(「ビットコインの衝撃(3) 1日10%も変動!?FXでなく、暗号通貨を取引する3つの理由」からつづく)
■ビットコインの実用性は?
トレード対象としては魅力を高めつつあるビットコインだが、実用性はどうなのだろうか。
本当なら「コーヒーショップなどでスマホをかざして、ビットコインで支払い」なんて使い方ができれば、小額決済でも手数料が非常に安いビットコインのメリットが活かせる。
でも残念ながら、今のところビットコインは実用性にかなり乏しい。ニュースなどではビットコインを利用できる店舗の様子が映されることもあるが2015年9月時点で、ビットコインを利用できる店舗数は東京都内に39店舗のみ(coinmap.orgより)。
■ビットコイン利用者が注目するのはデビットカード
ビットコイン決済を導入する店舗やインターネットショッピングのサイトも、そうそう急には増えそうもない。そこで注目されているのが、ビットコイン版デビットカードだ。
デビットカードといえば、銀行の預金口座とカードをひもづけて、カードで支払いするたびに預金口座から引き落としされるもの。そのビットコイン版が広まりつつある。
ビットコイン取引所の口座とデビットカードをリンクさせたり、デビットカードにあらかじめビットコインをチャージしておいたりすると、口座残高かチャージした金額を上限に、通常のクレジットカードと同様に使えるのだ。
ビットコイン版デビットカードの多くはマスターカードやVISAなどの国際ブランドだから、ビットコインの利用範囲が一挙に広がるわけだ。
■マネパが2016年3月までにビットコインの取り扱い開始か!?
ビットコイン利用者にはとても便利そうなデビットカードだが、現在のところ日本で発行している会社はなさそう。残念……と思うのだが、思い出してほしいのが、本連載の入り口でもあった、ザイFX!読者にもおなじみのマネーパートナーズグループと、アメリカの大手ビットコイン取引所Kraken(クラーケン)が提携協議を開始する、というニュースだ。
【参考記事】
●ビットコインの衝撃(1) マネパでビットコインが買えるように!?そもそもビットコインとは?
その後、新しい情報はないようだが、2015年7月末に、マネーパートナーズはビットコインについてのワークショップを開催した。それも、同社の奥山社長自らが登壇して説明する力の入れようだった。
そこで社長が明言していたのは、ビットコインの取り扱いについて、「できれば今年度末にも開始できるよう進めたい」との方針。今年度末ということは、2016年3月までにビットコインの取り扱いが開始される可能性が高いということだ。
「FX会社がビットコインの取り扱いを検討している」と聞くと、「FXのようにビットコインを取引できるようになるんだな」と考えてしまうし、実際にそれもマネーパートナーズがめざす方向の1つではあるはず。今すでにビットコインの取引所や販売所はあるが、「慣れ親しんでいるFX会社で買えるなら買ってみたい」という人もいるだろう。
■プリペイドカードへビットコインをチャージ?
でも、それだけなら今すでにある取引所でもできること。金融庁に登録した会社でビットコインを買えるという安心感はあるものの、目新しさはない。マネーパートナーズならではの展開が期待できそうなのが、プリペイドカードとの融合だ。
マネーパートナーズでは「マネパカード」を発行している。これはクレジットカードではなく、米ドルやユーロなどに対応した、海外専用のプリペイドカードだ。
【参考記事】
●海外旅行者必見! 超お得になった海外専用プリペイドカードで両替手数料を節約する方法
たとえば、FX口座で米ドル/円を買って、マネパカードに米ドルをチャージしておくと、アメリカのATMで米ドルを引き出せたり、アメリカのお店で支払いに使ったりすることができる。お店での支払いはマスターカード加盟店ならどこでもOKだから、利用できる範囲はかなり広い。
海外で高額の現金を持ち歩いたり、海外でクレジットカードを使うのが不安という人には、いい選択肢ではないだろうか。かなり低コストで外貨を利用できるメリットもある。
このマネパカード、現在は米ドルやユーロ以外にも英ポンド、豪ドル、それに香港ドルの5通貨に対応しているが、マネーパートナーズの奥山社長が披露していたのは、これを新たにビットコインにも対応させるアイデア。
マネーパートナーズでビットコインを買って、マネパカードにチャージ、お店やインターネットで利用するといったこともできそうだ。
■超大手銀行もビットコイン技術を利用!
ビットコインに注目しているのはマネーパートナーズだけではない。マネックス証券もこの夏に、抽選でビットコインが当たるキャンペーンを実施していた。
マネーパートナーズと提携協議を行なっているKrakenのもとには「十数社のFX会社から問い合わせがきている」という。金融庁など行政の動きをにらみながらも、1社が動けば追随するFX会社は少なくなさそうだ。
また、世界の超大手金融機関もすでにビットコイン技術の採用へと動き出している。つい最近、流れたのはバークレイズやUBS、クレディ・スイス、JPモルガン、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドなど名だたる金融機関9行がブロックチェーンの共同利用で合意した、とのニュースだ。
米ナスダックは未公開株の取引にビットコインの真髄であるブロックチェーン技術を採用しようとしているし、ビットコインの根幹たるブロックチェーン技術に注目する人は多い。気がつけば、裏側ではビットコインの技術が使われていた、なんていうことが今後は増えていきそうだ。
今後のビットコイン関連の動き、FXトレーダーであれば注目しておいて損はないはず!
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(取材・文/ミドルマン・高城泰)
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