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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

今週はSQ絡みの「株安・円高」に警戒!
米ドル/円は105.50円近辺の攻防に注目!

2018年03月05日(月)16:15公開 (2018年03月05日(月)16:15更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■「貿易戦争は容易に勝てる!」

週末にユーロ圏で行なわれた2つのイベントの内、独SPD(社会民主党)党員投票では大連立政権への参加を決定し、波乱はありませんでした。


イタリア総選挙の結果はまだ判明しませんが、出口調査によると、第一党はユーロに懐疑的なポピュリスト政党の5つ星運動。


しかし、最大勢力はベルルスコーニ元首相などが加わる中道右派連合となる見通しです。ユーロもこれまで目立った反応は出ていません。

【参考記事】
ドル/円は再び105円台試すと100円も視野!? ビットコインは米国株の先行指標になる?(2月26日、西原宏一&大橋ひろこ)

先週(2月26日~)の流れを振り返っておくと、大きいのはアメリカの通商政策。

トランプ米大統領は3月2日(金)、「貿易戦争は正しいものであり、容易に勝利を収めることができる」とツイートしました。


選挙期間中から掲げていた公約を守り、通商政策を進めていく、ということです。

通商政策に本腰を入れるということは、米ドル安要因ですよね。

貿易戦争ならば通貨安の方が有利なことはたしかですが、先週(2月26日~)は株の下落からリスクオフへの圧力がかかりました。

EU(欧州連合)は、ハーレーダビッドソンのバイクやリーバイスのジーンズ、バーボンウイスキーなどへの対抗関税を示唆しています。

そうなってくると、言葉どおりの「戦争」ですね。

■いつものお騒がせ記者の記事で円高へ

中国も対抗措置を考えているでしょうし、心配ですね。


また、3月2日(金)には、「黒田日銀総裁:19年度ごろに出口を検討していること間違いない」との見出しの記事が出たことで、円高が進んでいます。配信したのはブルームバーグ、執筆したのは日高正裕さんです。

過去にも物議をかもす記事を書いた記者ですね。グローバルでは、「日高さんの書いた記事は、ヘッドラインに気をつけろ」との認識が広まっています。


ただ、マーケットのセンチメントが円高に傾斜していた局面だったため、ヘッドラインを読み取ったAIが即座に円買いに走ってしまう。そのための円高だったのでしょう。

【参考記事】
「BOJ Officials Said」の謎:ブルームバーグ記事の英文タイトルはあとから改変されていた!?(要約版)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

冷静に本文を読めば、出口にあたっては「物価2%目標、19年度ごろ達成の可能性が高いと確信している」ことが前提ですので、黒田さんの言っていることは、これまでと変わりません。ミスリードを誘うヘッドラインでしたね。


3月8日(木)、9日(金)には、日銀の金融政策決定会合が開催されます。9日(金)の記者会見で黒田総裁がどう説明するのか、注目ですね。


その他、今週(3月5日~)は、オーストラリア、カナダ、ユーロ圏の中銀会合も予定されています。いずれも、予想は据え置き。足もとの金融市場の混乱を考えれば、タカ派的な発言は出にくいかもしれないですね。

■今週最大のポイントは9日SQでの仕掛け

今週(3月5日~)、注目しているのは、SQ(※)です。米ドル/円が125.86円を付けたときの日経平均高値は2万950円。


昨年(2017年)10月、このレジスタンスを上抜けてから維持してきましたが、足もとでは割り込む寸前まできています。

(※編集部注:「SQ」とは、日経225先物などの株価指数先物や株価指数オプションといった取引の最終決済を行なうための価格のこと)

日経平均 日足
日経平均 日足

(出所:Bloomberg)

東証の空売り比率は、過去最高の48.8%。日経平均先物でも海外勢が4兆円もの売りポジションを積み上げています。


ゴールドマンサックスが、TOPIX先物を大量に売っていたことが話題にもなっていました。SQに向けて何か仕掛けてきそうな気配がありますよね。

米ドル/円は、105.50円にかなり大きなオプションが設定されています。ここを大きく離れることはないだろうと思いますが、今週(3月5日~)末に向かって設定額は徐々に減っていく。


日経平均が2万950円を割り込んで大きく崩れた場合には、105円を下抜ける可能性が高まります。

【参考記事】
円高の流れはクロス円を中心に継続! ポンド/円は半値戻しに届かず140円割れへ(3月1日、西原宏一)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

米ドル/円105.50円のオプションと3月9日(金)のSQは、今週(3月5日~)最大のポイントとなりそうですね。

日銀の次の一手は、追加金融緩和ではなくテーパリング(※)でしょう。海外勢には「円高になっても日銀は動けない」というヨミがありますから、仕掛けやすいのは円高方向。

 

米ドル/円は、今回、105円割れに失敗すれば107円、108円程度まで戻すかもしれませんが、現状では円安のイメージを描きづらいですね。

(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

■米ドル/円の105.50円のオプションとSQ

IMM(国際通貨先物市場)のポジションを見ても、徐々に減ってきているとはいえ、まだ9万枚の円売りポジションが残っています。

IMMポジションの推移
IMMポジションの推移

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

円売りポジションの解消がトレンドとなってくるなら、さらなる円高ということになりますね。


ただ、黒田さんの記者会見はSQ後。もしも、SQで派手に円高が進んでいたら、黒田さんの発言をきっかけにして反発することも頭に入れておきたいですね。ユーロについては、いかがですか?

ユーロ/米ドルは、1.25ドルから1.26ドルが強いレジスタンスとなっており、ここを抜けるのは簡単ではないでしょう。


昨年(2017年)の1.03ドルで長期的な底を付けたのは間違いないのでしょうが、すでに20%上昇していることもあり、当面は1.21ドルから1.26ドルでのレンジかもしれないですね。

ユーロ/米ドル 週足
ユーロ/米ドル 週足

(出所:Bloomberg)

今週(3月5日~)の戦略は、どう考えますか?

SQに向けて米ドル/円が下攻めする可能性を考慮して戻り売りでしょう。


ただ、米ドル/円の105.50円のオプションは巨額。105円を下抜けるのは簡単ではありません。日経平均が崩れることが前提となりますから、やはり注目はSQですね。

(構成/ミドルマン・高城泰)

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