変わるなか、どれぐらい一貫性や継続性がみられるかに市場関係者は当然不安を抱え、リスクオフの動きを一斉にとってしまう。

 日本の場合、周知のとおり、「森友問題」による安倍内閣退陣の懸念もあるから、火に油を注ぐような状況だといえる。

 ゆえに、昨日(2018年3月22日)、NYダウが700ドル超下げたことにしても、日経平均の執筆中の現時点での-4%超えの下げ幅にしても、また、アジア全域の株式市場の総崩れにしても、当然というか、仕方がないというか、リスクオフの結果として受け入れるしかない。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

日経平均 日足

(出所:Bloomberg)

 米ドル/円の安値更新、また104円台半ばへの接近も当然の成り行きでサプライズはないが、どうしてもサプライズと言うのなら、筆者の感覚からすれば下げ幅が「意外」に小さい、ということではないかと思う。

株式市場の総崩れ、また前述の米中全面対決のリスクから考えれば、今は104円台ではなく、102円台に到達していてもおかしくないから、「意外」に米ドル/円は「底固い」とさえ感じる。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

■ドルインデックスや金貨価格も「意外」な値動き

 もう1つ「意外」だとすれば、ドルインデックス(米ドル全体)の堅調さだ。

 米国に報復するため、中国は米国債を売り払い(※1)、金(ゴールド)を自国に搬送するといった措置がうわさされていた(※2)。また、実際に中国官僚による「ほのめかし」もあったから、米ドル全体が暴落しても全然サプライズではないだろう。

 が、ドルインデックスは執筆中の現時点でも89台後半をキープし、ユーロも英ポンドも続伸の勢いを見せていない。

(※1 執筆者注:中国は米国債保有規模を日本と競っており、常に1位か2位の規模を誇っている)

(※2 執筆者注:大半の中央銀行と同様に、中国も買いつけた金を米国に預託管理している)

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足

(出所:Bloomberg)

リスクオフの程度を測るもう1つの商品は金だ。金は足元1340ドルの大台を目指しているように見えるが、2月高値を完全に更新しておらず、リスクオフの受け皿になったかと聞かれると答えに迷うだろう。

金価格 日足
金価格 日足

(出所:Bloomberg)

 換言すれば、状況の深刻さに比例して本来、金はもっと上昇してもおかしくないから、状況が言われるほど深刻化していないか、リスクオフの受け皿として、従来の資産がその役割を果たせなくなったかの、どちらかであろう。

■リスクオフのムードに合っている市況はクロス円

 答えを性急に出す必要はない。また、急いでも正解になるとは限らないから、この問題はまず提示することに留めるが、リスクオフのムードにぴったり合っている市況も為替市場にある。それはほかならぬ、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の相場だ。

ユーロ/円、豪ドル/円は揃って安値を更新、そして、英ポンド/円もリバウンドを完成させた可能性が高く、これから安値更新を果たす公算だ。

ユーロ/円に至っては、以前提示した128円台にすでに到達したから、次は126円台がターゲットとして浮上しよう。

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足

豪ドル/円は80円の大台割れを確実視、まず、78~79円台の下値目標に照準を合わせるだろう。

豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足

前回のコラムでも強調したように、本コラムでは切り返したクロス円の大逆転、また、ベア(下落)トレンドの継続を有力視してきた。

【参考記事】
森友問題の深刻化でクロス円が下落しても米ドル/円が底割れするとは限らないワケ(2018年3月16日、陳満咲杜)

 こういった視点や見通しは維持するが、前述の問題提起と共に、クロス円のベアトレンドは、これから単純に円高のみでなく、外貨安に依存する可能性を再度指摘しておく。リスクオフと言われ、また、非常に荒れる市況の中、この視点はブレないようにしておきたい。

 市況はいかに。

(14:00執筆)

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