■2営業日のうちに約15%も暴落した金価格
金(ゴールド)価格が暴落している。
このところ、100円にギリギリで到達できなかった米ドル/円が下げてきたり、日米の株価が少し大きく下げたり、急にリスクオフ的な流れになっているが、その中でもっとも暴力的に値を下げているのが金だ。
下のチャートは米FXCMが提供している米国市場の金のチャートだが、このところ下げ基調にあった金は4月12日(金)、4月15日(月)のたった2営業日で1560ドル台から一時、1330ドル台まで、約15%も急落している。
(出所:米国FXCM)
東京市場でも金価格は暴落している。東証に上場されている金ETFの1つ、SPDRゴールド・シェア(1326)は4月12日(金)の終値1万5060円に対し、4月16日(火)の終値は1万2840円。これも約15%の下落だ。
以下のチャートを見ると、ここ数日であまりにもダイナミックすぎる金価格の動きが起こったことがわかる。
(出所:株マップ.com)
■金はなぜ暴落しているのか?
金暴落の理由は次のようにいろいろと取り沙汰されている。
・日米欧をはじめ、世界の中央銀行が金融緩和政策を進めており、それによりインフレ率が上昇するとの見通しがあったが、ここへ来て世界的にインフレ懸念が後退してきた。
・中国の第1四半期のGDP成長率が市場予想を下回り、中国の景気減速懸念が表面化。宝飾品としての金需要が多い中国で金需要が減るのではないかとの見方が広がった。
・ヘッジファンドが金ETFを売っている。
・キプロスの中央銀行が資金を捻出するため、保有している金の売却を検討しているとのニュースが流れた。
・米FRBが大規模な量的緩和策の縮小を一部検討し始めていることがわかった。金と米ドルは逆に動く関係にあり、米ドルがジャブジャブになれば基本的に金は上がる。今はジャブジャブになった米ドルが縮小していく流れが意識され始めたため、金価格は下がった。
金は昨年、2012年こそ高値保ち合いといった相場だったが、以下のチャートのとおり、1999年以降、長らく目覚ましい上昇相場を続けてきた。金暴落のキッカケとなった理由はともかく、その根本には、そもそも「金相場が上がりすぎだった」ということがあるのかもしれない。
(出所:米国FXCM)
■金の下げ相場に乗る方法はあるのか?
ここまで急落すれば、いったんは金価格が反発する可能性もありそうだが、もしも、今後、金が下げ相場になっていったとして、その流れに乗る方法はあるのだろうか?
金に投資するにはいろいろな商品がある。しかし、金地金、金貨、純金積立といった伝統的な金商品は金を買うもの。売りから入ることはできない。
金ETFはどうだろうか?
金ETFは証券会社で個別株と同じ感覚で売買でき、信用取引を使えば売りから入ることもできる。
金ETFにはさまざまなしくみのものがあり、ETFの裏付けとなっている金の現物が海外に保管されている場合もある。
■米国市場と日本市場での金取引の違いとは?
ただ、たとえ、海外に裏付けとなる金ETFがあったとしても、日本に上場されている金ETFは結局、円で取引することになる。そのため、値動きは円建ての金を売買しているような感じになる。FXの通貨ペアのようにスラッシュを使ってこれを表記すれば、金/円ということだ。
また、金先物は商品先物取引会社で取引することができ、こちらも売りから入ることができる。日本の商品先物取引会社で取引すれば、やはり、FXの通貨ペア的な表現をすると、金/円の取引をしていることになる。
結局、日本の市場で金ETFや金先物を新規に売るということは、金/円を売ることを意味するのだ。つまり、「金を売って、円を買う」取引をしていることになる。
一方、米国市場の金は米ドル建て。同じく、スラッシュを使って表現すれば、金/米ドルになる。米国市場で金を新規に売るということは、金/米ドルを売るということであり、「金を売って、米ドルを買う」取引をしていることになる。
米国市場で金が暴落したとしよう。日本市場の金価格は、暴落した米国市場の金価格の影響を受けて下がるだろう。しかし、それだけではない。日本市場の金価格はさらに米ドル/円相場の影響を受けるのだ。
つまり、「金/円の価格」は「金/米ドルの価格」と「米ドル/円レート」の2つに影響を受けるのである。
■CFDなら相場がわかりやすい米ドル建て金を取引できる!
結局、下がるにせよ、上がるにせよ、金/円の相場というのはちょっと複雑なのだ。
先ほど掲載したチャートを今一度見て、比べてみよう。金/円の相場(日本に上場している金ETFの相場)はかなり上がったり、下がったりしている。
(出所:株マップ.com)
一方、金/米ドル、つまり、米国市場の金は高値切り下げ、安値切り下げとセオリーどおり、着実に下落しながら、最後にズドンと急落している。こちらの方が着実に売りで取りやすい素直なチャートに見える。
(出所:米国FXCM)
以上書いたことはチャートを見ての「後づけ」的なところもあるものの、前述したとおり、理論的に考えても、金/米ドルより金/円の方が値動きが複雑なのは間違いないところなのだ。
では、日本において、金/円ではなく、金/米ドルを取引する方法はあるのか? これがちゃんとあるのだ。CFDである(※)。
CFDは世界の株式、株価指数、商品などさまざまな対象を売買できる金融商品。詳細は以下のコンテンツなどを参考にしてほしい。
(※CFDでも日本の口座で証拠金として入金するのは通常、「円」。CFDで金/米ドルを取引しても結局、最終的な損益は米ドルではなく、円に転換されるはずだ。とはいえ、決済後の最終的な損益だけが米ドル→円と転換されるので、最初からポジション全体が「金売り・円買い」になっているのとは話が違う)
【参考コンテンツ】
●広瀬隆雄のウワサのCFD徹底講座
ザイFX!では以下のとおり、日本でCFDが取引できるすべての会社を一覧にしたコンテンツを用意している。
【参考コンテンツ】
●NYダウや金にも直接投資できるCFD取引会社を徹底比較!
上記コンテンツで「商品CFD」の欄に「○」がついている会社は、金のCFDを取引できるケースがほとんどと思われる。
具体的に米ドル建ての金(先ほどから使っている呼び方だと金/米ドル)を取引できる代表的な会社を挙げると、以下のとおりだ。
・サクソバンクFX証券
・IG証券
・FXCMジャパン証券
・GMOクリック証券
・DMM.com証券
・マネーパートナーズ
・PLANEX TRADE.COM
GMOクリック証券のFX口座でおなじみの「スピード注文」はCFD口座でも使える。上図の右側にあるのが「スピード注文」のモジュール。
これまで上昇相場の中で何かと話題を集めてきた金への投資だが、CFDを使って売りから入れば、下落相場でも利益が取れる。FXトレードに慣れている人なら、売りから入ることへの抵抗も少ないのでは?
この機会に金が取引できるCFD口座を用意しておくのも良いのではないだろうか。
(ザイFX!編集部・井口稔)
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