■セル・ザ・ファクトの米ドル安が継続へ
FOMC(米連邦公開市場委員会)、オランダの選挙とイベントが集中した3月15日(水)でしたが、結果は想定どおり。
為替市場の反応も、西原さんがメルマガ「FXトレード戦略指令!」で書いていたとおり、米利上げ後に「セル・ザ・ファクト」で米ドルが売られています。
【参考記事】
●FOMC後の米ドル下落は想定どおり。ドル/円は113円台へ下落。上値は重いか…(3月16日、西原宏一)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
気になるのは、今年(2017年)の米ドル/円のレンジ下限である111.60円あたりで止まるのかどうかですが…。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
時間的なものから考えると、同様に利上げ後にセル・ザ・ファクトとなった昨年(2016年)12月のFOMC後は、2カ月ほど米ドル安が進みました。
今回も2カ月続くとは思いませんが、少なくとも今月(3月)いっぱいくらいは調整が続くのかなと思います。
【参考記事】
●昨年12月FOMCの値動きが再現される? ドル/円はイベント注視して短期的に売りも(3月13日、西原宏一&大橋ひろこ)
来週(3月27日~)は年度末。
当局としてはあまり円高にしたくないでしょうし、ドレッシング買いへの期待もありますよね。111円から111.50円には米ドル買いがずらっと並んでいるという話も聞こえてきます。
(出所:Bloomberg)
そんなウワサもありますが、あわてて買わないといけない玉はそう多くはないでしょう。
年度末ですから円高方向への動きは限定的だとは思いますが、この局面で115円台を4回試して、いずれも失敗。
レンジ下限の111.60円も何度か試して跳ね返された水準ですが、次のリスクとしては下方向かなと考えています。
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■トランプラリーの50%押しが視野に
米ドル/円の日足チャートを見ても、先週(3月13日~)は一目均衡表の雲を上抜けるチャンスだったのに失敗してしまいました。
(出所:Bloomberg)
日足・一目均衡表の雲の下限が2月末からサポートとなって反転上昇、先週(3月13日~)は上抜けないといけない場面だったのに失敗してしまった。
これでチャート的にもいったん調整する可能性が高まったように見えます。先週(3月13日~)までの上昇には米利上げへの期待だけでなく、地方銀行が米国債を投げ売りしていたこともあったのですが、その投げも3月中旬までにひと通り終わったでしょう。
急落はないにしても、もうしばらくは米ドル安の継続でしょうか。
【参考記事】
●FOMC後の米ドル下落は想定どおり。ドル/円は113円台へ下落。上値は重いか…(3月16日、西原宏一)
トランプラリーの50%押しが110円レベル。もしも111.60円で下げ止まらなければ、110円がターゲットということでしょうか?
大きな話ではないと思いますが森友学園問題と、それによる安倍内閣の支持率低下も円高材料。
今週、3月23日(木)に籠池理事長の証人喚問が予定されています。内閣支持率が低下しているという報道が海外勢に意識されれば円高要因となる可能性があります。
念のため意識しておきたいですね。
■ユーロ/米ドルの上昇にも注目
金(ゴールド)を見ても、3月15日(水)を境に切り替えしています。反転したのは昨年(2017年)12月15日を起点にした上昇の50%押しである1200ドルの水準。
12月15日(木)は、前回米利上げが行われた日です。12月、3月とFOMCをきっかけにきれいに反転しています。
(出所:Bloomberg)
金がこのまま上昇するなら、米ドル安とも符合しますよね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
米ドルを売るなら対ユーロはいかがですか?
オーストリア中銀総裁のノボトニーさんが「ECBは利上げを債券買い入れプログラム終了の前にするか、後にするか今後決定する」と発言したことで、QE(量的緩和策)終了前の利上げの可能性を織り込む形でユーロが上昇しました。
ノボトニーさんの発言はECB(欧州中央銀行)の政策転換の先行指標としても注目されるキーパーソンですよね。
チャート的にはいい形になっていますが、ユーロ/米ドルはボラティリティが非常に低下しています。
高値を追って買わず、ヘッドラインなどで急落したところを拾いたいですね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ただ、今回は金利をきっかけにした米ドル安です。トランプラリー以降、米金利にもっとも相関してきたのは米ドル/円でした。
NYダウがいくら買われても米ドル/円は上がらないのに、米金利の上昇には追随してきました。米金利をきっかけにした米ドル安を狙うなら、素直に米ドル/円でいいのかなと思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■長期米ドル高は変わらずも短期は戻り売りで
今週(3月20日~)はFOMCメンバーの発言も多いですが、次回の利上げは早くても6月。だいぶ先ですから材料にはなりづらそうです。
同感です。今年(2017年)は米ドル高の1年だろうと思いますが、FOMCをきっかけにした調整はもう少し続くでしょう。
もし米ドル/円が、112.50円をしっかり割れてくるようだと、レンジの下限である111.60円で下げ止まらず、トランプラリーの50%押しの110円を目指す可能性も高まってくる。
(出所:Bloomberg)
米ドル/円の戻り売りでいきたいと思います。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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