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ドル・円・ユーロの明日はどっちだ!?

宮田直彦氏に聞く(2012年-3) ユーロ/円は
2015~16年に140円まで上昇が見えてきた

2012年12月15日(土)10:14公開 (2012年12月15日(土)10:14更新)
ザイFX!編集部

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「宮田直彦氏に聞く(2012年-2) 米ドル/円は最低でも124円、さらに140-150円へ上昇も」からつづく)

■ユーロ/円に12年周期で安値をつけるサイクルあり

 では、ここでユーロ/円相場に話を移そう。ユーロ/円相場の見通しが米ドル/円相場の見通しに大いに影響してくると宮田さんは言うのだ。

 「ユーロ/円には12年周期で安値をつけるサイクルがあります。

 もっともユーロ発足は1999年なので、それ以前は独マルク/円のチャートなどを使って出てきたサイクルです。そういうものにトレンドラインを引くのはまずいですが、サイクルを見るには問題ないと思います。

 ユーロ/円の前回の安値は2000年10月で、今はそこからちょうど12年経ったところです。ですから、ユーロ/円は2012年7月24日に94.12円という安値がありますが、それでもう12年サイクルの安値をつけたのではないかと思っているのです」

ユーロ/円の12年サイクル(クリックで拡大)

ユーロ/円には12年周期で安値をつけるサイクルがある。ただし、上記チャートでユーロ発足以前は、独マルク/円やスイスフラン/円のデータも使用

 そして、ここでまたも登場するのがダイアゴナル・トライアングルなのだ。

■2015~16年にユーロ/円の140円が見えてきた!

 「ユーロ/円は2000年10月から2008年7月まで5波動で上昇しました。その後、下降に転じ、A波、B波、C波と下降3波動となっているのです。

 そして、そのC波にダイアゴナル・トライアングルが現れています。以前も説明しましたが、ダイアゴナル・トライアングルは上昇波動なら最後の5波、下降波動なら最後のC波にしか現れません。今回はまさしくC波に現れているのです。

 そして、今はそのダイアゴナル・トライアングルの上辺をまさにブレイクした状況です。だから、下降トレンドが終了し、上昇トレンドに転換した可能性が高いのです」

ユーロ/円 月足(クリックで拡大)
ユーロ/円 週足log

  「ダイアゴナル・トライアングルが終了した場合のターゲットは米ドル/円のところで解説したとおりです」

【参考記事】
宮田直彦氏に聞く(2012年-2) 米ドル/円は最低でも124円、さらに140-150円へ上昇も

 「今回、ダイアゴナル・トライアングルが始まったところの高値は2009年6月の139.22円。そこから3年半かかってダイアゴナル・トライアングルが完成しています。

 ですから、ユーロ/円は今から3年半以内、2016年半ばまでに139円まで上昇するという見通しになります。

 つまり、2015~16年にユーロ/円の140円というのが見えてくるんです」

ダイアゴナル・トライアングルが終了した場合の標準的なターゲット算出法から、「2015~16年にユーロ/円は140円まで上昇するだろう」というのが宮田さんの見解。

■ユーロ/米ドルは1ユーロ=1ドルまで下がるとみる

 ユーロ/円の140円というと結構な円安水準だが、一方、ユーロ/米ドルは基本的に弱いというのが宮田さんの見方。

 「以前、2011年にお話したときと、ユーロ/米ドルの大局観は変わっていません。ユーロ/米ドルは2015~2016年にパリティ(1ユーロ=1ドル)まで下がると考えています」

【参考記事】
宮田直彦氏に聞く(1) 為替相場は歴史的な大転換点を迎えている!

ユーロ/米ドル 月足

(出所:米国FXCM

 「これが米ドルが対円、対ユーロで高値をつけるタイミングだと考えているのです。

1ユーロ=1ドルになるとしましょう。そのとき、1ユーロ=140円になっていれば、1ドル=140円という計算になります。

 もしも、パリティまで行かずに、1ユーロ=1.1ドルだとしたら、1ユーロ=140円の場合、1ドル=127円ぐらいになります」

 これが前回の記事で出てきた「1ドル=140円もあり得る」という宮田さんの説の根拠だ。

【参考記事】
宮田直彦氏に聞く(2012年-2) 米ドル/円は最低でも124円、さらに140-150円へ上昇も

 それにしても、1ユーロ=1ドルというと、ユーロ/米ドルではユーロが今よりずいぶん下がっているし、一方、1ユーロ=140円なら、ユーロ/円は今よりずいぶん上がっている。

 これは今の相場の延長線上だと、なかなかイメージしにくいが…。

■韓国ウォン/円も円安トレンドに転換か

 「つまりは、それだけ円の独歩安が来るということです。

 今回、円がトレンド転換したとみられるのは、対米ドルや対ユーロだけではありません。他の新興国通貨についてもそうなんです。

 たとえば、韓国ウォン/円ですが、直近で200週移動平均線を上回ってきています。200週移動平均線は2008年に割り込んでから一度も上回ったことがありませんでした。それがついに上抜けてきました。

 しかも、200週移動平均線が横ばいから上向きになってきたところで上抜いているので、トレンド転換の信頼性は高いと考えられます」

「韓国ウォン/円」と「トヨタ自動車/現代自動車相対株価」(クリックで拡大)

 「ちょっとつけ加えれば、上のチャートにはトヨタ自動車と現代自動車の相対株価も示しています。これを見ると、結局、日本企業は為替でやられていたことがわかります。

 今はそれが変わってきていて、トヨタの株価が相対的に強くなってきているのです」

これからは円の独歩安が来るとみている宮田さん。韓国ウォン/円にも韓国ウォン高・円安トレンドの兆しが…。

■IMMデータに過去3年の経験則が通用しなくなった可能性

 最後に今後の注目ポイントとして、宮田さんはIMM(国際通貨先物市場)のポジション動向を挙げた。IMMのデータは投機筋のポジションを示していると言われ、ザイFX!でも以下のコーナーで確認できる。

【参考コンテンツ】
経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

 IMMのデータは金曜日の取引終了後にその週の火曜日時点の数値が発表されるので、どうしても少し遅れが出てしまうことには注意する必要がある。

 「IMMで米ドル買い・円売りポジションが5年以上ぶりの水準まで膨らんでいることが話題になっています。だから、短期的には相場が行きすぎているのではないかとの声もあります。

2010年以降、確かに米ドル買い・円売りポジションは6.5万枚ぐらいがピークでした。それが米ドル/円相場のピークとも重なっていました。今はその水準を超えてきています。

 だからといって、これは米ドルが買われすぎとすぐ決めつけるのではなく、2010年以降、過去3年間の経験則がもう通用しなくなってくる可能性があるんじゃないかと思っているのです」

「米ドル/円」と「IMMのポジション推移」

(※上のグラフの「米ドル/円」と「投機筋ドルポジション」は都合により、11月27日(火)時点のものまでとなっている。その後、12月11日(火)時点で米ドル買い・円売りポジションは9.4万枚まで膨らんでいる)

 2007年の途中までは低金利の円、高金利の米ドルという構図のなか、いわゆる円キャリートレードが行われ、米ドル買い・円売りポジションは19万枚ぐらいまで膨らんだことがあった。

 今回もそこまでいくということなのか?

 「日米の金利差があまりないなか、これから19万枚、20万枚を目指して、円売りポジションが膨らんでいくとは考えていません。けれど、過去3年とは違った、新しい上限の落ち着きどころを探りにいこうとしているんじゃないかと考えています。

 先ほど出てきた米ドル/円の逆三尊のパターンですが、これから83円のネックラインを上抜ければ(※)、普通は円売りポジションがわっと膨らむと思います。

 そうすると、『6.5万枚ぐらいがピーク』という過去3年の経験則など完全に吹き飛ぶぐらいになっておかしくない。そういう点でIMMのポジションに注目しています」

(※本記事の取材を行った2012年12月4日(火)時点では、米ドル/円は83円を上抜けていなかった。その後、12月13日(木)に米ドル/円は83円を上抜けた)

 これからは「IMM6.5万枚」が円売りの警戒水準ではならなくなるのかもしれない。IMMのポジション動向と米ドル/円相場の関係の新局面に注目だ。

(取材・文/ザイFX!編集部・井口稔 撮影/和田佳久)

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