■イタリア総選挙で欧州債務危機再燃!?
2013年2月24日(日)、25日(月)に行われたイタリア総選挙。日本では、次の日銀総裁候補に話題が集中し、やや注目度は低い印象でしたが、フタを開けてビックリ…。接戦も接戦、大大大接戦! 開票が行われた25日(月)深夜から26日(火)午前のマーケットは、大いに荒れました。
イタリアの政局不安が、再び欧州危機を招くのでは(!?) と、マーケットは、一挙にリスク回避ムードへ傾きましたね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ VS 世界の通貨 1時間足)
イタリア、つまり欧州の政局不安ということで、やはりダイレクトに反応したのは、ユーロ。ユーロ/米ドルは、昨日の高値1.33ドル台から1.30ドル台へ下落。ユーロ/円は、125.20円から118.70円と、約7円も下落しました。
ここのところ追加緩和への懸念などから、主要通貨に対して軟調に推移してきた英ポンドの巻き戻しも激しく、ユーロ/英ポンドは、0.88ポンドから0.85ポンドまで急落しています。
また、リスク回避志向の高まりから円買いが進み、米ドル/円、クロス円はガッツリ急落しましたよ。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨 VS 円 1時間足)
昨日(2月25日)アジア時間早朝に、次期日銀総裁は、積極派の黒田氏が濃厚! とのニュースが報じられたことで、上方向に窓を開けて取引をスタートしたのが、まるでウソ(!?) のような下げっぷりです。
米ドル/円は、2月25日(月)のオープン時につけた高値94円半ばから一時は90円台後半まで、約4円も下落しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
なかなか、激しい下落っぷりですね。
そう言えば、ザイFX!で連載中の「元ミス慶応 葉那子が本気で挑むFX道!」に登場したGCIキャピタルの山岡氏もイタリア総選挙に注目! と、指摘していました。
【参考記事】
●ファンダメンタルズの賢者・山岡和雅さん(2) 欧州問題は2月のイタリア総選挙次第!?
やはり、マーケットを見る上では外すことができない、重要イベントだったんですね。
■まだまだ混乱は続く!? 再選挙の可能性も…
さて、本日(2月26日)のアジア時間に入り、少しずつに明らかになってきたイタリア総選挙の結果は、下院(定数:630)において、大枠で現モンティ首相の緊縮路線継続を掲げるベルサーニ民主党書記長の緊縮派が、ベルルスコーニ前首相率いる緊縮緩和派に僅差で勝利。過半数の議席を獲得しました。
しかし、緊縮派は、上院(定数315)では過半数割れ…。残念ながら、上院ではいずれの陣営も過半数に届かなかったようです。かなりの接戦だったんですね。
ちなみにマーケットでは、昨日から進んだリスク回避の動きは落ち着き、巻き戻しが進んでいる状況です。ただ、やはり米ドル/円、クロス円とも上値は重いようですが…。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨 VS 円 1時間足)
マーケット動向は、当記事執筆中も現在進行形で気になるところですが、話をイタリアの政局に戻しましましょう。
同国では、日本のように「衆議院の優越」といったルールは存在せず、上下両院が同等の力関係にあります。つまり、上下両院でいわゆる「ねじれ状態」が起きれば、実際のところ政権運営は難しいそうです。
仮に、下院で一番議席を獲得したベルサーニ民主党書記長が新政権を樹立するにしても、上院では、モンティ首相の勢力と協力したところで過半数には達することはできません。
上院で過半数の議席がない以上、新政権発足は困難極まりないということです。
だとすると、いずれかの勢力に協力を仰いで、施策を継続するほかなさそうですが、果たして、モンティ首相の緊縮路線継続を掲げるベルサーニ民主党書記長の民主党と、連立を組む勢力は現れるのか…。
最悪の場合、2012年6月のギリシャのように、再選挙の可能性もウワサされています。
【参考記事】
●ギリシャはユーロを離脱すると思う?ギリシャ再選挙前に個人投資家の見方は?
●ギリシャ再選挙は緊縮財政推進派が勝利。 ユーロ離脱回避でユーロ高、円安に!
そうなれば、さらに欧州危機再燃に対する懸念は高まり、マーケットはリスク回避へ! ユーロは一段と売られ、円は一段と買われる(!?) 可能性もありそうです。
上述の日銀次期総裁選の話題からも目は離せませんが、イタリアの政局動向にもしばらく注目です。
なんだか2013年に入り、あっという間に2月下旬になりましたが、今年は年始から何かと話題も多く、1年をとおしてマーケットがよく動く年になりそうですね(あくまで予感ですが…)。
引き続き、大きな動きがあれば、当コーナーでも随時お伝えしていきたいと思います。
(ザイFX!編集部・向井友代)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)